順子 木田さん…お静かに……病院ですから
声のトーンを落として、言葉の重要性を強調する。
千春 ごめん…うっ………なさい………んっ…
順子 他の患者様もいらっしゃることですから……どうかもう少し、我慢なさってください…
千春 ん~~んっ!…んんっん~~っ!
両手で口を塞ぎながらまるで腹筋運動でもするように、頭を何度も持ち上げて悶絶する千春。
ヤンチャをしていた名残が色濃く残る、そういった外見とはかなりのギャップがある。
適度な電流でも流されて拷問を受けているように、千春は腰を絶え間なくピクピクさせる。
順子が下僕に近づいてどんな舌技をしているのかと確認をしたら、クリトリスに舌先を僅かに触れさせて、懸命に前後にと振っている。
やがて千春は力尽きるように、脱力してしまった。
数年ぶりのクンニは、かなり体力を消耗したようだ。千春は憔悴していたが、幼子のように穏やかな表情で目を閉じていた。
ウィ〜ン……ウィ〜ン…ウィ〜ン………
静寂の中をバイブレーションの重低音が、鳴り響く。
千春のバックの中からだった。
はっ!…っとしたように目を見開いた千春が、上半身を起こす。
順子が千春のバックを持って、彼女に手渡した。
千春 ごめんなさい…
順子 携帯の電源は切ってくださらないと……
どうぞ、構いませんからお出になって。
千春 すいません、職場からで……はい、……もう!今日は連絡しないでって伝えていたじゃないですか!…………はい…はい…えぇっ!……はい…はい…はい……ちょっといま、病院に居るんです……折り返します……
通話を無理やり切り上げた千春はまた、申しわけなさそうに謝罪した。
順子 お仕事のトラブルですか?
千春 あっ…はい……なんか、すいません……
順子 緊急だったようですけど、電話しないで大丈夫なのかしら?
千春 あぁ……でも……ご迷惑をおかけできませんから……
順子 どうぞ、連絡なさって……無理のない程度に治療は進められますから…
千春 えっ……でも……
順子 大丈夫、お話はできるように加減はしますから…
千春 そんな……大丈夫なんですか?……あの、本当に大丈夫なんですよね?
順子 あんまりないことですけど最大限、お話の邪魔にならない程度にはできますから。
あの、もしものときはほら…送話口の穴を指で塞いじゃえばいいから……ね?
千春 ………………じゃあ…………すいません……
気乗りはしないし不安を拭いきれないような顔をしているが、よほど切羽詰った事情なのだろう。千春は身体を横たえて直ぐに携帯を耳に当てていた。
千春 あっもしもし…はい…はい…そうなんですね…
通話を始めた千春、その彼女の割れ目に指先を這わせる下僕。
もしものときに対応できるよう、横に立つ順子の目に、千春が眉間にシワを寄せる様子が見えた。
クリトリスには触れないように割れ目を開いて、ビラビラの内側を指先がゆっくり移動する。
茶色がかった小陰唇がぐにゃりと変形し、指が通り過ぎると元の位置に戻る。
まるで裏返したアワビのように見える。
千春 ………それは昨日、説明した通りにすれば……はい…そうです……えっとだから……んっ!………
下僕の中指が、千春の中へと沈んでいく。
柔らかい粘膜が指を圧迫してくる。
指が半分ほど入ると、ヨダレが出そうな感触が伝わってきた。
千春 そうです…はい…んっ……ふぅ~…そうしてください……違う違う…だから…んんっ…そう…そうです……あぁっ……えっ?…何でもないです…だからいま病院なんですって……そうです……ふぅ~…はい……
ぬぅ〜〜ちゃっ…ぬぅ〜〜ちゃっ…ぬぅ〜〜ちゃっ
千春が通話を続けながら順子を見て、小刻みに顔を左右に振って見せる。その最中にあぁ〜っというような妖艶な表情も見せてくる。
順子は口パクで大丈夫、っと伝えるに務めるだけだ。
滑りの良い膣壁が指の進入に伴って形状を平らに矯正され、おびただしい粒状の森に絡みつかれていく。
後退するときも後追いするように追いすがり、滑らかな粘膜が温もりを伝えてくる。
千春 あの……もういいですが?…はぁ~…病院なんです……えっ?本人に代わるって……あぁ…んんっ…
ぬぅ〜〜ぷっ……ぬぅ〜〜ぷっ……ぬぅ〜〜ぷっ……
通話の合間、合間に表情を歪ませる千春。
電話を切りたくても話し相手が状況を把握していない、使えない人間らしい。トラブルの渦中にいる本人に代わるらしい……お誂え向きだった。
話し相手が代わったようで、会話が円滑になった。
下僕が人差し指も追加する。
また眉間にシワを寄せた千春の表情が、明らかに変わった。
接触面が増えたこと、それは何を意味するのか。
千春の目元がとろ〜んと、妖しくなった。
ゆっくりと、本当にゆっくりとした指の輸送が、千春の乾いた大地を潤していく。
千春 だから……はぁ~……そうすれは良かったのに…ぁぁ……いいから…病院なの…ぁぁ…そうだよ……治療中なの、いま……んぁ……そう、それでいいから……それで?……んっ…んっ…はぁ~…うん、うん…
にゅ〜り…にぬゅ〜り…にぬゅっ!………にゅ〜り……
不意をついて勢いよく差し込むと、頭を仰け反らせる千春。
順子に睨まれて慌ててペースを戻す下僕。
再び安定した甘〜い世界に身を浸し、どうにかして通話を続けるしかない千春………。
順子が下僕に目配せをした。
順子は携帯の通話口を塞げと千春にジェスチャーで伝えた。
要領を得ない千春に順子、自らが通話口を塞いだ……下僕を見る……千春がいきなり弓なりになり、仰け反った。
下僕のペニスが根元まで埋り、苦悶の表情を見せる。
これは………下僕は心してかからなければと、戦々恐々となった。
千春から一歩離れた順子は人差し指を唇にあて、しぃ~っとジェスチャーをして見せ、静かにするよう千春に伝えた。
ぬぅ〜〜〜ちゃっ……にゅ〜〜〜ちゃっ……にゅ〜〜〜ちゃっ……にゅ〜〜〜ちゃっ………
千春 …平気……いいから………うん………うん………………はぁ~…………………うん……………はぁ~……………はぁ~…
言葉数が極端に減った千春。
長く開く言葉の間、本来は心を許した相手にしか見せないであろう、快楽に染まった女の顔を見せていた。
虚ろになった目元、紅潮させた顔色………。
真実の状況を極力悟られまいとする羞恥心だけが、いまの千春を支えている。
カンジダの再発を繰り返す状況を何とかしたい、
そんな本来の願望を見失っていく………。
千春 うん…………わかった……………じゃあ、お願いします………
通話を何とか終えた。
手の汗で滑り落ちた携帯を、順子が拾い上げる。
順子 どうお?……感じますか?
千春 あぁ………はぁ〜っ………はぁ〜っ………
順子 ちゃんとした治療ですからね〜……
この際だからしっかり免疫をつけちゃいましょうね〜……だからいっぱい感じていいんですからね〜
順子が再び下僕に目配せをした。
ぬ〜ちゃっ…ぬ〜ちゃっ…ぬ〜ちゃっ…ぬ〜ちゃっ
ショートストロークとなったピストン運動。
流線形の鬼頭が滑らかな肉壁を掻き分けて進む。
その報酬は哺乳類として、双方にかけがいのない喜びを差し出してくる。
快楽を楽しむ動物として、その快感に耐えなければならない代償は付き物だった。
千春 あぁっ…………あっ……………あっ……………あぁっ………………だ…め…………………いっ…ちゃう…………
いっくぅ………………………んはっ!…
温かくて、優しくて、眩しい……幸せが千春の身体を包み込む。
あっ………あぅっ……………あぁ〜…………あっ…………あっ……
柔らかくて優しい波が何層にも重なって、何度も打ち寄せながら少しづつ小さくなっていく………。
言葉なんて、いらなかった。
お金なんて、暮していければいい。
愛は欲しいけど、贅沢は言わない。
欲しかったのはこれだったと、千春は今更ながらやっと気づいた………。
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