水曜日の放課後にマナブに逢ってようやく話しをつけた。
自分に惚れきっている彼女に呼び出されたつもりにでもなっていたのか、さも面倒そうに用事は何だと尋ねてきた。
ところが、わたしがいきなり別れたいと告げると態度を一変させて、いきなりどうしてと懸命なって問い質してきた。
本当におめでたい男だ、、、
サキさんのこと知らないとでも思ってるの?
そう言うと、真っ青な顔になって、ただの先輩だ、そんな関係じゃないと言い訳を始めた。
日曜日、わたしの誘いを断ってサキとデートしてたでしょう?
セックスしてることだって知ってるんだからね、、、
そうカマをかけると、マナブは無残なぐらいに動揺して、シドロモドロになっていた。
なんとか誤魔化そうとするマナブを徹底的に問い詰め、ようやく浮気を認めさせると、今度は別れたくないとゴネ出した。
もう二度としない。
誘われて関係を持ってしまったが、コユキの方がずっと好きだ。
コユキとうまくいくようにイッパイ教えてあげると言われ、関係を続けてしまった。
わたしは一切受け入れることなく、別れを宣言し、強引に納得させた。
わたしとダイキの未来のために、、、
別れの間際、マナブは驚くことにとんでも無い事を要求してきた。
最後にもう一度だけコユキとセックスをしたいと、、、
わたしは呆れるのを通り越して、薄気味悪さを感じていた。
まともではない、、、
本物のゲス野郎だ、、、
「最低!このクズ、浮気男、、、もう二度と話しかけるな!」
わたしは逃げるようにその場を去った。
家に帰ると、殊更に気分が悪くなった。
あんな男をわたしは好きになっていたんだ、、、
ファーストキスをして、、、
バージンを捧げて、、、
わたしって、、、バカだ、、、
どんどん落ち込んでいく、、、
そんなわたしに何も知らない両親が、心配そうに声をかけてくれた。
あれから二人はどうなっているのだろう?
少なくとも、母は瞼を泣き腫らすこと無く、化粧もしっかりとして以前の美しさを取り戻したかのように見える。
しかしまだ話が済んでいないことは薄々感じていた。もし二人に意見を求められれば、ちゃんと協力したいと思っている。
部屋に一人でいると、もうガマンが出来なかった、、、
ダイキの声が聞きたい、、、
電話はすぐに繋がった。
「どうした?」
相変わらずぶっきらぼう、、、
でも一番頼れる人、、、
一度しか話して無いのに、、、
逢いたくて、、、すごく切ない、、、
あのクズとは全然違う、、、
今日、あった事、、、他にも話したいことがたくさんあるのに、言葉が出てこない、、、
「大丈夫か?ナルミ、、、」
あんなに背が高くて、男らしいのに、心配そうな弱々しい声、、、
わたし、もうダメだ、、、
先輩が、ダイキが好きだ、、、
逢った回数とか、そんなの関係無い、、、
「逢いたいよ、、、先輩に、、、ダイキに逢いたい、、、」
もう泣きそうだ、、、
「分かった、逢う、、、逢おう、、、いつがいい?場所は?時間は?」
慌てて矢継ぎ早に問いかけてくる。
まるで迷子の犬のお巡りさんみたい、、、
やっぱり先輩はいい、、、
すごく、、、いい、、、
嬉し涙が溢れる。
それでもわたしは元気の無いふりをして、土曜日の朝からデートをゲットした。
そして最後にトドメを刺す。
「先輩のせいで、わたし別れました、、、責任は取ってもらいますからね、、、」
「うっ、、、分かった、、、、、金だろう?金が欲しいんだな?」
この人、、、思ったより手強いかも知れない、、、
「プッ、、、なにそれ?」
「いや、、、何となく、、、」
「ダイキ、、、好きだよ、、、」
「俺も、好きだ、、、ナルミのこと、、、」
二人は思わず告白していた。
やっと言ってくれた、、、
電話なのに顔が真っ赤になってる、、、
「早く土曜日にならないかな?眠れそうも無いよ、、、」
「俺もだよ、、、」
「ホントに?」
「すごくナルミに逢いたい、、、」
「嬉しい、、、わたし、先輩に、あのとき逢えて、、、よかった、、、」
「うん、そうだな、、、」
「もっと話していたいけど、土曜にとって置くね、、、」
二人はおやすみを言って電話を切った。
まだドキドキしてる、、、
ダメだ、、、本当に眠れないよ、、、
つづく
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