外交官という職業柄、なにかと顔の広い父が連れてきた男性は貿易商ということだった。
38歳という年齢は大人の男性以外の何者でもなく、男性と交際すらしたことのないエレナは戸惑った。
それでも親の顔を潰すことは出来ず、食事に映画にと外へ連れ出されるうちに未来の夫の魅力に惹かれていくエレナ。
やがて親の希望通りに結婚をし、初夜を迎えた。
フランス人の血を引くエレナはベッドの上で、初めて男性の目にその裸体を晒した。
24歳になっていたがメリハリのある官能的な体は瑞々しく、大人の男の舌によって体中を時間をかけて愛撫されていく……。
まだ快感というものを知らないエレナにはむず痒いというのか、くすぐったくてただ身悶えするしかなかった。
それがどういうことか、女の本能が呼び起こされていく。
はっきりと男女の営みを自覚し、エロチズムを頭が理解すると濡れてきたのだ。
唇を重ねられるときの柔らかさ、肌を伝う舌と唇の何とも言えない感覚……。
やっと乳房に触れられたときには、肌にしっとりと汗が滲んでいた。
かつて自慰の真似事をして胸に触れて見たことはあったけれど、人に触れられるとこんなに気持ちいいものかと初めて知った。
ひとしきり乳首を弄ばれ、下へと体をずらしていく夫が臍に舌を這わせる。
それだけなのに、体に鳥肌が浮く。
更に下へとずれた夫の口が、禁断の場所に辿り着く。
エレナは感じたことのない感覚に、ベッドの上で背中を弓なりに反らせていた。
刺激的で堪らない感覚が体を貫き、初めて声を上げた。
あの時、若い使用人に母がされていたのはこれだったの………?
激しい電流が体の中を駆け巡り、エレナはあっという間に果てていた。
これが毎晩のように繰り返され、快感の味を体に覚えさせられていく。
挿入をされないから恐怖心はなくなったけれど、毎晩のようにオーラルセックスをされるのだ。
エレナはもう、ベッドに入るだけで条件反射のように濡れるようになった自分が信じられなかった。
そんなある日、夫は言った。
夫 君はまだ、本当の女の喜びを知らない。
そろそろそれを知ってもいいだろう……。
ちょっと、外へ出かけようか………。
エレナは淡いカーキ色のシンプルなノースリーブのワンピースに着替えて、夫と共に車に乗った。
ついた場所はいつもの洒落たレストランではなくて、大衆的な酒場だった。
いくつかのテーブルが配置された場所には男達が集い、琥珀色の液体を口に放り込んでいる。
カウンターには数人の男達がいてビールを手にする者、ウイスキーを飲む者がいる。
その中のひとり、やや長髪の男がエレナに気付いた。
エレナ ねぇ……あなた、怖いわ……。
夫 これも文明人としての勉強だよ、私の言う
通りにしてごらん。
エレナはあらかじめ夫に、こう言われていた。
自分に興味を示した男がいたら、自分を委ねなさいと………。
エレナは不安だったけれど男に近づき、彼の前に立った。
男は数秒エレナを上から下まで値踏みするように見詰め、カウンターから離れるとエレナの手首を掴んで店内の隅へ移動していく。
エレナは不安で夫を振り返ったけれど、グラスを持つ手を口に運び、頷いて見せるだけだった。
移動したそこはトイレへと続く壁を隔てただけの場所で、男はいきなりワンピースの下に手を入れると、エレナの履いていた下着を足から引き抜いた。
続いてジーンズのチャックを下げて男性器を取り出すと、エレナの片膝を持ち上げて壁に押し付けられる……。
次の瞬間、下半身に激痛が走った。
まだ男を受け入れたことのないそこが悲鳴を上げて、エレナは激痛に顔を歪ませる……。
苦痛は1時間ほど続いたように感じていたけれど、実際には数分だったようだ。
白けた男が血塗れの男性器をジーンズの中に仕舞い込むと、エレナを見詰めて言った。
男 処女だったのかよ………。
一言だけそう言うと、エレナの頬を一度だけ引っ叩いて歩き去った。
エレナは痛みで内股になりながら夫の元へ戻り、そのまま2人で店を後にした……。
夫 どうだった……?
彼は怒っていただろう……?
彼は君が感じる顔を見たかった、なのに処女だったから失望したんだよ。
それから下半身の傷が癒えるまで待ってから、夫による夜の性生活が再び始まった。
今までと違うのは、彼がペニスを挿入してくるようになったこと。
散々クリトリスを弄ばれた後、あの痛みに思わずシーツを鷲掴みにしなければならなかった。
その痛みも4〜5回の夜を越える頃には違和感に変わり、半年も経たずに得も言われぬ喜びにエレナは母のように身悶えるようになっていた……。
夫が海外に出張中は体が疼き、辛い夜を過ごした。
指折り夫が返ってくる日を数え、やっと帰宅した夫が服を着たままベッドに寝そべると、エレナもそのまま彼の上に乗った。
朝顔の花のように広がったスカートの下で夫と繋がり、腰を動かすたびに快感が沸き起こる……。
夫が外で自由を謳歌しているのは、知っている。
君も私ばかりじゃなくて、他の男を知りなさい……。
そう言われていたけれど、踏ん切りがつかなかった。
エレナの体の中で夫の分身が放たれると、そっと離れて汚れたペニスを口で綺麗にしてそのまま夫を眠らせた………。
なかなか足を踏み出さない若い妻に業を煮やした夫はある日、エレナを美術館に連れ出した。
一般的な絵画だけではなく、彫刻をはじめとした美術品も展示されている。
その中で様々な万華鏡が展示されているコーナーがあり、実際に見て体験できる場所が設けられていた。
床から支柱が伸びて、その上に長い筒状の物がついている。
まるで観光地の山の展望台に設置された望遠鏡のようで、いくつかのブースで仕切られている。
側には説明案内人が立っており、すぐに対応すると目でアピールしている。
カレーの香りが漂うどこかの国の出身らしく、彼は中東系よりもさらに黒い肌の色をしている。
夫 分かっているね………。
夫に耳元でそう囁かれて、エレナはブースのひとつに入っていった。
全面が白い壁に囲まれた空間の中で、エレナはその万華鏡を見る為に水中眼鏡のようになった所に、顔を押し付ける。
なるほど中は幻想的な模様が次々と変化して、見る者を楽しませてくる。
エレナは不意にそこら顔を離し、後を振り返ってチラリと説明案内人を一瞥する。
そろそろ自分の出番かと近くまで来た彼が、そのままエレナを見守る。
またそこから顔を離したエレナがチラリと彼を見て、無言で顔を戻した。
彼はどういうことかと思いあぐねていると、またエレナが彼を一瞥するのだ。
さすがに彼も、その意味に気付いた。
エレナが切なげに胸に手を当て、その手を下げてスカートの裾を前から後まで意味ありげに触って見せるのだ。
そのままお尻をすっと触って見せ、また万華鏡を見る為に顔を戻す。
さっきよりも、脚を開いて………。
彼は静かにブースのカーテンを引き、エレナに静かに近づくとお尻に触れた。
それは誘惑してきたエレナに知らせる合図として伝わり、ゆっくりと下着が引き下ろされていく。
エレナの股の下に体を滑り込ませた彼は、床に尻をついた格好でスカートの中に頭を入れる。
首を上に曲げなければならない窮屈な格好だけれど、彼はそんなことには構わずに舌を這わせた。
次々と形を変化させる不思議な世界を見ながら、エレナは生暖かい舌が動かされる感覚に不思議な快感を覚えていた。
膝をやや曲げた中腰の姿勢が辛くなるほど舌を使われ、膝が笑う……。
声など出せようもない、ぐっと堪えた声が喉元でくぐもった短い呻きに似た音を漏らす……。
エレナ んっ……んんっ………うっ…んんっ……
彼の舌先がピンク色のクリトリスを研磨するように動き回り、しゃぶって舐め回す……。
しゃがみ込みそうになって、不意に彼がそこから居なくなった。
スカートが捲り上げられてお尻が露出すると、その意味を即座に理解した。
…………ゆっくりと、入ってきた。
中を確かめるように入口から奥まで何度も往復させて、彼が出す吐息の音がエレナの耳に届く。
ひしめき合う民衆を掻き分けるように彼のペニスが奥まで進み、突き当たると飽きもせず後退していく。
エレナは両手で望遠鏡のような四角い部分を掴んで目は不思議な模様を、頭は官能の味を味わい口で呼吸をしていた。
何度も何度も中を往復される快感に、思考は定まらなくなる。
女としての喜びが地層のように重なり、堪らなくなっていく……。
いつしか彼の腰が激しく動き、繋がったところから卑猥な音が鳴り響く……。
甘くて切ない……いや、我慢しがたい喜びが押し寄せてきてくる。
次から次へと絶え間なく押し寄せ、息が出来ない………。
そう感じたとき、中で彼のペニスが音を上げた。
激しい彼の息が背中に吐きかけられ、膝をワナワナとさせるエレナの中でペニスが脈動を繰り返していく。
数分の間、繋がったままで余韻を楽しんで、彼が履かせてくれた下着を身に着けてエレナは振り返らずその場を後にした。
エレナは初めて夫以外の精液を体に受け入れ、何とも言えない高揚感を感じていた……。
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