は〜い、お疲れさまでした〜……クールダウンをしっかりしておきましょう…
最後の仕事が終わった。
汗で光る肌、心地の良い疲労がカロリーの消費量の激しさを物語っている。
岩田理沙は代謝の落ちる30歳のボーダーラインを5つ越えて尚、美貌と美しいボーダースタイルを維持し続けていた。
それはひとえにエアロビクス・インストラクターという、プライドでもある。
スポーツブラとスパッツで武装したそのボディは、贅肉は皆無である。
無駄に巨乳でもなく貧乳でもない、バランスの良いサイズの乳房。
引き締まって形の良いヒップは男性受講者の目を引きつけ、細いウエストと揺れ動くバストは彼らを虜にさせて、女性受講者の憧れでもあった。
奇跡の35歳とまことしやかに囁かれて勤務するジムの生きる宣伝されるのは、本位ではない。
いつまで続けられるのか、当の本人にも分からないからだ。
最近はさすがに疲労がなかなか抜けなくなった。
まだ幼い娘の自慢の母でいたい、その気持ちは強くある。
夫との仲は悪くはないが母となってからは妻である自分は、女というより家族という存在に彼の目には映るようになった。
大恋愛の末に結婚したが、人は変わる。
夜の性生活は減り、あったとしても淡白なものへと変化するようになった。
いま自分が女のアイデンティティを自覚できるのは、インストラクターをしている時間なのだ。
男性の熱い視線には気づいていた。
女はそういうことには敏感で、必ずしも嬉しくはなくて嫌悪感すら感じている。
しかしながら女見られる……言い換えれば性の対象とされることは、自尊心をくすぐられる。
この矛盾が、悩ましいのだ。
そういえば数日後に、健康診断がある。
大きな駐車場の一角に医療設備を詰め込んだ特殊車両の、大型バスが来るらしい。
なんでも女性陣はとある産婦人科医院から派遣されたバスで、健康診断を受けると聞かされている。
至れり尽くせりの会社の対応に、理沙は感謝だと思う。
なにせ婦人系の検査が充実しているのだから。
その日までに体調を、整えなくては………。
さすがに1人当たりの時間は、それなりにかかる。
なので1週間のうち数人づつに分けて行われ、済んだ人に理沙は感想を求めた。
なぜだか口数少ない人とそうではない人にはっきりキッパリと別れるのだ。
まぁ乳房の検査は色々あるし、ましてや子宮頸部を視診されるのは抵抗はある。
前もってその内容を知らされなければ理沙だって、気持ちの準備が出来なかったかもしれない。
自分の順番がやっと回ってきた。
理沙はこういうのは初めて体験する。
物珍しさにキョロキョロしてしまって、ちょっと恥ずかしい。
検査着に着替えるのに、ブラジャーは取らなければならない。
そういえばレントゲン撮影は、ブラのワイヤーだのホックの金属だのがダメだと聞いたことがある。
体重測定、身長、血液検査、心電図……お決まりの項目を消化していくと、いよいよ婦人系の検査に移る。
乳房の触診はとても丁寧だった。
女医だから安心で、しなかやな手つきは女性ならではのもの。
ただそれが乳首にまで及だことは説明から必要性を理解していても、複雑な気持ちにさせられた。
摘んで引っ張られ、こねくり回して先端を擦られて……そのすべてが優しく丁寧で、反応しないわけがない。
どうだろう、1〜2分はされていたのかもしれない。
平静さを装っていようと寝た子を起こされた身体は、その変化を乳首の勃起が主張することで証明してしまっていた。
ただでさえ恥ずかしいのに、その後が超音波による検査だ。
ジュル状のものを塗られ、器具を軽く押し当てて乳房の内部にある乳腺を診ていく。
それが終わると超音波では見逃されがちな変化をマンモグラフィという、大変不評な検査に移る。
これは以前にも経験があるが、乳房を上下から挟まれてぺったんこにされるのだ。
やはりそれなりの苦痛を伴い、辟易してしまった。
そして胸部のレントゲン撮影。
これは先に済ませていたが、肺と乳房をそれぞれ分けて撮影された。
乳房は正面と横からの撮影で、胸のシルエットの中に白く無数に走る乳腺がハッキリと写る。
病変があれば、直ぐに分かるということだ。
ほぼすべての検査が終わり、残るは子宮の検査。
あの忌まわしい脚を開く診察台を思い浮かべていたので、やっぱり憂鬱な気分にもなる。
でも目の前なあったのは、フラットなベッド。
それだけでも心理的圧迫感は薄れるというもの。
これで終わりだ、そう思うと楽になった。
理沙と同年代の女医が、声を掛けてくれる。
女医:藤子 そんなに緊張しないでも大丈夫、身体の力を抜いてリラックスして下さい……
自分が思うより緊張が顔に出ていたらしい。
直ぐに目隠しのカーテンを引いてくれて、有り難かった。
この医療用特殊車両を所有するのは知る人ぞ知る
、ある産婦人科医院である。
医院長の細川順子を筆頭に、明子、藤子の三姉妹が医師を勤め、その下に下僕とされる男性医師たちがいる。
もちろん所謂、普通にまともな医師も所属しているから質が悪い。
彼ら普通の医師たちは一般患者の目隠しとなり、情報漏洩を防ぐ役割りと、まともな医療提供に役立っている。
女医:藤子 下着を取りますね……ちょっとごめんなさい…
シンプルながらやや面積の少ない、無駄がないデザインだからこそ悪くない下着だと藤子は思った。
そしてそのショーツは、意味深な染みができている。
乳房の触診、もっというならあの乳首の触診を受けて感じない女性はいない。
いくら顔を澄ましていても………だ。
女医:藤子 ちょっと冷たいかもしれません……力を抜いてリラックスですよ~…
膣の中は艶々してオリモノや恐らく、先程の触診により分泌された透明なものが溜まっていた。
藤子はもう、攻めるための戦術を決めていた。
女医:藤子 岩田さんは最近、疲れやすいとか疲れが抜けないといったことはありませんか?
理沙 そうなんです、年齢のせいかと思ってたんですけど……
女医:藤子 身体を動かされてるようだから盲点になりがちだけど、内蔵の血流が少し落ちてるかもしれないですね。
詭弁だった。20代のときよりも体力が落ちるのは至極当たり前のことだ。
女医:藤子 内蔵の血流が落ちてくると、これからいろんな不調が出てくるかもしれませんね。
理沙 えぇ~………改善はできるものでしょうか?
女医:藤子 もちろん……女性ホルモンを活発にすれば変わると思いますよ?
パートナーとの性生活はどうですか?
理沙 それは……答えたほうがいいんですよね……
実はもう、あまりなくて……
女医:藤子 大丈夫、心配はありませんよ。
簡単な治療で改善は望めます。
せっかくだから、今から受けてみますか?
理沙 えっ、今から可能なんですか?
女医:藤子 問題ありませんよ……じゃあ始めましょうか…
理沙 よろしくお願いします…
藤子は快楽の色をおくびにも出さず、準備に入った。
いま、官能の扉が開かれようとしていた………。
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