美樹 うん……うん………はい、分かりました………無理をしないで、はい……じゃあ、連絡をください……は〜い………
これでインフルエンザ、2人目か………ふぅ~っ…
冬に入ると毎年、数人の部下が必ず倒れる。
そうなると、仕事の割り振りに頭を悩ませなくてはならないのが頭の痛いところだ。
コンプライアンスの厳しい昨今、人の嫌がる仕事は上司である美樹が進んでやることにしている。
美樹 じゃあ、後は頼んだわよ……
自分が戻るまでを信頼のおける中堅の部下に託し、美樹は下請け業者の元へ社用車を走らせた。
大量に仕上がった商品の中に不良品が混じっていることが判明した以上、探し出さなければならない。
待ち構えていたのはパートさんを含めて4人だけ、美樹を入れてたった5人だった。
広い倉庫に大量に積み上げられたダンボールを、少数精鋭が挑むわけね………先が思いやられる。
美樹たちは方っぱなしからダンボールを開け、1つひとつ潰しはじめ………昼休憩を挟んで、あっと言う間に定時を迎えていた。
申しわけなさそうに引き上げるパートさんたちを労い、送り出す。
どこも人手不足なのは同じで、プラントの操業を滞りなくするにはこれ以上の人員導入は望めない。
美樹 貴方もそろそろ上がって、後は出来るだけこちらでしますから…
若者 いえ、こちらの責任なのに……本社からわざわざ課長さんがいらしているのに、そんなわけにはいきません…
美樹 あら、若いのに将来有望だわ……でもね、サービス残業をさせるわけにはいかないから…
若者 あっ、もうカードは押しましたから、後はどうしようと僕の自由時間ですよ……
美樹 困ったわね、嬉しいけど………こんなおばさんに付き合っても何の特はないわよ?…
若者 何を仰ってるんですか、お姉さんにしか見えませんから……
美樹 ふふふっ……失礼だけど貴方、おいくつ?
若者 はぁ……25歳、です……
美樹 嬉しいけど、からかうんじゃないわよ……私をいくつだと思ってるの?……
若者 えっ…………あの、怒らないでくださいね……27〜8歳……くらいでしょうか………
美樹 バカにしてる?………
若者 いっ…いえっ………だって……すみません……もっとお若かかった……ですか……失礼しました……
美樹 あのね………私は舐められているのかしらね……もう、37よ……悪かったわね、若くて…
若者 あの…あの……どういえばいいか……あの正直言いまして……お若く見えますし、それが失礼だとしたら、その、ええと……32〜3くらいかと思いまして……あの……どう言えば失礼がないのか言葉を知らなくて、20代にしては色気があって……あの、あの……30過ぎにしてはお若くて……分かりませんでした………
しどろもどろになって一生懸命な彼を唖然として見ていた美樹は、プッ……っと噴き出した。
クソ真面目な割には地雷を踏みまくり、そうかといって怒るに怒れず、彼を憎めない。
可愛いと、美樹は心が暖かくなった。
美樹 ありがとう……お世辞でも、嬉しいわ…
若者 お世辞なんかじゃありません……本当に………
…………綺麗なのに………消え入りそうな小さな声で、美樹には確かにそう聞こえた。
顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった彼は、黙々と作業を再開して手を動かしはじめた。
美樹もジャケットを脱ぎ、ブラウスの腕を捲って彼に習い手を動かしはじめる………。
どれくらい時間が経ったのか、美樹はコンビニで仕入れてきた軽食を彼に渡して短い休憩とする。
美樹 やっと8割ほどが済んだわね、あともう少しね………
若者 はい、あと1〜2時間というところでしょうか……
缶コーヒーを飲み干すと、2人は作業を再開する。
彼のお陰で不良品の幾つかが見つかっていた。
あと、もう少し………。
疲労が集中力を散漫にさせたのか、美樹に隙が生まれていたらしい………。
普段は第2ボタンまでは外さないのに、暑さに負けて外してしまっていたのだ。
前屈みになるものだから、胸元が知らず知らずのうちに露わになっていたのかもしれない。
黒いシャツブラウスだったのもいけなかった。
透けないことをいいことにインナーを身に着けずにいたから、ブラジャーが彼に丸見えだった。
そして、美樹は膝丈のタイトスカートを身に着けていた。
膝をついたりしゃがむことで裾がずり上がり、短くなっていたのは否めない。
それは目の前にいる彼には目の毒だったらしく、分かりやすい仕草がそれを如実に証明していた。
美樹は悪い虫が騒ぎだすのを、感じていた………。
手に掛けていた作業を終えた美樹は、脚立に乗って頂上をわざと跨いで見せる。
美樹 ごめん、ちょっと怖いから抑えてくれるかしら?……
若者 あっ……僕がやりますから……
美樹 もう登っちゃったからいいわ、抑えててね……
そう言うと美樹は頂上に片足づつかけて、ゆっくりと立った。
そう、ゆっくりと…………。
膝上の丈がさらに短くなり、ゆっくりと膝を上げて脚も広げて見えるように心掛けて………。
我ながら間抜けな気もしたけど、効果のほどは………大有りだった……。
彼も男だったらしい………。
上から降ろしたダンボールを彼に、次々と渡していく。
胸元を見る隙を与えるために、手渡す際には顔を上にある次のダンボールに向けることを美樹は抜かりなくやってみせる………。
美樹 上の向こうにあるダンボール、手が届かないの………取ってくれない?
若者 あっはい……じゃあやっておきますね…
美樹 危ないから、抑えてるわね……
若者 あっ…いえ………それは大丈夫ですから……
美樹 ほら、遠慮なんかいらないから、早く取ってちょうだい……
彼は問題あり気に、渋々と脚立に足をかける。
妙に時間をかけて、片足づつゆっくりと上がっていく………。
思った通り………ズボンの前が膨らんでいた……。
美樹は気付かない振りをして、素知らぬ顔を決める。
自分でも、悪い女だとの自覚はある………。
それでも体の奥の疼きは、収まることをやめてはくれそうにない………。
美樹の体は、熱を帯びはじめていた………。
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