………さん…さん……優子さん、大丈夫ですか?
どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。
女性の声だ、聞き覚えがあるような気がする。
ぼんやりとした視界が次第にはっきりしてくると、見慣れない天井だった。違う……病院!?
そこで優子は意識が覚醒すると、自分の口元に酸素マスクをあてられていることに気づいた。
女医ー気がつかれましたか?
優子ー先生、わたし………
女医ー2〜3分、お休みになられてましたね。
ここのところお仕事はお忙しかったのかな、お疲れのようですね………
確かに仕事は忙しい。
でも意識を失うほど疲労困憊だったわけでもない。
だって、あんなに………。
優子は長時間にわたって性の喜びに浸っていたことを思い出し、今もまだ自分の中にあるペニスの存在を意識して、羞恥心に身が焼かれそうだった。
女医ーいいんですよ、むしろ当然なんです。この検査を受けられた方々はどなたも同じですから、大丈夫。分泌液の量はたかが知れてますからね、感じていただくことは大事なことなんです。
よくも理路整然と言えるものだと思いながら、これから事あるごとに、今日のことを思い出すだろうと優子は思った。それほど堪らなかったから。
女医ーそれで、どうなさいますか?……いま採取した分泌液の量で検査には出せますが、より確実性を上げるのなら採取出来る分泌液は多ければ多いほど望ましいんです。お体のご負担もありますから、無理にとは言いません………。
そんな………優子は思った。また恥ずかしい思いをしろというのか………。
女医ー初めに申し上げたように、これはあくまでも医療行為です……治療や検査に痛みや苦痛はつきものですが、この検査においては性的な快感を伴うことは、そういう意味で一種の苦痛だと考えているんです。ですから…………
優子は女医の講釈を聞きながら、新たな波が押し寄せるのを自覚していた。
断りもなく、とてもゆっくりとペニスの輸送を再開されている。
言葉を選んで抗議の声をあげようにも、女医は瞼を閉じて身振り手振りで講釈を続けている。
不意に脊髄を貫く電流が走った。
敏感なクリトリスを撫でられたのだ。
そっと触れる指先でスリスリッ……スリスリッ……
っと。その鋭い快感に声を出しまいと下唇を噛んで、やり過ごす。
息を吹き返したように、ペニスが動き出した。
入口まで引いていくと、ゆっくりと奥まで進入してくる。そして渚の波が引くように後退していって、打ちよせてくるように迫りくる………その波は優子の思考を鈍らせるお土産を引き連れてきた。
女医はもっともらしい理屈を織り交ぜながら話を続け、優子の様子を窺った。
もうこちらを見る余裕はなく、天井の一点を見つめて唇を噛んだり、眉間にシワを寄せたと思えば微かに顎を上げる仕草を何度も繰り返している。
優子は再びスタートラインを越えて、虚ろな目をしていた。
女医は話を端折り、あたかも重要な確認を取っていたかのように進めた。
女医ーそれではよろしいですね?……検査を再開します
優子ー………えっ!?……あっあの……えっ…ちょっ……
女医のやや大きい声が耳に入って我を取り戻した優子は、事態を飲み込みはしたが承諾をした自覚はない。誤解だと声を上げるのとは違う種類の甘い声が出てしまいそうなのを堪えるしかなかった。
理屈抜きで、感じざるを得なかった。
船は港を出港した、次はいつ戻れるのだろう……。
いっそのこと、目隠しのカーテンを開けて糾弾できればどれだけいいだろう。でも優子にはそんな勇気はなかった。なにより見てしまったら、自分で自分には言い訳ができなくなる。理性が冬眠に入ろうとしていた。
打ち寄せる波に抗うためか自我を保つ為なのか、
無意識に目隠しのカーテンの先に両手を入れて、優子は自らの太腿に爪を食い込ませた。
それで何かが変わることもなく、男性医師を喜ばせるだけだということは知る由もないなかった。
男性医師には目隠しのカーテンの向こう側から、再び聞こえ始めた優子の淫らな息遣いが堪らなかった。先ほど女医に見せられた優子の姿が脳裏に蘇る。まだかと女医を見やると、腕を組んだ彼女は首を縦に振らない。仕方なく生殺しをいましばらく続行する………。
後頭部の枕が鬱陶しかったが、いつの間にか下に落してしまったようだった。
論理的思考は働かず、強烈なレベルには届かないまでも終わって欲しくはない、そう思わせるほど気持ちがいい………女医が携帯で盗撮していることなんて、気づく筈はない。
その映像を女医はまたも男性医師に見せた。
優子はうなされるように首を右に左に倒し、噛んだ唇を開いて無意識に舌舐めずりをしていた。
不意に背中を持ち上げて白い喉を見せる。
元に戻ると服の上から乳房を触り、握るように揉み始めた。社会に生きて常識もそれなりにあるであろうプライドを持ち合わせる女性も、性的快感には身を委ねてしまう………。
男性医師はペニスに痛みを感じた。もうこれ以上は海綿体に血液が流れ込む余地はないのに、脳が命令した。
硬いゴムのようになったペニスに力が入る。
反り返ったペニスの先端から中程までの部分が、優子のお腹側の膣壁に密着して、往復するごとに鬼頭が撫ぜ続ける。
男性医師は全身に汗が滲んでいた。
女医ー気分は悪くないですか?……大丈夫ですか?
優子は女医の声は聞こえたが、返答するのが億劫だった。正しくは余裕がなく思考が定まらなくて、返答をするのにも努力が必要だった。
女医ー順調ですからね……ここから少し速くなりますよう〜……頑張りましょうね……
男性医師に顔を向けた女医は、一つ頷いてみせた。
我慢を重ねていた男性医師は表情をほころばせ、輸送のペースを上げた。
優子に密着させた下半身が肌を打つ音、摩擦から粘膜を保護をする分泌液のなんとも言えない音が響き渡った。
奥を突き上げてくる苦痛、それを凌駕する快感に苦しくて酸素が欲しかった。
もっと…もっとと熱望していたことなのに、受け止め切れない。
優子はただひたすら溺れるしかない。
すごい……いいっ!……あぁ…あぁっ…だめ…こんなの……こんなの……もう……もう……
男性医師の額から汗が滴り落ちる。
2人の結合部は白濁した分泌液にまみれている。
優子の膣口がペニスの後退に合わせて外側に膨らみ、沈み込むのにつられて内側にへこむ。
膣の中は無数の小さな泡だった分泌液が絡みついたペニスが忙しく踊る。
その時が近づいていた………。
優子はもう恍惚を置き去りにして、男性ではおよそ耐えられない怒涛の快感の最中にいた。
オーガズムに達したとの自覚はあっても、終わらない。
その先に新たなゴールラインが用意されているように、許容を超えた快感を注がれ続けて身体が硬直と弛緩を繰り返す。
視界が白くなってきた。
身体が大きく、何度か揺れた。
子宮口の当たりが温かくなった気がする。
それを感覚で優子は感じた。
男性医師は目隠しのカーテンをちらりと捲り、密かに優子を見る。
胸を上下させる優子は瞼が完全に閉じきらないまま、唇を震わせていた。
10分近く経って、ようやく優子は我を取り戻した。
その頃には膣洗浄は済んでおり、女医が何やら話をしていた………。
※元投稿はこちら >>