「ただいま!」
いつものように明るく声をかけリビングへ入る。
「ゴメンね、、、でも大変だったのよ、、、今までずっと会社にカンヅメ、、、もうクタクタ、、、」
済まなそうに、それらしく繕いながら椅子に腰を下ろした。
なぜかカーテンが締め切ったリビングは薄暗いのに照明は灯されていない。
ソファに夫が座り、土曜というのに珍しく娘も少し離れて腰かけていた。
中2だがユキナ譲りの美少女で体付きも中学生とは思えないほどに大人びている。
二人は沈んた様子でユキナに声もかけてこない。
「どうしたの?ああ、そうだよね、、、大切な記念日だったのに、、、本当にごめんなさい、、、でも仕方がなかったの、、、わたしだけがぬけるわけにはいかなくて、、、そんなに拗ねないでよ、、、よし、そうだ、今晩はわたしが奢っちゃう、、、これから三人で美味しいもの食べに行こ、、、罪滅ぼしに好きなもの何でもご馳走するから、機嫌直して、パーッと行こうよ、、、ねぇ、二人とも、、、」
いつもと違い、二人ののりが悪い。
どういう訳か黙り込んだままだ。
「ねえってば、、、アナタ、早く出かけようよ、、、」
今度は猫なで声で夫に声をかける。
「キモ、、、一人で舞い上がっちゃって、、、あきれる、、、」
えっ、なに、、、
娘の言葉に一瞬凍りつくが、すぐに気を取り直す。
「そんなにへそを曲げないでよ、、、これでも本当にドタキャンのこと、反省してるんだから、、、」
「ユキナ、、、お前、本当はどこに行っていたんだ?」
今度は夫の問いかけにドキリとする。
口調はいつものように穏やかだが、視線には冷たいものを感じる。
まさか?
いいや、そんなはずは無い、、、
「ちゃんと言ったでしょう、、、会社にずっといたの、、、本当だよ、、、」
「じゃあ、これはなんだ?」
夫にスマホ見せられる。
そこにはユキナが男と楽しそうに豪華な食事を取っている姿が写し出されていた。
つづく
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