いつもと変わらない朝、変わらない部下たちの顔ぶれ。
ふぅ~っと一つ息を吐いたところでノートパソコンの画面から顔を上げると、若い男性の部下と目が合った。
んっ、なぁに?
美樹は彼に声をかける。
周りの同僚たちは机に向かいながらその顔に、こう書いてある、バカだなぁと。
用もないのに上司に小言を言わせる切っ掛けを作る、そんなまねをするのだから無理もない。
しまった……そんな心の声が聞こえてきそうな顔で美樹に向き直る、そんな部下が言った。
………いえ、何でもありません。
美樹 何でもないのにアタシの顔を見るなんて、そんなに貴方は暇なのかしら?
………いえ、あのう……なんか課長、このところ綺麗だなぁと思いまして。
これには彼の同僚たちは、みな呆れて吹き出す者もいた。
美樹 なるほど、上司を馬鹿にするするくらい暇みたいね。
………いえっ、本当です、あっいや、いつもお綺麗ですが、なんか最近、より綺麗になられたなぁって。
美樹 はっ?貴方、何か変なものでも食べたの?
もういいから仕事をなさい。
このやり取りを聞いていた彼の同僚たちは、さすがに不味いと思っていたらしくて顔を引き攣らする者もいたが、上司の逆鱗に触れなかった奇跡に胸を撫で下ろしたようだった。
危ない橋を渡ったこの新人は、隣に座る教育係の先輩に後でキツいお灸を据えられるに違いない。
実のところ上司である美樹の変化には、部下の大半は気づいていた。
特に女性の部下は敏感に。
女性が綺麗になる理由は、そう多くはない。
だが触らぬ神に祟りなし、上司のプライベートには関わらないほうが身のためだと皆知っている。
ただ残念なことに、大人の恋愛というよりはもっと生々しい愛欲そのものだったけれど。
もうあのマッサージルームに行くのはやめようと思うのに、また足を向けてしまう。
あの彼の笑顔、彼の声、そして…………あの魅惑の快楽。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
彼のマッサージを受けているとき、簡易的な衝立の隣から気持ち良さげな唸り声が聞こえてくる。
あの声は隣のセクションの中年課長なのを美樹は知っている、あの人もここの常連だから。
彼の手がお腹から侵入、ショーツの中に入る。
暫くした後に自らの指を噛み、敏感になった部分を指で優しく揉みしだかれて悶絶しなければならない。
挿入された指の危険で甘い刺激に酔い、動かされるたびに快感の波が打ち寄せる。
隣に声を聞かれるわけにはいかない、両手で必死に口を抑えて猛烈な甘さに耐え続ける。
そろそろアレが欲しいという欲求と、それだけはダメだという最後の理性がせめぎ合う。
もうこんな危険でバカげた遊びはやめないと抜け出せなくなりそうで、恐くなる。
我慢出来なくなった彼がペニスを取り出した。
見惚れるほど反り返った男らしいそのペニスを、受け入れられたらならどんなにいいか。
彼が暴走を始める前に、そのペニスを口に入れる。
少し蒸れたような臭気と尿の匂いが鼻から抜ける。
惚れ惚れするくらいカリ首が立ち、張りのあるそれに対して首を前後に振る。
溢れ出る分泌液が口の中を満たし、窒息しそうな苦しみに涙目になる。
そして、射精された精液を飲み込むのだ。
あの臭いは誤魔化しようがなく、証拠隠滅の為には飲み込む他はないから。
もう何回、彼のものを飲み込んだかは数えるのをやめた。
今日も彼の切なげな顔が、美樹は心が痛かった。
※元投稿はこちら >>