嬉しかった。
胸の高鳴りを抑えることが出来ない。
わたし、どうしてこんなにドキドキしてるの?
彼氏がいるんだよ、、、
でも心の奥でマナブへの想いがもう片隅追いやられていることに気付いてしまっていた。
けれど、区切りはつけなくてはいけない、、、
全てはそれからだ、、、
二人は最近オープンした街なかに有る水族館へと向った。
一緒にいるだけで楽しい。
言葉を交わすと心が和む。
二人は夕食も共にした。
そして帰り道、コユキは勇気をだしてダイキに尋ねた。
「ダイキ先輩、、、今、付き合ってる彼女がいるんですか?」
恥ずかしけれど、瞳を見つめてハッキリと問い質す。
「いないよ、、、残念ながら、、、」
熱い視線、、、
この日初めて男を感じさせる目つき、、、
ドキリとする、、、
顔を赤くして俯いてしまう。
「分かりました、、、」
そう言ってダイキの手を取り歩き始める。
「おい、、、ナルミ、、、」
「わたし、フリー、、です、、、決めました、、、」
声が震える、、、
拒まれたらどうしよう?
でもダイキは優しく握り返してくれた。
温かい、、、
先輩は本当に温もりを感じさせてくれる。
二人は連絡先を交換して家へと帰った。
家に帰ると母が出迎えてくれた。
「お、お帰りなさい、、、」
「ただいま、、、」
返事が返ってきたことに驚きを隠しきれないようだ。
ずっと泣いていたのか、瞼は腫れ、顔色も悪かった。
せっかくの美人が台無しだと思う。
そうだ、、、わたしは小さい頃からずっと母のような美人で優しい女性になりたいと思ってた。
そんな母が間違いを犯してしまった、、、
そして涙を流して悔やんでいる。
それを今すぐ受け入れることはまだ出来ない、、、
でも自分に出来ることはしてあげたい、、、
「ご飯はいいの?」
「うん、食べてきたから、、、」
「そう、、、」
寂しそうに母が応える。
「お母さん、、、」
「なに?」
縋り付くような目をしている。
母も元に戻りたいんだ、、、
そしてそれはわたしを大切に思っているから、、、
先輩の言葉を思い出す。
「ちゃんと化粧をして、、、わたし、キレイなお母さんが、、いい、、、」
「うん、、、分かった、、、そうするね、、、」
母が嬉しそうに微笑んでくれる。
心なしか顔色も良くなった気がする。
コユキは部屋に入るとベッドに横になった。
先輩の言う通りだ、、、
もし先輩の助言が無かったら、今まで以上にギクシャクした関係が続いていたと思う、、、
本当に今日、先輩に逢えて良かったと思う、、、
目を閉じてダイキのことを考える。
もうぶっきらぼうな態度には誤魔化されない。
すごく温かい人だと分かったから、、、
顔だってすごく好みだし、背も高くてカッコいい、、、
それになんと言っても、わたしのこと、、、
あれは告白と同じだと思う、、、
だって、、、ひと目見ときから、、、わたしのことが好きだったということでしょう?
もっとハッキリ言えっていうの、、、
それだったら、わたしだって、、、
でもそれは、、、わたしに恋人がいるから、、、
きっとそうだ、、、
けど、、、わたしだって、なんて、、、
今日初めて話したのに、、、
少し落ち着いて考えよう、、、
ダメだ、、、ドキドキするだけだ、、、
また、、、先輩に早く逢いたいよ、、、
マナブのことはもう、、、
冷たいようだけど、、、
でも、、、あれから何の連絡も無いということは、あのオンナと疚しいことをしているという事だ、、、
普通、彼女にあさイチから逢いたいと言われたら、逢えないとしても、心配になって電話ぐらいして来るはずだ。
おそらくあのオンナとのデートで、わたしのことなどアタマに無いのだろう、、、
そんなマナブに、、、
わたしの心の中ではもう整理がついている、、、
出来るだけ早くケジメをつけて、、、
そして、、、ダイキと、、、
ダメだ、眠れそうにない、、、
つづく
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