3人は、自分の店や事務所などで働く独身女性だった。
しかし、急激な世界情勢の変化の煽りを受け窮地に陥っていたのである。
「えー、そんな。なんとかならないの?」
妻が、大声で叫んだ。
彼女達の店や事務所のオーナーが家賃を値上げした為に赤字に成ってしまったから、手放す。と言うのだ。
A子は、行きつけの喫茶店、S子は僕の行きつけ美容院で妻は僕と結婚して紹介したら、同い年で馬が合い仲良しに成った。
M子と僕ら夫婦は会社の同期で、めちゃくちゃ優秀だったから独立したのである。
「お前ら、一人っ子でもう家族いないんだから、自宅売ればいいじゃん。」
と、僕が言ったら、
「バカじゃないの!じゃあ何処に住むのよ。高齢独身女性に部屋なんてなかなか貸してくれないの。バカ、死ね!」
(やれやれ、相変わらず、気の強い女達だな。以前よりパワーアップしてるよ。今更、普通会社でも再就職は厳しいな。やれやれ。)
「もう、うちの旦那に八つ当たりするのは構わないけど、困ったね。」
(ひでーな。だから女は怖い。僕はいわゆるマスオさんだから仕方無いか。)
妻の実家は、父親が大企業の一族で母親が名家の資産家の一族。彼女も一人っ子で莫大な遺産を相続したのである。
何も不自由のない家庭に育った彼女はヤンチャだった。親がうるさいから、とりあえず就職したが、研修で一緒だったM子と仲良しになり、僕は気の強い二人の愚痴のはけ口だった。
「K!悪いけど私と結婚してくれるかな。」
と、H子(妻)に、社員食堂で言われたのである。
「あんた本気?こいつオタクだよ。他の男社員に聞いたけどAV沢山持ってる。って噂、それも違法のやつ。多分童貞でマザコンだよ。」
と、M子が言ったら、
「親がうるさくてさ、祖父が病気で長くないから、孫の結婚式を最後に見せたいらしいのよ。こいつの親、公務員だから身元はしっかりしてるし、結婚後も言う事聞きそうだからね。可哀想だから婿養子にはしないからさ。あはははー。」
そのような経緯で、僕は今、超富裕層のマスオさんなのである。
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