まだそれ程暑くない爽やかな朝を真由美は迎えた。約束の土曜日の朝だ。食欲は無かったが朝食はしっかり食べた。夫とは食事は共にしていない。
これから本当に痴漢に会いにいくのだろうか?誰にも強制されていないのだ。すっぽかしても誰に文句は言われまい。飛鳥も強制したわけでもない。
居間で真由美は一時間ばかり考え込んでいた。飛鳥にキャンセルされ塞いでいた。もう会ってくれないのではないか?
ひょっとしてこれは新しい飛鳥から与えられた試練のようなのかも知れない。リスクも無いようにって掲示板にも書かれていた。
きっと飛鳥が遠くから見守っていてくれるに違いない。
何時の間にか鏡に向かって濃い目の化粧をしている自分に気付いて真由美はハッとした。
自問を繰り返しつつ全裸になり剃毛もした。トイレに行き排尿した。いつも通り便意もあったが悩んだ挙句出すことは出来なかった。
あまりにもの変わりように真由美は情けなく感じた。
(すっかり淫乱ななった真由美をどうか皆さんで罰して下さい。)
大小二つのバイブ付きの革のパンティを装着し与えられたミニのワンピースに身を包んだ。
黒のサングラス、マスク。最後にサマーコートを羽織り真由美は家を出た。
近所の幾人かには見られたかも知れないが真由美には気にする余裕はなかった。
最寄りの駅に近づくに連れすれ違う人も増えていく。すれ違いざまに振り向く男の数に真由美は改めて自分の美貌に自信を取り戻していった。
掲示板で真由美は小銭だけ持って来ればそれで心配いらないと言われた。携帯やバッグなどは紛失の恐れがあるからだそうだ。
素っ裸で男達に取り囲まれて携帯やバッグを気にするのも確かにおかしい。
サマーコートを収容出来そうな大きな紙のバッグと小銭入れに3万円と小銭を入れ真由美は最寄りの駅から電車に乗り約束の駅に向った。
観光客でそれなりに混んではいたが警戒の厳しい今日、とても痴漢なんか出来そうな雰囲気では無く真由美は一瞬ホッとした気分になった。
やがて電車は目的の始発駅に着いた。
ホームに降り真由美は約束の場所に移動しだした。心臓の鼓動は早まり上気した顔は赤らめてくる。
息苦しく感じマスクを外した。サングラスを残しているとはいえ真由美の美貌の一部が晒される。
色白の顔面に黒のサングラスはよりひときわ注目を浴びる。
男達の視線を浴びながら真由美はホームを歩く。
始発駅のため座席が取れるようにと各乗車口に人が並び始めている。
真由美は指定された乗車口に大勢の男達が並んでいるのを目にした。
若いものから上は60代まで。
気が付けば真由美はサマーコートを脱ぎ買い物袋にそれを仕舞い込んでいた。
真由美が乗る乗車口まで3列あった。回りの人は突然現れた不似合いの服装の熟れた体の女に注目する。
掲示板での約束ごとで当日はスマホ等で撮影することは禁止されていた。それで真由美も大胆になれるのだ。
後ろからシャッター音を真由美は感じた。
ノーブラなのは上半身を見れば分かる。ひょっとしたらこの女はノーパンではないかと後ろの男達は期待したのだ。
(ごめんなさいね、残念ながらノーパンではないの。でも真由美、、、、)
おもむろにサングラスを外すと真由美はチラッと振り向き男達を確認した。予想以上に上品な顔に男達は違和感も覚えたがそれ以上に期待がより募った。
顔を元に戻し後ろを彼らに向けたまま今度は少し足を開き加減にして地面に置いてある紙袋の中を探るような仕草をする。
膝を伸ばしたまま屈むため真由美の秘密が後ろの連中だけでなく近くを過ぎていく者にも晒されたのだ。
大きな紙袋に顔が入ってしまいそうになるくらい頭を下げた真由美は男達が遠慮なく息使いが聞こえる程近づいて写真を撮るのを確認してから
サングラスを名かの小さなバッグに仕舞った。
乗車口で待っていた掲示板の連中は想像以上の真由美の美貌に喜んだ。その車両の前方、真ん中、後方の乗車口は彼らで一杯になった。
ヤクザっぽい顔の連中も見られたので一般の乗客は誰も並べなかった。
そしてその先頭に立って電車を待つ真由美を興味深く眺めるだけだった。
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