まず最初にしたのは変装だった。
カバンをリュックに変え、私服を詰め込んで家を出る。
そして駅のトイレで着替えると、そのまま学校とは反対向きの電車で佐藤の家の最寄り駅まで行く。
数日間は完全な空振りだった。
初めて見つけた日よりも早い時間から駅のホームのベンチで待ち続けたが、待っても待っても久美子は現れなかった。
まさか、もう来ないのか・・・?
そりゃそうか、あんな事をされたんだから自分からまた来るなんて・・・
何度も諦めかけた。
週末になり、次の週も半ばになってくると 来ないのが当然のようにも思えてしまった。
久美子は、友人の母親は痴漢の被害にあったのだ。
あの日は心が折れてしまったのだとしても、時間が経てば正気になる。
女性にとって忌むべき痴漢男に 被害にあうと分かっててわざわざ自分からくるなんて・・・そう思った。
けど、俺はその度に自分に発破をかける。
いや、そんなことは無い・・・絶対に・・・
あの日に見たあの顔・・・あの表情・・・
反応していた・・・受け入れていた・・・逃げずに嬲られ続けていた・・・
あの女は・・・久美子は絶対くる・・・
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