あまりにも鮮烈な体験だった。
本社の人が派遣されてくるというからどんな人が来るのかと、正直いって緊張していたのだ。
こともあろうに関係部署の課長が来るなんて最初は冗談かと、本気で思ったものだ。
女性だったが一目で切れ者だと分かる、そういった雰囲気を纏わせて現れたときは胃が痛くなった。
気難しそうで失敗は許さない、あの手のエリートはそういうタイプに違いないと思ったのに……。
彼女はフランクに接してくれて、本社の傘下のこんな場所にいる自分に予想に反して優しい人だった。
綺麗な人だと思ったけど、緊張が解れたら改めてやっぱり綺麗だと違う緊張をしたものだ。
こんな所だと分かっていただろうに彼女はスカートスーツで一緒に作業にあたり、仕事をしてくれた。
天然な人なのか意図的なのかは分からない。
彼女には隙が多くて、堪らなかった。
見てはいけないと思うのにあれでは………。
どうしてかは分からないけど結局はそういう関係になったことは、未だに信じられない。
でも紛れもない事実なのは、身を持って知っている。
あれからあの人を何度も夢に見てしまう……。
有無を言わさず腰を振り続けるあの人………。
中で纏わりつくあの感触、あの温もり………。
射精直後に味わった苦しみの中の、あの快楽……。
あの人の女性らしい体臭、体温………。
また味わいたい……。
若者は切に願った……。
パタパタとキーボードを叩く手を止めて金縁に輝く眼鏡をずらして、眉間にそっと手を当てる。
美樹はパソコンの画面から顔をあげ、コーヒーを口に運んだ。
不意にあの若者のことを思い出し、慌てて掻き消した。
だが………やっぱり思い出す。
紅潮させた顔で必死に美樹の攻めに耐え、満足させてくれた。
あのことは2人だけの秘密としたが、とんでもない女だと思われただろうか………。
若いだけあって彼のアレは、いつまでも元気だった。
硬くて熱くて、パワフルで………。
考えるだけで下半身がはしたない涎を分泌させ、ショーツに染みが広がっていく………。
美樹は席を離れ、トイレに向かった。
真新しい染みが出来たおりものシートを剥がし、新たなシートを貼り付ける。
こんな女の誘いにまた、乗じてくれるだろうか………。
自分の性欲の強さに嫌悪し、また彼を捌け口にしようとしているなんて………。
私は………いけない女だわ…。
スマホの画面に表示される電話番号を、トイレの個室で人知れず眺める美樹だった………。
若者 あの、お誘い頂いてなんですが……僕でいいんですか?
美樹 こんなおばさんじゃ、迷惑だったかしら?………無理しなくてもいいのよ?
若者 とんでもない……そんなんじゃないです……こんな綺麗な人に……なんか申し訳ないです…
美樹 上手なのね、お世辞でも嬉しいわよ……そういうの……
2人はあの日のことには触れず、まるで年の離れた義姉弟のように、彼だけはぎこちなく夜の帳が下りた街中を歩いた。
軽く食事を済ませると美樹には因縁のある映画館へと歩を進め、チケットを2人分購入する。
あの日と同じように平日とあって、館内はまばらに座る程度。
やはり端のほうに座り、暗くなるのを待って彼と手を繋いだ。
彼はいくら待っても行動を起こさず、考えあぐねているのだろうと美樹から誘った。
握ったままの彼の手を自分の膝に置き、手を離す。
それでもまだ迷う彼にそっと膝を開き、その隙間に誘い込む………。
戸惑いを見せながら……ススッ……っと意思を見せる彼の手がゆっくりと奥へ、奥へと向かっていく……。
自分でも緊張をしていたのか、それとも興奮のためか、スカート内の湿度が上がっていたようだった。
滑りの良いストッキングのエリアを抜けた彼の手は、境界のレース部分を越えて汗ばむ素肌に触れる。
その驚きに一瞬手が止まり、素肌の感触を確かめるようにしばらく指を這わせて奥に進む………。
やっと目的地に辿り着き、薄手のショーツを伝って谷間へと指が降下していく………。
その指先が突き出た箇所に触れる……。
その刹那、内腿を閉じて彼の手を挟む美樹。
それで確信したかのように彼の指先が、彼の指の第一関節ほどもあるクリトリスを可愛がりはじめた。
ゾワゾワと背中を這い上がる快楽に身を焦がし、スクリーンを見つめる美樹の眉間にシワが寄る。
嫌でも分かる亀頭の形をした部分を、丸〜く擦る彼に一段とスカート内の湿度が上がる。
指の腹で引っ掻くというのか、払い上げるような刺激が美樹の頭を後に仰け反らせる。
太腿の筋肉がピクピクと収縮し、下の口がとろりとした涎を漏らす。
彼の指が湿った部分を何度も行き来させ、横に座る女の欲情を知って指の動きが忙しくなる。
美樹が彼の股間に手を伸ばした。
ジーンズのボタンが固く外せないでいると、彼が自ら外してくれた。
ファスナーを下げ下着からいきり立つ男根を取り出すと、すでに先端から滑りのある分泌液で美樹の指に絡みつく………。
上下に動かしはじめると彼もショーツの中に、手を忍ばせてくる。
クリトリスを擦られる快楽に彼の肩に頭を乗せて体を震わせ、男根をしごく。
彼の口から何度も溜息が漏れ出る。
その彼が不意に美樹の手に自分の手を重ね、動きを止めた。
彼を見ると、理解した美樹は体を倒してそっと口に含んむ………。
数々の情事を重ねてきた女の性技が、彼に襲いかかる。
その快楽に翻弄され、肛門を締めて悶絶する……。
美樹は彼の危機を察して急所から離れ、陰茎を深く咥え込む。
そこを行き来させて、再び亀頭に戻る。
ゆっくり頭を上下させ、夢心地に浸らせる。
そして、攻めな転じた………。
何度か止める彼を振り切った美樹は、容易く彼を導いていく………。
口の中で一瞬ぷくっとさせた直後、美樹は喉の奥に直撃を受けていた。
脈動が収まるまで咥え続け、コクンッと喉に流し込んだ。
何事もなかったかのように身なりを整えた男女2人は、上映を最後まで観ることなく静かに席をだった……。
2人は繁華街から離れ、裏路地を抜けて怪しい輝きを放つエリアに辿り着いた。
余裕のある年上の女、すでに元気を取り戻し余裕のない若者の2人。
真面目な彼は踏み入れたことのない、憧れの領域で浮き足立つ自分を制御できず女に従った。
同じ目的で造られたであろう建物を2箇所を通り過ぎ、次に見えた入口に吸い込まれるように潜った。
2人の繋いだ手が、汗ばんでいた………。
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