東欧より極東……日本の地に降り立って、10年の月日が過ぎようとしていた。
日本への憧れを持ったのは小学生の頃だ。
一番はアニメでその内容はもちろんのこと、とても美しい映像美に惹かれたのだ。
それから日本のことを自分なりに調べ、様々なことを知ってますます日本が好きになっていった。
優れた車や電化製品の数々、日本の食べ物、何よりも日本の四季の美しさといったら………。
ナタリア・キュリレンコは日本語を専攻し、日本語や日本の文化を吸収していった。
世界でも難しいとされる日本語だが、好きこそ物の上手なれ………日本のことわざ通りにナタリアはスポンジのように自分のものにしていった…。
そして日本に留学し、さらに日本を学んだ。
驚いたのは日本のジメジメした湿度の高さ……。
これには辟易したが、上手に季節を乗り切っていく日本人を真似ているうちに、ナタリアはいつの間にか当たり前のように過ごせる自分に気がついていた。
日本は安全で親切で、離れたくなくて就職までして生活するうちに生涯のパートナーと出会い、そして結婚してしまった……。
ナタリアは気が付かなかったが、自分に近づく男性の中にはナタリアに気のある者が何人もいたはずだと夫に聞かされて、びっくりした。
ナタリアは金髪ではないが薄いブラウンの髪の毛の色、長い睫毛、細い手脚に体、何よりも美しいその顔………。
そう言われてもピンとこないのだ。
だって母国でも他人と比較などしたことはないし、生まれた時からこの顔と体で生きてきたのだから……。
ナタリアは日本に住む外国人のために力になりたいと、役所に身を置いていた。
グローバル化が著しい現代は、何かと日本のルールを理解するのに難儀する外国人が少なくない。
かつてナタリア自身も日本人に助けられたように、この地に暮らす自分が助けになりたかったのだ。
手応えを感じやりがいもあって、ナタリアは幸せだった。
そんな生活が数年続いた頃、そんな幸せに突然陰りが見えはじめた………。
夫に難病が見つかり、生活が一変したのだ。
不幸中の幸いに命の心配はなかったが、生活はしていかなくてはならない………。
先行きを案じて、ナタリアは転職を考えはじめた。
役所なのだから安定しているのに……と思われるが、長期を見据えるとそうもいかない。
今しかないのだ………。
自分でも出来そうで、出来るだけ高収入の仕事とは………。
そんなとき、エステティシャンの募集を目にしたのだ。
この業界はそこまで高収入を得られるはずがないのはナタリアでも知っていたが、このお店はどうも違うようなのだ。
ナタリアは母国で暮らす祖母を思い出した。
ナタリアの故郷は田舎で、日本では考えられないほど都会と比べてインフラが遅れている。
長年の苦労が祟って足腰の弱ってしまったそんな祖母を、ナタリアはよくマッサージしていた。
オリーブオイルを塗りながらマッサージをすると、祖母が笑顔になってくれたから……。
これを仕事にして人を笑顔にできるなら……。
それが男性であっても同じじゃないの……。
それで高収入を得られるなら、生きていける……。
飛びついたナタリアは早速連絡して、面接を受けた。
日本語も問題なく、あっさり研修に進んだのだ。
その間もありがたいことに最低限の給料は支給され、貯金に手をつける必要なく生活を送ることが出来た。
1年後に長い研修が終わると、ポスター用だといって写真撮影が行われた。
ヅラりと居並ぶ新人エステティシャンの中にいて、東欧生まれのナタリアの美しさはやはり群を抜いて目立った……。
体を斜めにして左右に分かれ、逆てV字に立ち並んで微笑むエステティシャンたち……。
モデル顔負けのボディラインが施術着を引き立て、白い肌を見せた長い手脚が美しい……。
その美貌にして小高く迫り出す胸の形、クピれた細い腰回り、ツンっと上がった魅力的なお尻……。
ナタリアは知らなかったが、ナタリアたちが映るのはポスターだけではなくチラシにも採用されていたのだ。
待ちゆく若者にはその効果が絶大だったことは、言うまでもない………。
何人もの若者が釣られて来店し、初回の無料体験でナタリアに会えなかった者たちはこぞって会員になっていた……。
彼らはナタリアに会う前に、同胞の年上女性の魅力に目移りしてしまうのだが………。
ナタリアのデビューが決まった。
場数を踏むために自信がつくまで助手という形で現場に立ち、学ぶのだ。
我慢しなくてはいけないのは、男性の生理現象である………。
平たく言ってしまえば、ペニスの勃起だ………
。
若い彼らは例外なく皆が股間に変化を見せ、その形を大きくさせた…。
生理的な嫌悪感が沸き起こり、どうしようもなく嫌で嫌でしかたがなかった。
仕事用の施術着……ワンピースは素敵だったが、どういうわけか丈が短すぎる……。
これでは気おつけないと、下着が見えてしまうではないか……。
見られたくはないのに悲しいかな、野暮ったい物を身に着けていると思われたくはないという、女のプライドが顔を出してしまう……。
見栄を張るわけではないけれど、最低限のセンスの欠片を覗かせたくはなる……。
日本人女性の可愛い文化からはかけ離れた欧米人のセンスは、若く見られることを嫌う。
それは未熟で幼い女の子と見なされることであり、大人の女性だと認められない屈辱に直結するからだ。
だから衣類や下着も自然と成熟した大人の路線へと向い、セクシーな下着こそ女だと主張をしたくなる。
それが大人の女性のお洒落なのだと………。
何もエロチックを売りにしているわけではなく、承認欲求でもない。
自分は年相応の成熟した大人の女性だと、自覚したいだけなのだ。
だがそれは性感覚の概念が異なる日本人には通用せず、白人女性……もっと言うならヨーロッパ女性に憧れを抱く日本人、さらには若者はその限りではない。
透けたランジェリーはナタリアにはお洒落の象徴でしかないのに、若い日本人の彼らにはエロいものでしかないのだから……。
ナタリアを助手につけた結城宏美は、上司から命を受けていた。
それはナタリアを早く目覚めさせろ、という事。それはとりも直さず快感の虜にさせるという事である……。
荒療治かもしれないが、彼女が現場に立ってもう3ヶ月を越えている。
そろそろ………もう、いいかもしれない。
結城宏美 お客様、ベッドを下げますね……。
ナタリー、そちらをお願いします………
愛称で呼ばれたナタリアがお客様の頭側に立って、首から肩、両腕にオイルを塗り拡げていく。
両腕が済んでしまうと、胸板の上の手を動かしていって……。
お腹周りに腕を伸ばさなければならない……。
先輩は平気な顔をして、普通にやっていた。
抵抗はあるし嫌だったが、ナタリアはお客様の顔を少しづつ跨ぐようにお腹周りへと手を這わせていく……。
最後は諦めたように完全に跨ぎ、自分の真下にはお客様の顔がある位置に立っていた……。
背の高いナタリアだっだが、先輩がその身長に合わせて気を使ったのかお客様の顔が股間の間近にあるような気がする……。
だって、そこに息がかかるのが分かるから……。
嫌悪感を拭い去れず、だからといって施術をやめるわけにもいかない。
生活のためにも、問題は起こしたくはない……。
それにしても息がかかり過ぎる、嫌な予感がする……。
不意にナタリアがピクっとして手を止めたが、何事もなかったように動かして見せる……。
次第に表情が曇りがちになり、助けを求めるように先輩を見たが気づいてはくれない……。
だんだんナタリアの顔と耳に、赤みが差してきたように見える………。
結城宏美は視界の隅にナタリアの変化を捉え、黙って様子を窺い見ていた……。
その様子よ……嫌なのは最初だけだから………。
内心で、そう呟く………。
自分もそうだったように、すぐに貴女も虜になる……。
あの若いペニスを味わったら、堪らないんだから……。
今日は譲ってあげるけど、ほら、感じてるじゃない………。
虚ろに成りそうな目をしたナタリアが、同じ場所を繰り返し手を動かしている……。
結城宏美はお客様の太腿に手を這わしながら、黒パンの前の盛り上がりを見つめていた………。
瞼を閉じていても薄暗くなったのが、分かった。
顔周りの空気が変わったというか、なんというか。
甘いような匂いを感じるのだ。
それは人工的な感じではなくて、植物などの匂いとも違う。
動物的というのか、何なのか………。
不意に目を開けたら、信じられない物が見えていた……。
はじめは近すぎて分からなかったのだが、それがショーツだとやっと気づいたのだ。
ということは今見てるこれは、あの綺麗な外人の股間なのか?………。
よく見れば確かに顔の両側に内腿らしき肌があって、上目遣いに見ればお尻側のスカートの丈の終わりと、頭の後の景色の壁の柄まで分かった……。
間違いない………こんなことがあるなんて……。
普通のエステ店だと思ってたのに、違うらしい。
こんな露骨にアピールしてくるなら、我慢するのが違うのだろうな……だったら……。
彼女と別れたばかりの西条祐介は、26歳の若さを発揮する。
まずは鼻先を割れ目に当てて、様子を見る。
何度かそれをして何も言われないことを確認すると、顎を上げてクロッチに口を押し付けた……。
面積の狭い部分的に透けた黒いショーツは生地が薄く、柔らかい性器の肉がグニャリと歪む感触が祐介をそそらせた……。
外人というのはこんなに甘い体臭がするのかと、感慨深く思いつつ透けた部分に陰毛がないことからツルツルの性器を想像する……。
このエステティシャンがピクっと反応したが、それだけで何事もないようにしている……。
やはりそうだ、そうなのだと確信する……。
表向きはエステサロンだが、実態は違うと……。
女の感じるポイントを唇を押し付けてグリグリしていると、クロッチの一部分が湿ってくるではないか………。
堪らなくなってショーツを横にずらしてみる……。
何のことはなく、やはり脱毛されて綺麗なものではないか……。
色素が薄いビラビラが少しはみ出しだ割れ目に舌先を捩じ込み、上下に這わせる……。
ヌルっとした感触が気持ちよく、しばらく遊んでクリトリスに絡ませる……。
ホォ〜……シ〜ッ……ハァ〜………シ〜ッ……ハァ〜……
何だか意味深な息使いが祐介の耳に届き、情欲が掻き立てられる……。
攻めの手を祐介はさらに強めていった……。
こんなことのために仕事をしにきたんじゃない。
生活のため、夫のために………。
そう思うけれど、巧みなクンニリングスに体は否が応でも反応してしまう……。
先輩は気づいているはずなのに、見て見ぬふりをしているなんて……。
どうして…………どうしてなの?………。
そうか、先輩たちは密かに楽しんでいたのか……。
そういうことなのね………。
こんなことにあたしを巻き込んで、恋が生まれてしまったらどうするの?………。
困惑するナタリアの体に快感のが渦巻く……。
生暖かい舌が執拗に攻めてきて、理性は影を薄め欲情に入れ替わっていく………。
ナタリア オォ〜ゥ……シ〜ッ…アァ〜ゥ……シ〜ッ
喘ぎ声の語尾を震わせて、食いしばった歯の隙間から音を立てて息を吸う………。
一応は努力して声を潜めているが、いつまでこうしていられるのか自信がない……。
驚いたことに先輩がお客様のペニスを口に咥え、ゆっくりと頭を上下に振っている……。
そんな………ナタリアはショックを覚えたが、心ではそれを容認する自分がいた。
強い快感が押し寄せる……。
完全に露出させられたクリトリスに蠢く舌の感触を覚え、ナタリアはお客様のお腹に突っ伏した。
ナタリア あぁぁぁ………あぁぁぁ………
日本人では聞くことのない伸ばした喘ぎ声を震わせて、快感を享受するいやらしさ………、
祐介は勃起してプリッとしたクリトリスを執拗に細かく舌先で弾き、攻め続けた……。
やがて東欧生まれのエステティシャンが、喉の奥から出したような、静かな咆哮を上げることになった………。
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