結婚して3年目の記念日が近づいていた。ミユキは特に大きなことを望むタイプではないけれど、僕は彼女を喜ばせたくていろいろと考えを巡らせていた。普段から家事を頑張ってくれているミユキに、少しでも「ありがとう」と伝えたい。そんな気持ちで、僕は温泉旅行を計画したんだ。
「ねえ、ミユキ。今年の記念日は温泉に行こうと思うんだ。いいでしょ?」
僕がそう言うと、彼女は少し驚いた顔をして、すぐににっこりと笑った。
「温泉?いいね。楽しみ!」
その笑顔を見て、僕の選択は間違っていなかったと確信した。
旅行の日が近づくにつれ、僕はさらに計画を練った。温泉だけじゃなくて、何か特別なプレゼントも用意したい。そう思いついたのが、旅館の「特別マッサージプラン」だった。普段はそんなことをしない僕だけど、彼女の疲れを少しでも癒してあげたいという気持ちが強かった。
当日、僕たちは車で温泉地へ向かった。山道を進むにつれ、窓から見える景色が都会の喧騒から一変し、静けさに包まれていく。ミユキは窓の外を眺めながら「こういうところ、久しぶりだね」と呟いた。その横顔がなんとも穏やかで、僕は改めて彼女が大切だと感じた。
旅館に着くと、スタッフが丁寧に出迎えてくれた。落ち着いた和風の雰囲気で、部屋からは川が見える。僕たちは到着してすぐに温泉に入り、のんびりと時間を過ごした。
夕食前、僕はミユキにサプライズのマッサージプランを伝えた。
「実は、ミユキのために特別なプランを予約しておいたんだ。マッサージ、どう?」
彼女は目を丸くして「マッサージ?私に?」と聞き返した後、少し照れたように微笑んだ。
「ありがとう。でも、なんだか贅沢すぎる気がするね。」
「たまにはいいじゃないか。せっかくだし、リラックスしてきてよ。」
そう言って彼女を促すと、少し照れた様子でマッサージルームへ向かっていった。
そのときは、これが僕たちの運命を少しずつ狂わせる始まりになるとは、思いもしなかった。
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