3.
「ヨーコちゃんはね、私が高校時代にバイトしてた蕎麦屋さんの娘さんなの。で、ちょこちょこお店に遊びに来てて私に懐いてくれてたのよ。」 「へぇー、高校時代からか。」
「ハイ。それで真理ちゃんが今でもお店に来てくれたりして、私もタマにお店で御飯してたりするから出会うとお喋りしたりするんですよ。」 「で、ヨーコちゃんの会社が潰れちゃったんだけど、契約で3年したら正社員に引き上げる条件でウチなら潰れないだろうからって、来て貰う事になったのよ。」
「そうだったのか。その経緯は知らなかったな。」って喋りながらも腕組みした手で真理子の腹をムニムニ…
「ホラ、また摘まんでるでしょ。」ってヨーコちゃんにバラしやがる。(笑)
「小野ちゃんも歌いなよ。」って他の連中から声が掛かりヨーコちゃんもノリの良い子で皆で盛り上がった。
それで時間も過ぎ、終電で帰るって奴が一人居たのでお開きにする事に。
俺と真理子は同じ方向なので一緒にタクシーで帰る事が多いのだが、ヨーコちゃんも同じ方向なので一緒に乗る事に。
「雄ちゃんゴチそうさん。今度は俺も出すからね。」
「雄二さん、ありがとうございました。またお待ちしてますね。」と仲間やママに見送られて車は走り出した。
順番だとヨーコちゃん降ろして真理子降ろしてだな。って思ってる俺を横に二人はお喋りしてワイワイ盛り上がってる。
すると「雄ちゃんは朝帰りでも昼帰りでも大丈夫なんだから付き合いなさいよ。」って唐突に言われる。
二人の話しを全然聞いてなかったんだけど、もうチョッと飲み足りないって事でヨーコちゃんのマンションで部屋呑みしようってなったらしい。
それでヨーコちゃんも俺とはそんなに喋って無いからもう少し話しをしてみたいってなって連れ込まれる羽目に。
(別にイイんだけどさ、付き合うけどさ。俺に選択の自由ってのは無いのかい?)
コンビニでアレコレとお買い物。(結局、出すのはオレ。って俺は金ヅルか!)そしていよいよマンションへ…
「散らかってますけど、どうぞ。」
「お邪魔しま~す。」独身女性の部屋に入るのって初めてだなぁって思いながらお邪魔する。(全然散らかって無いじゃん。)
取敢えず「乾杯!」って事で飲み始める。
「雄二さん。スミマセン今日はお店で出して貰ってこの分まで… 」
「イイのイイの。雄ちゃんは闇の仕事でお金を稼いでたから、チョッとぐらい出させても平気なの。」
って、真理子が勝手なことを言いやがる。
「闇って?」
「イヤ、別に捕まるような事はしてないよ。飲み代稼ぐのにバイトしてただけさ。(笑)」
「さっき、お花見の時に喧嘩してた人を抑え込んでましたよね。あれが闇?」
「違うよ。昔はそんな奴ばっかだったからさ。(笑)」
「ヨーコちゃん。この人は怖いわよ。お酒飲んで暴れてたアメリカ兵を笑いながら抑え込んじゃってたもの。」
「凄っ!」
「そんな事よりさ。こんな事を聞いたらセクハラだとか何だとか言われるかもだけど、ヨーコちゃんは可愛いしモテそうなのに何でボッチなの?」
「私ですか。そうですね、どっぷりじゃ無いけどチョッとメンヘラって言うか、そんな部分が少しあって二次元に逃げ込んでるって言うか… まぁ、そんな感じですね。(笑)」
「ふ~ん。そんな風には見えないけど、意外にそうなんだね。」
(人は見た目によらないってやつだ。)
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