その頃、夫は部屋でテレビをつけながら温泉旅行のパンフレットを眺めていた。
「来年もこんな旅行を計画しようかな……。」
彼は、これがミユキにとってどれだけ嬉しいプレゼントになっているかを想像しながら、自分も幸せな気分に浸っていた。彼女が帰ってきたら、感想を聞いてみよう。それが楽しみで、彼は少しだけ頬を緩ませた。
時計を見ると、マッサージの時間がそろそろ終わる頃だと気づいた。
「迎えに行こうかな。」
そう呟きながら立ち上がりかけたが、すぐに思い直した。
「いや、きっとまだリラックスしてるだろうし、邪魔しない方がいいな。」
そう思い直して、もう少し待つことにした。
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ミユキの体は完全に脱力していた。小林の手は、ついに太ももの内側を滑り、さらに奥へと進んでいく。指先が彼女の敏感な部分に触れた瞬間、ミユキは小さく息を飲んだ。その反応に、小林は一瞬手を止めるが、穏やかに問いかける。
「ここもお疲れですね。大丈夫です、リラックスして。」
その声と共に、彼の指先はさらに深く進み、ミユキは全身が熱くなるような感覚に包まれた。もう何が起きているのか、自分がどう感じているのかも分からなくなり、ただその瞬間に身を任せることしかできなかった。
心のどこかでは、「こんなことが許されるはずがない」と思っていた。夫の優しさや、これまで積み重ねてきた二人の関係が頭をよぎる。それでも、その感覚を止めることができない自分に、ミユキは深い混乱を覚えた。
「ミユキさん、あなたの疲れをすべて解放させてあげます。」
小林がそう囁きながら、施術はさらに大胆になっていく。彼女の呼吸は浅く早くなり、心の奥底で、もう引き返せない場所まで来てしまったことを悟った。
ミユキの肌に直接触れる小林の手は、信じられないほど滑らかで、温かかった。その手がゆっくりと太ももの内側を撫でるたび、全身が反応していくのを彼女は止められなかった。触れられる場所はどれも「そこだけが生きている」ように熱を帯び、感覚が鋭敏になっている。
「ここもかなりお疲れですね。」
小林の落ち着いた声が、まるで優しく諭すように耳元で響く。彼の指が内ももをなぞりながら、さらに奥へと進んでいくたび、ミユキの呼吸は浅く、早くなっていた。
「だめ……。」
心の中でそう呟いても、声には出せなかった。声を出すことで、この行為が現実になる気がして、彼女はただ目を閉じたまま身を固めることしかできなかった。
だが、小林の手が止まることはなかった。
彼の指が彼女のデリケートな部分にわずかに触れたとき、ミユキは思わず小さく声を漏らした。自分が出したその声に驚き、慌てて口を手で覆うが、小林は少しも動じることなく、優しく微笑んだ。
「反応してしまうのは自然なことです。無理に我慢しなくていいんですよ。」
彼の言葉は穏やかだったが、その指先の動きはますます大胆になっていく。
ミユキの中で、快楽と罪悪感が入り混じった感情が渦巻いていた。
夫の顔がふと頭をよぎる。「私を愛してくれている人を裏切るなんて、絶対にいけない。」そう思うたびに、小林の指の動きがその考えを押し流していくようだった。
「こんな……。」
言葉にならない声が口元から漏れる。ミユキは自分の反応が小林を勢いづかせることを感じながらも、止めるどころか、その動きに身を委ねてしまっている。
彼女の身体は、今まで夫とのセックスでは感じたことのない感覚に支配されていた。
夫との行為は、優しさに包まれていたが、どこか形式的で物足りなさを感じることもあった。それに対し、今は違う。小林の指先は、自分の本能を引きずり出し、触れられた場所すべてが熱を帯び、体が勝手に反応してしまう。
「どうして……?」
自分自身への疑問が頭をよぎるが、その答えを探す間もなく、小林の顔が彼女に近づいてきた。
「もっと楽にしてください。」
小林の声が耳元で囁かれた瞬間、ミユキは完全に力を抜いてしまった。囁き声は心の奥底まで響き渡り、それ以上抗う意志を奪ってしまったのだ。
彼の手が彼女の敏感な部分に触れたとき、ミユキの体は一瞬硬直し、すぐに柔らかく溶けていくような感覚に包まれた。これが何なのか、自分に何が起きているのかも分からない。ただ、その感覚に飲み込まれていく自分を、どこか遠くから眺めているような気がした。
「気持ちいいですね。大丈夫ですよ、すべて任せてください。」
その言葉に、ミユキは小さく頷いた。全身が小刻みに震え、体温が一気に上がるような感覚に襲われながら、彼女は理性が完全に崩壊していくのを感じていた。
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