M子は、前法務大臣の事務所にいた。例の作戦の為である。
偶然だが、前大臣は、M子達と同い年で、大学はM子と同じだった。面識は無くても同窓生というのは、かなりの好材料だった。
「へー、私達キャンパスで、すれ違ってかもね。私は、法学部、あなたは経済か。」
「大臣。法学部さんは、特別で都心に有ったから、ありえませんよ。」
「そうだった、そうだった。ごめんなさい。ヤダ、私もう大臣じゃないわよ。オホホ。」
と、上機嫌に成った。流石M子である。
「そう、あなたも大変だったのね。私も苦労したから分かる。良かったわね。持つべき物は、友ね。羨ましいわ。でも、旦那さんのディラーって、そんなに資産があるの?」
M子達には、名刺を持たせていた。
氏名の上にA子はバリスタ、S子は美容師、M子はディラーと、記載されている。
「先輩、個人情報ですので勘弁して下さい。でも私のお願いを聞いていただいたらお教えしますわ。そしたら、ご夫婦も何も言わないと思いますから。今日は、H子、いや奥様に頼まれて来たんです。」
「そうか、総理は四面楚歌で疲れちゃったのね。可哀想に。別に、大臣外されるなんて想定内だったし、総裁選で利用されたの承知してたわよ。」
「先輩、法学部で政治評論家ですから、当たり前ですよ。」
「ヤダ、あなたお上手。でも短い間だったけど、総理の言う通りで、スキルが上がったから感謝してるのよ。」
と、言ってくれたのである。
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