昨夜はあまり寝た気がしない。
自分でも意外だった。
何だかんだいってもやっぱり緊張していたのだろう、何度も目が覚めてしまった。
うとうとしてまた目が覚めてベッドサイドの時計を見たら、もう起床時間の30分前。
寝るのを諦めて水を1杯飲んでから、シャワーを浴びた。
何を着ていこうか少し迷って、薄手のトップスにカーディガン、キャメルのコットンスカートに決める。
下着はシンプルなデザインのものを身に着けた。
なんだか入院するみたいに気分が落ち着かない。
あまり食欲もなく、スムージーを飲んで自宅を出た。
大胆な遊びでスリルを楽しむくせに、病院はあまり気が進まない。
普段と違う環境に置かれるストレスに気持ちが重くなる。
まるで借りてきた猫のように、落ち着かなかった。
病院に着くとハーブティーが出され、いくらか楽な気持ちになる。
それにしても病院らしくない内装にびっくりした。
まるでどこかのちょっとしたリゾートホテルみたいで面白いけれど、気持ちが混乱する。
問診表を記入すると、アンケート用紙を目で追っていく。
こんなことまで答えなければならないなんてと思ったが、こういう情報は重要なヒントになるのかもしれない。
いよいよ名前が呼ばれ、ドキドキしながら恵子は診察室に向かった。
引き戸を開けて中に入ると男性医師が見えて、直ぐに落胆した。
こんなものだと思いながら医師の前に座った。
恵子に向き直った医師を見て、恵子は来たことを後悔することになった。
よりにもよってなぜこんなに素敵な男性なのだ。
まだスケベそうな中年医師ならば、諦めがつくというものなのに………。
男性医師 こんにちは、今日は………検診ですね?
いくつかの簡単な問診の後、診察台に向かうように告げられた。
嫌で堪らなかったが、今さら帰るわけにもいかない。
まな板の鯉になった心境で、診察台に乗った。
直ぐにカーテンを引かれ、かろうじて精神を保てた気がする。
早く終わることを恵子は願った。
男性医師は酷く緊張した女性を前に、努めて笑顔を心がけて接した。
地味な印象の女性だが、かえって清楚さが際立って期待が持てる。
乱れた姿を想像して、今から楽しみだった。
診察台に乗って下半身を露わにした彼女のそこは、土手高でぷっくりした造りに密度の薄い陰毛が密集し、堪らない気持ちを努力して抑えた。
男性医師 冷たいですよ………ごめんなさい…
声をかけて、ステンレス製のクスコが挿入されていく。
大抵の女性がそうなるように、肛門がキュッと縮む。
ツマミを回して膣口が上下に開いていく。
奥に見える子宮頸部の周囲にオリモノが溜まり、艶々している。
視診の結果は特段の異常は見られず、クスコを抜いた。
男性医師 これから細胞の採取をしていきます。
子宮頸部を擦り取る方法と、分泌液を採取していく方法と二通りがあります………。
医師が言うには最初のほうは通常行われる方法だそうで、多少の痛みや出血が止めなうが早く済むらしい。
後のほうは子宮から分泌されるものを採取するのだという。
その場合はそれなりの量が必要になり、時間を要すらしい。
なぜならば子宮から分泌させるということは………我慢を強いられるから…。
恥ずかしい状態で選択を迫られ、不安と恐怖心、懸念と羞恥心を選ばなくてはならなかった。
正常な思考だったかは分からない、苦痛を避けるほうを選らんだのは正解だったのだろうか……。
我慢を強いられる方法、それは快感を伴う刺激。
あの部分に触れられると聞いて、目の前が暗くなった。
それでも医療行為なのだと言われたら、反論をする理由を取り上げられた気持ちになる。
どうしようもなかった。
包皮に触れられる。
ファーストコンタクトに、身体がピクリと反応してしまった。
クリトリスが刺激されることにより子宮内がどのように変化を起こし、分泌液が作られるのか。
その採取がどれだけ重要なのかを、医学的見地の説明をしながら包皮をこねくり回されていく。
理屈は理解できても、話しの内容が頭に入ってこない。
恵子は理解したふうを装いながら、返事だけを医師に返す。
違和感と恥ずかしさに耐えるだけで、精一杯なのだから仕方がないではないか。
どこまでも丁寧で優しくて、医療行為とはかけ離れた感覚が体温の上昇を招く。
その間も、医師の説明は続く。
深呼吸をして、紛らわした。
時おり押し寄せる波が強くなるたび、握り拳握り拳力が入る。
医師は恵子の足の指が無意識に動かされる様子を捉え、それでも冷静さを装った声で返事を返してくることに興奮を覚えた。
冷静でいられるはずがない………。
事実、彼女の指は苦しげに曲げられ、返事もワンテンポ遅れるようになってきた。
膣口は透明な泉が蛍光灯に照らされて、光っている。
堪らない………。
恵子 あの……先生?………まだかかりますか?
男性医師 子宮から分泌される量は限られていて、多くは膣分泌液だけを採取しても意味がないんですね。
器具を使っていきましょう……もう少し、頑張りましょうか?……
そういうと、敏感なところに何が固いものがあてがわれる感じがして不安になった。
包皮が捲られる違和感の後、変な音が響きだして妙な感覚に襲われた。
撫でられているようで、触れられている感じとも違う。
くすぐったいような、むず痒いような、気持ちがいいような………。
しばらくすると医師の言葉は理解できなくなり、脳が感覚に集中するようになった。
切ないような、まろやかな甘い刺激が頭の中を埋め尽くしていく。
初めての感覚に抗う術はなく、耐えていた筈なのにいつの間にか酔いはじめていた。
まるで羽毛の塊に撫でられるような、未知の甘さだった………。
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