「でも、せめてキスくらいは…」
浩司は、美咲とのキスどころか、手を握ることや、彼女の裸を見ることまで加奈子によって固く禁じられていた。ところが隣室では今、美咲は複数のレズビアンたちと肌を合わせ、何人かと同時の甘いキスを楽しんでいる。
キスくらいは…、と言いかけたとき隣室から一人のナースがやって来て加奈子に耳打ちした。
「先生、美咲さまがそろそろ先生にも来て欲しいとおっしゃっていますが…」
「わかったわ」加奈子はそう言うと浩司に振り返り、「ともかく奥様の治療は順調に進んでいます。彼女の性的感受性は、私がこれまで診てきたどの奥様よりも高く、レズビアンとして最高の幸せを手に入れることができると、私は確信しています。」
加奈子は、美咲のことを話すときだけ、その表情を柔らかくした。浩司は、加奈子と美咲が主治医と患者の関係を超えた、レズビアンの深い愛情に結ばれているような予感がした。
「浩司さん、あなたは美咲さんの才能に気づけなかったことを後悔しているかもしれません。しかし、美咲さんは今、レズビアンとして最高の幸せを掴もうとしています。あなたは、美咲さんの幸せを願い、彼女を支えてあげてください。それが、あなたの唯一の償いでなのですから」
加奈子の言葉は、浩司の心を深く抉った。彼は、美咲の才能と美貌に改めて気づかされ、彼女を自分の知らない世界に連れて行かれてしまったような喪失感を痛感した。それなのに浩司は今も激しく勃起しているのだ。
「ともかくあなたの射精は当面の間は無期限禁止にします」と加奈子は宣告するとカルテを閉じ、「では下がってよろしいですよ」と告げるのだった。
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