都会に聳え立つ高層ビル群。
寒風が吹き荒ぶ夜、ビルの玄関からひとりの女が外に出てきた。
ハイヒールをコツッ…コツッと鳴らして。
赤のアルファ・ロメオスパイダーに乗り込むと、靴をスニーカーに履き替えてエンジンをかける。
夜の街を流して小一時間も走り続けると、海岸近くの小さなカフェに辿り着いた。
あと1時間もすれば閉店の店内には一組の客を除いて他には誰も居らず、初老のマスターがひっそりとカウンターの中に居るだけ。
窓際の席につくと、注文した珈琲が運ばれてきた。
大抵の男なら間違いなく目を奪われるであろう、美人。
30年若かったらなら近づくのをきっと躊躇った。
吸い込まれそうな美貌の彼女の前に、そっと珈琲カップを置いた。
時々ふらりと来店しては1人、窓際で珈琲を口に運ぶ。
彼女の人生に何があったのかは、知る由もない。
人生経験が豊富なマスターは余計なことを喋らず、お待たせしましたとだけを言って速やかにその場を離れた。
何をもって幸せなのか、清水優香には分からない。
がむしゃらに走り続けて40を過ぎ、社会的地位も手に入れた。
今は離婚協議中だが、一度は結婚もした。
子供が出来なかったのは、今となっては良かったかもしれない。
優香は幸せだった昔を思い出していた。
結婚を誓いあい、あとはその日がくるのを待つだけだったのに、突然その夢は絶たれたのだ。
勤めていた会社の社長令嬢に見初められ、結果的に奪われてしまったのだ。
当時彼の実家は商売をしていて、連帯保証人をしてやった相手に飛ばれて莫大な借金を負わされしまっていた。
それを肩代わりするのを条件に、令嬢と結婚する道を彼は選んだ彼には選択肢はなく、そうぜざるを得なかったのだ。
優香は絶望し、仕事にすべてを注いだ。
もともと結婚も打算でしたに過ぎない。
仕事と地位、プライドの鎧を身に纏うことでしか生きてこれなかった。
職場では影で鋼の女と呼ばれていることを、優香は知っていた。
スポーツジムでボディスタイルを維持をし続け、美容エステで美貌に磨きをかける。
頭も切れて冷酷に判断を下すその姿は、部下たちを震え上がらせる。
誰にも媚びずに生きて、姑息に足を引っ張ろうと画策する者を、容赦なく社会的に抹殺してきた。
こうして1人安らぐ貴重な時は、心底ホッとする。
暮らしには困らないのに、埋まらない心の空きが気になるのだ。
結婚はもういい、必要ない。
何かに飢えを覚えているのを感じるが、自分ではそれが何なのかが分からない。
何を渇望しているのかが………。
数年がかりのプロジェクトが実を結び、会社には多大な利益を持ち帰ることに、優香は成功した。
今日は社長室に呼ばれ、社長直々の労いを受けることになっている。
優香は何を着ていこうかを悩み、ウォークインクローゼットで数ある中で、目に止まったスーツを手に取った。
膝上7〜8センチのスカートスーツ。
よほどの自信がなければ、この年齢では着られない。
優香の美貌と変わらぬスタイルは、有無を言わせぬほど何の嫌味もなく似合ってしまう。
自慢の身体をシルクのような泡で包み込み、熱いシャワーで洗い流す。
引き出しから取り出したランジェリー。
ショーツは前も後も肌が透ける素材が使用され、ブラジャーも同様に総レース仕立て。
その黒の下着の上下を惜しげもなく身に着ける。
前面には揺らめく炎のように、気の強い優香らしく剛毛がその姿を見せている。
普段は着けないが、この日はランジェリーに合わせて黒のガーターベルトでセパレートストッキングを吊って見せた。
優香は見えないお洒落で武装する、身も心もこれで豊かになれた。
メイクはナチュラルに、髪の毛はシンプルに後ろで纏めて薄いグレーのスーツに身を包み、颯爽と玄関を出た。
車に乗り込んでイグニッションを回す。
どうしたことかエンジンが愚図って、言うことを聞いてくれなかった。
イタリア車にありがちなトラブルだ。
仕方なくハイヒールをバッグに放り込み、純白のスニーカーを履いた足でバス停に向かった。
運悪くバスが出発した直後らしい。
次は10分後。
所在なさ気に待つ優香の耳に、バスのエンジン音が近づいて来るではないか。
見ると間違いなくバスが向こうからやって来て、優香の前に停まった。
ダイヤの乱れだろうか、特をした気持ちになってバスに乗車した。
朝だからかそれなりに混み合っている。
なぜか後方が空いていたので、そこまで移動をする。
眠そうな顔した中年男性が、自分を広げて見始める。
昭和の光景を見るようだと思っていたら、そういうのは電線するのか周囲の男性も同じように新聞を広げ出した。
揺れる車内でよく見られるものだと、急に閉塞感の出た車内を不快に感じる優香の尻に、違和感を覚えた。
明らかに手の感触。
掃き捨てるように払い除け、相手を睨みつけつけた。
社内では滅多にすることはないが、優香に睨みつけられた部下は誰もが緊張で身を硬直させる。
信じられないことに、また尻を触ってきた。
振り向いてキッ…っと相手を睨む。
相手は怯むどころかスカートを捲り上げようと、強引な手に出てきた。
常識では考えられない暴挙に、優香は両手で必死に抵抗した。
すぐ隣の男性にぶつかったが、この状況を見れば何が起こっているかは一目瞭然だろう。
当然、相手が窮地に陥ると優香は確信していた。
なのにどうしたことか、ぶつかった男性が一緒になってスカートの裾を掴むのを見て、愕然とした。
片腕を拘束され、下半身は露出されてしまった。
だらしなく蛇腹状になったスカートはウエストに留まり、前後からショーツを降ろされる。
必死になって1人の男を睨みつけた。
後から羽交い締めにされると、ショーツが足から抜き取られて男のポケットに収められてしまう。
その場にしゃがんだ男の肩に、片脚を掴んで乗せられた。
身を捩って抵抗しても羽交い締めにされていては、たかが知れている。
男の口が密着した。
刹那、気持ちの悪い感触が割れ目の中を縦横無尽に走り、全身に鳥肌が浮き出る。
舌先が、唇が、受け入れ難い刺激を与えてくる。
優香は自分を見上げなから鬼畜の所業を続ける男を、これ以上ない憎悪を向けて睨んだ。
男の舌が包皮の上からスリスリと、刺激を与えてきた。
それは執拗で、身体がゾワゾワしてくる。
やがて恐れていた感覚が沸き起こる……。
誰が見せるものか………。
彼らが喜ぶ反応を見せまいと、優香は気丈に耐える。
唇を引き結んで男を睨み続ける優香の鼻息が………だんだん荒くなっていく。
勃起を始めたクリトリスを露出させ、直に舌を這わせる。
優香の腰が意思とは関係なく、ビクンッ…と反応する。
繊細に細かく舌先を動かし続け、男は優香の表情を観察する。
鼻の穴が広がり、時どき唇が薄く開く。
屈辱的な状況でいくら毅然と振る舞っていても、身体は正直に反応する。
クリトリスを唇に挟んで吸う……舌先を暴れさせる。
ビクビクッ……ビクッ……ビクッビクッビクッ……
はっ…ふっ…………はっ!…んっ!………んふっ……はっ……
目を潤ませて恥ずかしそうに、それでも一生懸命に必死に耐えている。
この人混みの中にあって、そこには優香の強靭なプライドが滲み出ていた。
舌を動かしながら挿入した指を、忙しなく動かす。
キュ〜っと締め付けてくる指を、それでも動かしていく…。
うっ…んっ……んっ…んっ…んっ……はぁっ…はぁっ…はぁっ…
何度も息を詰まらせ、平静さを装おうとする優香の顔は、もう誤魔化せないほどになっていた。
羽交い締めにしていた後の男はいつの間にか黒いブラウスのボタンを外し、セクシーなブラジャーを押し上げていた。
男に身を預けるようにしている優香は乳房を揉みしだかれ、指の間から茶色で大きめな乳首を覗かせてなされるがままになっている。
ガーターベルトに吊られた太腿の筋肉が、反応するたびにギュっと力が入る。
頭まで後に預け、目を閉じて快感に翻弄されている優香。
日々の暮らし、忙しさ、立場から解き放していく。
優香が女であるために、女の欲望を覚醒させていく。
本能のままに感じさせ、快楽にどっぷりと溺れさせるのだ……。
男は妙に感心していた。
ここまで匂わない女はあまりいない。
専用のソープを使用して洗うだけでも違うが、恐らくは膣の洗浄もしているはずだ。
ジェル状のものを入れて、自然に出てくるのを待つものだ。
ということは排卵期か、生理後なのだろう。
自分に妥協しないタイプなのかもしれない。
この手の女は徹底的に快楽地獄を味合わせないと、後が面倒になるかもしれない。
数限りないオーガズムが必要になる。
手始めに、まずはこのまま………。
舌を忙しなく、休まず暴れさせる。
ハフハフっと止めどない快感に危なげな吐息を漏らし、その時が近づいていた。
小さな鬼頭を彷彿させるクリトリスが、パンパンに膨張している。
吸って舐めて、舐めて舐めて、吸って吸って、舐めて舐めて舐め続けた。
弱い電流を流され続けられているかのように、不規則に痙攣し、快感にプルプルと身体を震わせて………。
優香は激しく身体を捩り、発狂しそうな快感の果に達した。
数年ぶりの快感に、抗い切れなかった。
あまりにも気持ちよくて………。
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