美樹 う〜ん………どうしようかしら……こんなものかしらねぇ……
タプレットの画面を滑る細い指がスイスイと、上下にスクロールするたび目まぐるしく表情を変える。
便利な時代になったものだと思う。
ブラウス1着買うのにも、こうして指ひとつで選べてしまう。
美樹はダウンコートを希望しているのに、たった1年違うだけでこうもデザインが変わるものかと思う。
今年のデザインは襟のがよくいえば豪華になり、去年までのもはもっとシンプルだったのに……。
もちろん人の好みは人それぞれだし、なんにしても良し悪しはあるのだけど………。
去年のうちに購入しておけばよかったな………。
どこを見ても同じようなデザインしかなく、美樹は急速に興味が失いつつあった。
アパレル業界に身をおいてこういう情報を知らなかった訳ではないが、在庫処分セールを期待していたのに肩透かしである。
もう諦めよう………。
画面から指を離し、タプレットをテーブルに置いたときだった。
流れていた画面が停止したそこには、去年までのモデルが映っているではないか。
美樹は思わずタプレットを手にとって、クリックしてみた。
見たことのない販売会社だが、今年のトレンドからひとつ古いタイプまでが取り揃えられている。
それなのに値段はそこまで安くもない。
下手に安価で消費者を騙すようなところよりはマシだけれど……。
よく見ていくと、どうも毛並みが違うような……。
例えばスカートにしてもビジネススカートスーツがラインナップに、一見は普通のタイトスカートなのだ。
それがスリットの終着点にファスナーがわざわざ取り付けられている。
何のために………?
あるいはトレンチコートのボケットが二重になっており、中の生地を浮かせて手を入れるとそのまま体に突き抜ける構造になっていたり……。
画面をスクロールしていくとランジェリーのコーナーとなり、美樹はここで初めてそういう趣味の人たちが利用する場なのだと気づいた。
美樹 なんてこと………
意図せず覗き見てしまった場所は卑猥に満ちて、目が釘付けになるってこういうことね……。
ひとり納得する美樹……。
そこで美樹は複数の衣類、インナーの類を注文してしまった。
だって見た目は普通のものと、まったく変わらないのだから………。
美樹 どこかで食べていきましょうか……
若者 課長が好きなところを選んでください…
美樹 そういうの、困るのよね……何を食べたいって聞いたのに、何でもいいって返すものよ?
若者 そうですか………じゃあ……貴女を……
美樹 馬鹿…………
彼を伴って出先からの帰り道、決して誰にも聞かせられない会話のやり取り。
若者の返答はあながち嘘ではなく、美樹の辛口な言葉も本音の裏返しだったりする。
今は仕事中、欲しくなるからやめてよ……そんな感じである。
結局この言葉遊びが発端となってコンビニの購入したサンドイッチで済ませ、どこかで2人……そんな邪なことを考える上司と部下だった………。
辿り着いたのは都会の片隅にある小さな公園。
2人はベンチに座り、簡単な昼食を済ませる。
嫌でも目につくので分かっていたが、公衆トイレがある。
とても清潔とはいえなそうな雰囲気に考えを巡らせる。
そういえば中層階ビルの壁に囲まれる公園は造られる段階でその味気無さを隠すためか、周りの壁を隠す意味で常緑樹が植えられ囲んでいた。
木と木の間隔はそれなりにあるが、定期的に剪定される時期の間と見えて隣同士の枝葉がほぼ繋がっている。
しかも後ろの壁とはそれなりの間隔もあり、日の当たらないそちら側は枝葉が伸びないのかお誂え向きの隙間ができているようだ。
簡単な昼食を手早く済ませた女上司と部下は人目を忍び、枝葉が伸び放題の常緑樹の裏側へと侵入する。
そこで抱き合い唇を重ね、時間を惜しむように互いの体を貪った。
とはいえ、時間はかけられない。
若者はその場にしゃがんでスカートを頭から被ると、いつものようにショーツの横からクリトリスに取り掛かる。
手で口を抑えて空を見上げ、肩を震わせる美樹。
鋭さと滑らかさが混在し、巧みな舌使いが筋肉を硬直と弛緩を繰り返させる。
カリ首まで包み込んだ唇が吸着し、動かされるたび体から力が奪われていく。
我慢できない………欲しいと、体が渇望する……。
若者は尿と汗で蒸れた臭い、女の泉が湧き出す入口から発する酸臭に、血流が1箇所に集中するのを自覚する………。
そこからは頭を引き剥がされて、男女が入れ替わる。
取り出したペニスは湯気が上がりそうに熱くなり、反り返りながら脈打っている。
尿の臭いと蒸れた臭いに堪らなくなり、美樹は迷うことなく口に含み弄ぶ。
口内を占拠する物体を喉奥まで招き入れ、引き戻して唇でカリ首を締め上げながら首をふる。
口から出して袋をしゃぶり、根元から陰茎を伝って舌が亀頭に辿り着く。
美熟女になりつつある上司のフェラチオに翻弄されて、苦悶する若い部下が空を見上げる。
美樹 ねぇ………入れて……
待ちきれなくなった自分の上司の命令に、彼女の片脚が持ち上げられた。
黒いショーツが寄せられ、あてがわれる。
亀頭が入り半分ほど沈みかけた時だった。
美樹のバッグの中で、携帯のパイブレーションが振動しはじめた。
画面に浮かぶ会社の文字に、仕方なく通話に応じる美樹だった………。
つい先ほど出てきた取引先に急遽、戻れとのこと。
いささか胸騒ぎを感じながら、上司と部下は先方の入口を潜った。
とうされた応接室で待ち構えていたのは、やはり先程まで相手をしていた自分と同じ肩書の担当者である。
美樹 あの、何か不手際がありましたでしょうか……
担当者 そうなんですよ、君が忘れられなくてね……
美樹の表情が険しくなる。
美樹 あの、何のことか意味が……
担当者 誤魔化すのはよそう……熱い夜を過ごした仲じゃないですか………
美樹は凍りついた。
この担当者とは以前、一夜を共にしたことがある。
共に既婚者でありながら過ちを犯したが、後にいる愛おしい彼と出会う前、数年前のこと。
お互いにこのことは胸にしまう………。
そう約束したはずなのに、こんな禁じ手を使って来るなんて………。
彼には聞かれたくなかったのに………。
担当者 君は彼女の部下だろ?……見たところだと彼女にご執心のようだけど、そういうわけなんだ……
美樹 今さらどうして………最低ね……
担当者 ずっと忘れようとしたんだ………だけど君たちを見ていたら我慢出来なくなったんだ……
美樹 それで?……元に戻ることを断ったなら、悔しくて吹聴して回るのかしら?……
担当者 本意じゃないが、そういう方法もあるね……
美樹が聞いたこともない冷たさを、見せる。
美樹 貴方ほどの人が、火遊びのために自分のキャリアを犠牲にできるの?
担当者 君を手に入れられるなら、それでもいいと思ってるよ……
意地なのかハッタリなのか、目の前の男は握りしめた手を震わせいる。
美樹は振り返って、後ろの彼を見た。
美樹 幻滅したでしょ?……私は、こんな女なのよ………
彼はただ、黙って美樹を見つめた。
その顔はまったく表情が読めず、美樹の中で何かがが音を立てて破滅をするのを感じていた。
担当者 分かっただろ?……君はまだ若いんだから、彼女と心中する必要はない……良かったな……
応接室の凍りつく空気の中で、美樹も考えもしなかったことが起きた。
美樹の着るダウンコートの脇の下に彼が、手を差し入れる、
正確には脇の下よりやや下だが、普通の人には何のためか分からない細いファスナーが取り付けられており、それを引き下げたのだ。
そう、それは美樹が先日見た大人の趣味を目的とするサイト………。
そこから購入した見た目には決して分からない、アダルトな機能のあるダウンコート。
彼は侵入させた手で美樹の乳房を揉んで見せ、相手の男に見せつけた。
担当者である相手の男は美樹のダウンコートの前が、中で蠢く様を見て何が行われているかを理解した。
担当者 きっ…君、何をしているんだ……
若者 見て分かりませんか?……自分の上司の胸を触っているんです……
そう言うと彼はダウンコートの開けた前の、美樹のジャケットの下に手を忍ばせてブラウス越しに胸を揉んでみせる。
担当者 きっ…気は確かか、君は……
若者 貴方こそ、どうかしてますよ?……
美樹は彼の意図を理解した。
そして…………嬉しかった。
捨てられてもおかしくないのに………。
担当者 そんなパフォーマンスで、僕が諦めるとでも思ってるのかい?
顔を引きつらせ、なおも食い下がる……。
若い部下は、妖艶な女上司に言った………。
若者 愛してます………許してください……
そう言うや否や、ダウンコートの後を捲り上げ、スカートも同じようにした。
ただし、コートの前は、ファスナーを締めて……。
最初からすべてを見せることなどしない。
彼の覚悟を悟り、美樹も覚悟を決めた。
お尻をやや彼に突き出し、備える。
そして………美樹の体が揺れだした……。
相手の担当者は目の前の情景がまだ信じられず、余裕のあるふりを見せ、努力して微笑む。
担当者 そんなことまでして、必死だな……
言いながら怒りを抑制し、嫉妬心を噛み殺す。
だが自分を睨みながら不意に恍惚とする美樹を見て、心が焦る。
だが演技だ、巧みな演技に違いない……。
目の前で、本当にできるものか………。
そう自分にいい聞かせ続ける。
美樹の上体が起されてゆっくりと揺れる体、乳房が揉みほぐされるのがよく見える。
俯く美樹の顔が髪の毛に隠れ、表情が見えない。
ゆっさ……ゆっさ……と揺れる髪の毛が艶かしく、信じたくない気持ちを何とかして押し留める。
再び持ち上がった美樹の顔は、淫靡で官能に染まっているではないか……。
嘘だ……そんな筈はない……嘘に決まってるっ!
しぶとく葛藤する担当者を見て部下の彼が、上司の耳に何かを囁くのを見た。
そして、美樹が自らダウンコートのファスナーを下げていく………。
見せられたのは、下着がぎりぎり見えない程度にずり上がったタイトスカート。
それがゆっくりと腰が前に迫り出され………。
横にずれたショーツの脇で、陰茎が出入りを繰り返す様子が目に飛び込んできた………。
担当者は唖然と、立ち尽くす……。
劣情を煽られながら卑しい心が、勃起させる。
上半身を彼に預けて頭を後に寝かせ、快楽に身を浸らせる美樹。
狂いそうな嫉妬心が身を焦がし、なのにしたぎな
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