青天の霹靂という言葉がある………。
美樹が目をかけて急成長を遂げていたあの子会社が、解体されることになったのだ。
理由は社長をはじめとした幹部が、利益を誤魔化していたことが発覚した。
業務上横領という最悪の自体に怒り心頭に達したCEO兼社長は彼等を切り捨てたのはいいが、残された従業員たちの処遇………。
本気としては、それが問題なのだ。
専務 本当はな、退職金を出して……というのが妥当なんだが……
君の功績を無下にはしたくない、そう思ってな……
美樹 ありがとうございます……
専務 君の気持ちは分かる、だが決定事項だからな……
ひとつ提案がある………従業員たちはグループ企業に振り分けようと思うんだ……彼等に罪はないしな…
美樹 本当ですか?……
専務 君が育ててきたんだ、路頭に迷わすことは出来んだろう?
それでな……誰か使えそうな人材がいれば、引っ張ってきてもいいぞ……
美樹 専務……だから好きなんです……
早くに父親をなくした美樹は、父のように慕うこの専務に思わず本音を吐露した。
専務 おいおい……まあ、その……なんだ……社長も鬼じゃない、君のお眼鏡に引っ掛かる者がいたら……まあ、任せる……
仕事には厳しい人だが、人情味のあるこの人こそが社長に直訴していない筈はない。
美樹はかつて、この人に救われたことがある。
知り合いの息子が起こした会社に期間限定で出向させられたのだが、そこで集団レイプをされたことがあった。
烈火のごとく激怒した専務は責任を感じ、彼等に二度と日本の土を踏ませないように僻地へ追放し、またある者はハードゲイの世界に送り込まれてしまった。
美樹 ありがとうございます、専務…
あの……何人かいるのですが、よろしいでしょうか…
専務 好きにしていいぞ……
専務の泣き所は自分より弱い存在に慕い感謝され、人として愛されること。
それが同性ならば古い男の愛情表現で、自分が咥える火のついたタバコをそのままくれてやる真似で感情を誤魔化せる。
だが異性となればそうはいかない。
不器用なだけにどうしていいかが未だに分からず、自分の照れを持て余すしかないのだ。
だからわざと嫌われるような見え透いた嘘を言って、遠ざけようとする。
こんなふうに………。
専務 あぁ~もういいか?……今日は腹の調子がどうも悪くてな……
うぅ~……こりゃあ昨日は呑みすぎたな……
季節は流れ、街路樹に紅葉が見られるようになった。
トレンチコートに身を包んだ女性が通勤にブースの底を鳴らして、颯爽と横断歩道を渡る。
髪の毛を風に揺らし、コートの紐が結ばれた細いウエストがすれ違う男性の目を惹く。
部下の誰より早く出社した美樹はコートをその身から剥がし、ロングブーツから低いヒールの靴に履き替える。
黒いシャツブラウスにグレーのスカートスーツ。
膝上10センチ近いミニタイトスカートが、未だ見事なプロポーションを誇示している。
若い男と肌を重ね、出産経験のない女性としては年齢不詳の美貌が嫌味なくその外見に現れている。
ボタンを閉じたジャケットは胸が小高く盛り上がり、やはり細いウエストが強調する。
無駄に大きくもなく垂れてもいないそのお尻は、パンツなら惜しげもなくその形を見せ、スカートならば男性をそそらせる。
贅肉のない体は部下の女性社員の憧れとなり、密かに男性社員も別の意味で憧れだった。
古株の部下が出勤してすぐに着慣れないスーツに身を包んだ中途入社の新人が、入口に佇んでいた。
まだ若い彼は所在なさげで、不安そうな顔をしている。
そして2人目の新人が現れ、眩いスカートスーツを着て緊張を隠せない顔をしていた。
美樹 ほら、入ってきて……
上司となる美樹に促されてディスクの前に立つ新しい顔ぶれが、揃った先輩たちの前で挨拶をした。
彼女のほうはアパレル業界に興味があり、これから育てるにはうってつけの人材として目を付けていた。
彼は………誰とでもすぐに馴染み、機転の効く人柄とその献身的な性格は職場に必要不可欠になると、あくまで上司として確信していた。
その彼は………美樹のかけがいのないパートナーである、あの若者だった……。
公私混同をしたつもりはない。
仕事が出来ない人間は、必要ないのだ。
若者 お世話になります、課長…
女の子 よろしくお願いします……
美樹 よろしくね……しばらくは様子見だから、肩の力を抜いてね……
そう言いおいて先輩たちの群れの中に送り出した美樹は、上司の顔を崩さず初々しい彼の姿を盗み観ていた……。
若者 ほら……肩の力を抜くって、さっき言ってなかった?…
両手をスカートと太腿の間に差し入れ、ずり上げていく彼。
美樹 上司にむかって聞き捨てならない言い草ね……
若者 わぁ……今日はパステルパープルだね……
2人は多目的スペースとされている、食堂のある階の一角にいた。
若者 怖い顔も素敵だけど、いつもの笑顔のほうがもっと素敵だよ…
ここは社員たちなら誰でも利用できて、食後の後や休憩に使ったり、仕事の合間の息抜きに来る者もいる。
美樹 ここでは私は上司よ、分かって……んっ…
立ち上がった彼に唇を塞がれ、進入してきた舌先に上顎を撫でられ絡みついてくる……
若者 あまり時間をかけられないね……
そこここに背の高い観葉植物が配置され、寛げる簡易的な椅子とテーブルがある。
美樹 そうよ、用心しないと……
再びしゃがんだ彼は、ショーツを寄せてまだ眠気眼のクリトリスに吸い付いた。
美樹 はっ………んん~っ……
上司に連れられて彼はどう見ても新人であり、他の部署の人間からはさっそく上司に目をつけられ熱心なレッスンを受ける、哀れな奴だと同情の眼差しを向けられていた。
自分たちの新人時代を思い出し、居心地の悪さを覚えた彼等は蜘蛛の子を散らすようにスゥ〜っとその場から姿を消していく。
美樹 あぁ……あっ……そんなに……しないで……声がでちゃう……
通路を通る足音や人の声が緊張感を醸し出し、いっそう背徳感が増していく……。
チュピッ…チュッ…ムチュッ…ムチュッ…ムチュッ…
若者 こんなに硬くなって……気持ちいい?…
女子社員の声が近づき、緊張が走る……。
2人連れのうち1人がこの場に寄りたがり、片方がそれを拒んだことで去っていく…。
美樹 早く……貴方のを……
言うが早く開けたファスナーから細い指がペニスを取り出し、亀頭の形に唇が膨れる。
若者 うっ……あぁっ………気持ちいい……
美樹の頭が忙しなく前後に動く……。
足音が近づくたび瞳だけがそちらに動き、遠ざかる足音に安堵する。
美樹 ねッ……はやく入れて……
はしたなくテーブルに座った美樹が彼に脚を広げられ、ショーツの脇から挿入していく……。
呻き声を飲み込み固く閉じた瞼の顔を、天に向けて入ってくる圧力を受け止める。
30秒ほどゆっくりと動いて、ギアが中速に上がる。
歪めていた表情がいきなり恍惚となり、甘い官能に包まれていく……。
子宮の入口を叩かれる深い快感に、美樹は自ら手で口を覆わなければならない……。
また誰かが側を通っていく……。
恐怖心と背徳感に身を焦がし、高まっていく……。
ヌッチャッ…ヌッチャッ…ヌッチャッ………
美樹 あぁ……早くっ……早く〜っ…あっ…あっ…
彼はもう、いつでも出せた。
だが美樹はまだあの段階まで来ていない。
もう少し……まだもう少し……。
声を殺しハスキーがかった小さな声で切な気に喘ぐ美樹を観察しながら、その時を待つ……。
膣が収縮する……
高まる快感に美樹の手に力が入る……
口に手を当てたまま首をふり、気高い美樹の顔が不意に弛緩を見せた……。
刹那………膣圧が上がり、強烈な締め付けの後に腰が前後にピクッ…ピクッ……っと反射運動を見せた。
その時がきた……。
ビクンッ……ビクビクッ……ビクンッ……ビクンッ……
感電したように硬直と弛緩を繰り返し、その身を躍らせる美樹の中に大量の射精した……。
子宮の入口に接触する亀頭を肉壁がふにゃふにゃと動いて刺激され、呻きながら脈動を繰り返す。
抱き合う2人にその余韻を楽しむ余裕はなかった。
今度こそここを利用する社員が、近づいてきた。
迷いのないその足音は確実にここを利用する意思を表し、事実本気にやって来た。
彼はパンツに収める暇はなく、ファスナーを上げる。
美樹はペニスを抜かれた瞬間、漏れ出ようとする精液をショーツで塞ぐ。
貼り付けたおりものシートが浸潤していく………。
パッとテーブルから降りて資料を手にする女上司
を前に、新人らしき彼が緊張した顔で佇む。
そんな光景をタイミング悪く見てしまった社員は、居心地悪そうに離れた位置に座るしかなかった。
美樹 そこだけ気おつければいいのよね…………分かってくれたかしら?…
若者 はい……以後、気おつけます……
美樹 じゃ、戻りましょう……
………うわぁ~……さっそく絞られてるよ…………女を上司に持って同情するよ……
背を向ける男性社員が内心で新人を憐れみ、遠ざかる足音を聞いていた。
いい女なんだけどなぁ………
決して触れることのない美女の柔肌を想像して、女上司の面影をひとり想い缶コーヒーを口に運ぶ………。
午後の業務に勤しむ部下たちの中に、彼はいた。
慣れない仕事に苦戦しながら、健気に先輩に教わっている。
美樹はその姿を微笑ましく思い、ディスクの上の紙にペンを走らせる。
貼り替えたおりものシートは座る美樹の下で、つい1時間前に注がれた精液の残量が浸潤はじめていた。
あんな冒険は控えないと……。
でも………凄かった。
でも…………と、美樹は思う。
あれだけでは、物足りないと………。
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