休日の昼下がり、美樹の姿はエアコンのよく効いた本屋にあった。
仕事関係の本と文庫本を手に取り、会計をしようとして雑誌の並ぶ棚の前で足が止まる。
温泉地が紹介された表紙に美樹は、思わず手が伸びてしまった。
しばらく温泉に浸かっていないこともあり、旅情を誘うその写真に胸がときめく。
温泉は去年の正月に旅館に泊まったとき以来なので、気持ちの開放を渇望してやまない。
今なら有給を取れないわけではないが、夫が休みを取れそうもない。
自分だけが行くのもはばかられる。
美樹は雑誌を棚にそっと戻し、会計を済ませてから本屋を出た。
次にドラッグストアに寄り、必要な物を買い物かごに入れていく。
ティッシュに化粧水、ボディーシャンプー……………そして、衛生用品のオリモノシート。
ここ数ヶ月は必要不可欠な物になってしまった。
場所を移動して隣の列の棚を何気なく見ると、そこには見知った男性がいて、美樹は足を止めた。
マッサージ師の彼だった。
男性化粧品は彼の背後、彼は小さな小箱が並ぶ棚の前に佇んで一つの箱を手に取っていた。
恐らくそれは………避妊具。
誰と使うのだろう。
美樹は理不尽な嫉妬を覚えて、虚しさを覚えた。
彼を放ったらかしておいて、勝手だ。
早足にその場を離れ、食品売り場で調味料を買い物かごに入れる。
牛乳パックを手に取ったところで顔をあげると、隣に笑顔の彼が立っていた。
どうしていいのか分からず、美樹ははにかんだ。
美樹 この近くなの?
マッサージ師 用事で近くに来たついでにたまたま寄ったんですけど、びっくりしました…
お時間が大丈夫なら、お茶でもしませんか?
美樹 ん〜………じゃ、少しなら…
といっても、ここの辺りは近所といっても過言ではなく、人目が気になる。
なんとなくそれを察してくれた彼は、自動販売機で飲み物を買ってくれて、車をトラックの影になる隣に移動してくれた。
大きな敷地にはドラッグストアの他にも、様々な店舗が垣根のない形で点在している。
駐車場は広大で、トラックドライバーの休憩地点にもなっているようだ。
美樹 久しぶり、どうしてた?
月並みな言葉しか出てこなくて自分が嫌になるが、本心だった。
マッサージ師 はい、変わりなく生きています………同じ社屋にいるのに、会えないものですね…
暗に非難されている気分になったが、彼の顔は晴れやかで他意のない本心だと知れる。
マッサージ師 もう、お会いできないかと思ってました…
美樹 ごめんなさい……
マッサージ師 あっ、謝らないで下さい、そんな意味で言ったんじゃありませんから。
ただ、貴女ともう一度、その……なんというか………
彼の言わんとすること、気持ちは美樹には伝わっていた。
美樹もずっと彼のことは、心の片隅にいつもあったのだから。
でも、美樹はドラッグストアの店内で、彼の手に持っていた物が引っかかっていた。
誰と使うつもりだったのか………。
マッサージ師 もう、嫌われてしまったのかと思ってました。
あまりにも気遣いがなかったですよね、僕。
その場の流れだったとはいえ、避妊もせずに行為に及んだことを後悔していたのだ。
マッサージ師 あの、もうあんな不躾な真似はしませんから……ちゃんとします…
だから彼は………。
あの避妊具は、美樹のための物だったと知って、彼を急に愛おしくなった。
現金なものだ。
遠回しに関係の継続を望む彼。
なんて生々しくて、卑猥な響き……。
あの日の出来事が、美樹の脳裏に蘇っていた。
彼の汗の匂いと体温、勇ましい勢いと逞しい彼の………。
二人の会話が途切れ、社内に静寂が流れる。
間を埋めるように、口にしたミルクティーが流れ込む喉のごクリという、小さな音が妙に大きく感じられて緊張感が漂った。
俯く美樹の眼の前が暗くなったかと思ったら、唇に柔らかい感触が重ねられる。
美樹 ちょっと待って……あんまり時間がないのよ……
マッサージ師 あっ……そうだったんですか………すいません……
そうは言ったものの、美樹の中にはもう炎が灯っていた。
このまま帰りたくない………。
美樹は彼を抱き寄せて唇を重ねて、言った。
美樹 このままでもいい?
その願いに応じるように、彼の舌が口の中に入ってきた。
感極まったように、激しく絡み合う二人。
助手席を後に下げ、ショーツを取り去られた美樹のそこに顔を埋める彼。
久しぶりに見る大きなクリトリス。
今までの想いをぶつけられるように、彼の舌が動き回る。
湧き上がる喜びに、彼の頭を掻きむしる美樹。
聞くに耐えない卑猥な音さえ、強烈な快感を助長する愛情の一つにしかならない。
強弱をつけた唇をピストンさせる彼の愛撫に、体が悲鳴をあげる。
もう、耐えられない………。
車が僅かに揺れた。
一息つく間もなく、彼の履くジーンズからペニスを取り出す。
それを覆い隠すように、美樹の口が包み込む。
こんなに大きかったっけ、そう思うほど顎が疲れる。
彼の手が頭を撫で、頭皮を指がじりじりと動く。
とろりとした分泌液が、口の中に広がる。
………………これが、欲しい…。
懸命に首を振りながら、美樹の欲望が募る。
彼の息が粗くなり、太腿に力が入る。
慌てたように美樹を離そうとするが、美樹は譲らなかった。
苦しげに声を詰まらせる彼を攻め、口の中のモノがぶわっと膨らんだ。
喉の奥に飛び出された精液に噎せ返り、涙目になりながらやっとの思いで飲み込んだ。
申しわけなさそうに心配する彼を見て、ミルクティーで口の中の精液を流し込む美樹。
美樹 久しぶりに、美味しかった……。
そういってから美樹は、彼の上に跨がった。
マッサージ師 ちょっと待って、コンドームを買ったんだ。着けさせて下さい…
その気持ちが嬉しくて彼の手からそれを奪い取り、美樹が被せて着ける。
それを掴んで…………。
美樹 恥ずかしいから、見ないで……
マッサージ師 ダメですか?貴女の中に入るのを………見たい…
美樹 ………………………エッチ…
彼も男なのだと思った……。
恥じらう美樹のスカートの裾を彼が掴み、美樹の中に消えていく一部始終を彼は見た。
窮屈な入口を潜り抜け、温もりに包まれていく。
んっ………はぁ〜………っと、眉間に皺を寄せた美樹の口から吐息が漏れる………。
結合部が見えなくなり、美樹の濃い恥毛と彼の陰毛の境が消えた。
座席の背を掴み腰を前後させる美樹に、湧き上がる快感。
目を閉じて恍惚を浮かべる表情とは真逆に、卑猥なリズムを刻む腰。
じょりじょりとする陰毛に、否が応でも擦れてしまう巨大なクリトリス。
苦痛と喜びが混在し、子宮を押し上げるペニスが全てを中和する。
時おり深い波が押し寄せ、それを消化する前に次の波が押し寄せる。
隣のトラックがエンジンをかけた。
気づかれた?………でも、やめるなんて出来ない。
顔を埋められた胸が、彼の吐息で熱い。
いつの間にかサマーニットが押し上げられ、乳首が温もりに包まれて……。
美樹の背中が反り返った………。
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