自動ドアを越え、受付けで行き先の案内を受ける。
建物の外見はまあ病院といえば病院だが、中に入って見るとインテリアや内装など、ちょっとしたリゾートホテルを彷彿させる異世界に感じる。
通路を突き当りまで進んで右に折れると、また新たな受付けがあった。
不妊治療専門のエリアはやはり、どこか東南アジアの南国リゾートを連想させる雰囲気だ。
30代と思しき夫婦は名前を呼ばれ、診察室へと歩を進ませた。
そこには自分たちと同年代の美しい女医が、ハッとするような微笑みで迎え入れてくれた。
明子 こんにちは……
女医であり、この産婦人科医院の医院長の順子を筆頭に、この病院には片腕となる2人の女医がいる。次女の明子、三女の藤子だ。
その下には彼女たちの下僕となる男性医師たちが存在し、それ以外の医師はまともな医師たちだ。
濃紺のタイトスカートを履く明子はウエストが頼りないほど細く、膝上15センチほどだろうか。
欲情を覚えそうなストッキングに包まれた太腿から視線を外すのは、努力が必要だった。
これまでの経緯などを事細かく説明する間、白衣の下の白いボータイブラウスから透けるインナーが気になって仕方がなかった。
妻とは恋愛の末に結婚したが、ここ数年の避妊治療に振り回されて本音は辟易していた。
子供は欲しいが、ここまでになると逃げたい気持ちにもなるというものだ。
それでも母になりたい妻の夢を叶えてやりたくて、自分の心にムチを打ちこの病院にやってきた。精神的にはもう妻には悪いが、これが最後のつもりで………。
明子 この治療には旦那さんの協力が必要不可欠です……頑張りましょうね…
これまで頑張ってきたが、最終的に人工授精による治療に行き着くしかなかった。
つまり体外受精なわけで、それには精液が必要になる。
本音をいえばこんな屈辱的なことは嫌だが、妻のタイムリミットを考えれば今しかない。
美しい女医の大きな瞳で見詰められて協力的な夫を演じ、採精室へ…………重い足取りで向かった。
メンズルームと名づけられた、引き戸を開けて中に入った。
ちょっとした個室になっていて、ベッドが設置された向かいの壁にはカウンターテーブルが設えられている。
そこにはビジネスホテル以上リゾートホテル未満といった感じに落ち着ける雰囲気を演出する調度品などのインテリア。そしてこれ見よがしに正面にあるのは、テレビ………。
溜息をついて、スイッチを押す。
若かった独身の頃ならば、食いついて観たかもしれない。でも今は………。
義務感に駆られた性生活に辟易する今、そういう気分に慣れそうもない。ましてや自慰行為となると、尚更ではないか………。
テレビ画面の男女の営みを観るともなく視界に捉えながら、女の喘ぎ声が虚しく流れていた。
その様子を医院長で長女の順子が密かに設置した、隠しカメラが捉えていた。
顎に手を添えてそれを見ていた明子はコクンッと唾液を飲み込み、組んでいた脚を解いて立ち上がった。
履いていたサンダルを脱ぎ、わざわざハイヒールに履き替えて、ゆっくりと採精室に向う。
デリケートなことをさせる事情を考慮して、わざと離れた位置にその部屋は設けてある。
角を曲がった所から急に靴音を響かせて、そこまで歩く。
防音設計をされているから本来は靴音など、部屋の中には聞こえるはずがない。
これも姉の順子によるものだが、通路側の壁は床との接地部分の一部がリモコンひとつで僅かに浮かせられるように作られている。
それにより聞こえないはずの靴音が中の人間に聞こえ、不安にさせる難点はある。
だがその後の展開で、そんなことは吹き飛んでしまうが………。
どこからともなく女性のヒールの音が聞こえてきた。
なぜ聞こえるのか……ということはこの淫らな映像の音声も、外に漏れていたということなのか?
防音設計だと聞かされていたのに………。
そのヒールの音がどんどん近づいてきて、今いるこの部屋の前で止まった。
引き戸に釘づくけになり、ノックされてドキリとした。
外に音が漏れているとのクレームに違いない。
こちとら望まぬことを強いられているのだ、文句のひとつでも言ってやろうと夫は鍵を解除した。
てっきり看護師が来たとばかりに思っていた。
考えればヒールの音を響かせて院内を歩くような、そんな看護師はいないのだが………。
彼女は先ほどの美人女医だった。
たしか、細川とか言っていただろうか、びっくりした。
女医:明子 その後はいかがですか?……あら、お身体の調子が優れませんか?
そんなことをわざわざここまで、確認しに来たというのか?……なんてデリカシーのない病院なんだ。
憤りを覚えたがとりあえずそのクリッとした瞳から視線を外し、ベッドに座った。
卑猥な映像は消さずにそのままにしていたのは、無言の抗議のつもりだ。
夫は答える代わりに、溜息をついてみせた。
明子がチラリと映像を見る。
卑猥な音声が流れる中、彼女は場違いなことを言った。
女医:明子 お気に召しませんか?……好みのものがあれば差し替えさせていただくこともできますが……
夫 そういう問題じゃないでしょう。
………………バカにしてるんですか?
女医:明子 いいえ……なんでもなさそうで、安心しましたわ…。
男性の方には精神的な負担は、大きいですよね。
夫 ………………。
女医:明子 ここに辿り着くまで、お辛かったですよね……
解ったふうに装いながらベッドに座る夫の隣りに、明子も腰を下ろした。
脚を組んでわざとスカートの裾を短くさせる。
チラリと素肌が見えるようにして、パンストではないことをアピールさせた。
女医:明子 リラックスして下さい……今はお辛いでしょうけど、頑張り時ですよ?
言いながら脚を組み直す。
見えそうで見えないそこを、盗み見る夫。
ズボンの股間が窮屈そうに見えるのは、気のせいではないだろう。
この部屋に来る前にインナーは脱いできた。
ブラウスから透けるのは、ブラジャーだ。
夫に身体を向けて、話を続ける。
やや不貞腐れ気味の夫の目が、胸に突き刺さる。
気づいたようだ。
少し黄色味がかったクリーム色のポータイブラウスに白いブラジャーは、よく透ける。
乳房のアンダーから乳首が隠れる範囲はしっかりと白く、上半分はストラップが吊るすところまでスケルトンになっていて、レースの模様が仕立ててあるが肌が透けている。
そのシルエットは間近にいれば、分からないはずはない。
夫を気遣うふりをしながら組んだ脚を下ろし、大して開かないスカートを開けて夫に向けた。
ブラジャーとお揃いの、白いレースのショーツは見えただろうか。
全面はやはり透けていて、黒々とした陰毛を見てくれただろうか。
明子はこの夫がその気になるまで、誘惑を続けた…。
何なんだこの女医は……。
美人なのは認めるが、ガードが緩すぎる。
馬鹿なのか、それともわざと?………いや、そんなふうには見えない。
時々いる天然なのかもしれないな。
お勉強のし過ぎでそういうことに無頓着になるということは、自分の美貌にも気づいていないのかもしれない。
もったいない………。
このスタイルでこんな美人なのに……俺が独身なら………何を考えてるんだ、俺は………それにしても、堪らない………。
明子は内心、ほくそ笑んだ。
この夫の心の葛藤が、手に取るように分かる。
真面目な男ほど悩み、心は弱い。
もう少しだと思った。
女医:明子 こんなに奥さん想いの旦那さんで、羨ましいわ……。
私の夫もこんな人だったらな……
そう言って人の夫を見詰める。
女医:明子 あっ…ごめんなさい……愚痴っちゃった………あの、もし気分が乗らないのでしたら………お手伝いさせていただいても、いいですか?
夫 はっ?……お手伝いって、何を……
女医:明子 あっ…そうですよね……変なこと言ってごめんなさい……あの……どうすればその気になるというか……興奮しますか?
夫 いきなりそう言われても……何を言ってるんですか……そんなこと……どう言えば………
女医:明子 あの……私じゃ興奮しませんか?
夫 はっ?……何を言ってるか、分って言ってます?
女医:明子 一応は……ここだけの話、医院長がうるさくて……私、不器用だから……
夫 いや、言ってることの意味がわからないな……それはあなたの個人的な事情でしょう…
女医:明子 そうですよね………
診察室で会ったときの自信に満ちた女医は、今や目に涙を溜めて今にも泣きそうだった。
この女医で大丈夫だろうかという気持ち、きつく当たりすぎた申し訳ない気持ちがせめぎ合う。
結局は責めたことを謝罪した。
女医:明子 優しいんですね……力になりたいんです、これだって医療行為の範疇ですから、何ら恥じてはいません…
夫 えっ……そう言われても………
毅然として真っ直ぐ自分を見る女医に気圧されて、困ってしまった。
女医:明子 どういうのが興奮するんですか?……たとえば……私は男性の筋肉に……興奮します……
夫 それだけですか?…そんなオブラートに包んだ物の言い方で、私の性癖みたいなことを明かせと言うんですか?
女医:明子 ……たっ…逞しい男性に抱きしめられて……ベニスの当たる感触がしたときよ………これでいいかしら?
夫 努力は認めます……でもやっぱりご自分をどこかギリギリ守ってる、ずるいですね。
分かりますか?…あなたの前で射精をしなければならない、人の気持ちが?
女医:明子 でも、こういった映像ではダメなんですよね?………ですから……あなただけ恥ずかしい思いはさせません…腹を括って下さい……
埒が明かないと言わんばかりに彼の許可も得ずに座る彼を抱きしめて、顔を胸に埋める。
ムフ〜ッ……ムフ〜ッ……ブラウスを通して熱い鼻息が肌に吹きかけられる。
女医:明子 どう?……興奮する?
夫 中学生じゃないんだ……この程度でどう興奮しろと言うんだ?
上手に誘導出来たわ……そのいきよ……
彼に分からないように微笑んで、黙ってプラウズのボタンを上から順番に外していく。
信じられないという顔で、それを見詰める人の夫。
彼の目の前でブラウスを左右に開く……今その清楚な下着が晒された。
生唾を飲み込む彼の前で両手を背中に回す。
緩んだブラジャーを上に退けてやった。
女医:明子 どう?……興奮するかしら…
羞恥に絶える女を演じ、明子は顔を横に背けて見せる。
下が丸くて重量を感じさせ、釣り鐘のようにボリュームのある白い乳房はツンと上を向いた乳首が夫の情欲に火をつけた。
夫 これだけで…どうしろと言うんだ…
女医:明子 興奮できるなら……少しなら、触れてみて…
壊れ物に触れるように恐る恐るといった感じで、その柔らかな膨らみを包み込む。
当たり前だが温もりが伝わり、手の間から乳首が飛び出るように覗く。
女医に断りもなく、思わず口に含でしまった。。
興奮して確認をとることが頭になかったというのが、本当のところだ。
舌を動かずだけで身体をピクピクさせる反応が堪らない…。
不意に正気に戻ったように、彼はそれを止めてしまった……バツが悪そうな顔をして。
夫 悪かったよ、あんたに八つ当たりしてこんなことまでさせて………悪かった…
それまで悪態を見せていた彼とは違い、素の人柄の良さを出されてイラッとした。
それだけに明子は奪いがいがあると、強行手段に出た。予定にはなかったが、仕方がない。
女医:明子 これ以上、あたしに恥をかかせないでっ…
彼を押し倒すと顔面に跨り、その上に座ってしまった。
ジタバタとしばらく混乱していたが、彼は明子を本気で押し退けようとまではしないようだ。
良い人であっても彼も所詮、男なのだろう。
芳醇な女の匂いが充満するスカートの中で両頬を内腿に挟まれ、口はショーツの生地が押しつけられている。
ムフ〜ッムフ〜ッ……熱い息が吐きかけられる。
首を動かし始め、口を押しつけてグリグリとさせながら舌が動く。
少し腰を浮かせてやったらショーツを脇に寄せ、
生温かい舌が割れ目を掻き分けてウネウネと蠢めかせる。
満足にセックスに打ち込められなくなっていた男は久しぶりに目を輝かせ、妻以外の女のそこを味わった。
ツ〜ンとしたアンモニア臭、塩味、女性器特有の淫臭が海綿体に血流を送る。
ンッ……アッ………ンンッ…アッ!…アッンンッ……
あの美女の口から聞こえると思うと、興奮しないわけがない。
ついにヌルッとした分泌液が、舌に絡みついてきた。
すまない………ほんとにすまない………
心で詫びながらこの夫は確信犯となって、背徳の味を貪った。
明子はこの男が落ちたことを実感した。
男の顔の上で妖艶に身体をくねらせ、舌の動きに合わせてその身を震わせた………。
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