加奈子に花束を手渡したあのナースだった。
「す、すみませんっ…」
目の前の美女が放つ甘い匂いが鼻腔をくすぐり、慢性勃起症の浩司には堪らなかった。
女性は、レズビアンの愛とセックスを経験すると内面から美しくなるだけでなく、幸福感と性的快楽から来る恋愛フェロモンを強く放つようになると、加奈子から説明を受けたことがある。
なるほど、美咲の白い肌は最近、むせ返るほど甘い匂いがして、浩司を日常的な勃起に追いやっていたし、このクリニックに通うようになって、加奈子やナースたちだけでなく、患者の奥様たちもみな同じ匂いを放っていることに浩司は気が付いていた。男性だからこそこのフェロモンに敏感なのかもしれないが、浩司はこの匂いで、その女性がレズビアンであることを的確に見分けられるようになっていた。
休日に美咲とショッピングモールにいても、すれ違う40代くらいの夫婦連れの人妻や、フードコートにいる小さな子連れの若いママたちからも、ふと同じ匂いがして、浩司は思わず勃起してしまうことが良くある。
食品売り場のレジに列べば、浩司の前の奥様だけでなく、そのレジを打つパート主婦の中にも同じ匂いを放つ女性が良く見かけられた。
良く行くコンビニの30代くらいの女店員や、今朝の通勤電車で見かけた、娘の高校受験に付き添う優しそうな母親…
彼女たちに共通しているのは、みな美女であるだけでなく、愛の幸せに満ち足りた優しい笑顔と、他の美しい女性を見るときに、ポッと顔を赤らめる女っぽい表情なのだ。
(まさか、こんなにも日常に美しいレズビアンがいたなんて…)
浩司は、彼女たちの胸や形の良いヒップを盗み見して、この優しそうな人妻たちや母親たちが、夫の目を盗んで秘かに楽しんでいるであろう、最高の快楽を想像して股間が疼き、気がおかしくなりそうになるのだった。
このように浩司は、日常生活のなかで、レズビアン女性を見かけるたび性的興奮を覚え、異常に勃起しやすくなっていた。
加奈子が浩司にフェロモンの説明をしたのも、レズビアン女性への服従願望を強化するための勃起療法(マインドコントロール)だったことを浩司は知らない。
「浩司さん、何を考えてるんですか?」
「な、何でもありませんっ…」
気がつくと、加奈子は既に美咲の待つ「愛の部屋」に消えていた。
※元投稿はこちら >>