「オイ!俺の後輩に何する気だ?」
後輩?この人、誰なの?
「嫌がってるのが分からないのか?今すぐ手を離せ!」
怒鳴っているわけではないが、その声には迫力があった。
ぞしてその目つきは凄く怖い、、、
「何が後輩だ、適当なこと言いやがって、、、テメェには関係ないだろうが、、、」
男はコユキを掴んでいた手をひねり上げた。
「うわっ、痛え!離せ、、ぐっ、、、やめてくれ、、、」
男が手を離すと、痛そうに擦りだす。
男の迫力に二人組は明らかに怯んでしまっていた。
「ケガしたくなかったら、今すぐ失せろ、、、」
そしてその一言でチャラ男たちは、逃げるようにその場を去った。
「大丈夫か?ケガは無かったか?」
ぶっきらぼうにそうきかれる。
「はい、、、あの、、、ありがとうございます」
「礼なんてい、、、こんなところに、女の子が一人でいたらダメだ、、、ああいうヤカラがたくさんいるんだから、、、」
あなたも十分ヘンな人に見えるんだけれど、、、
なんだか、怖いし、、、
「じゃあ、気をつけて帰るんだぞ、、、」
男は踵を返して、その場を後にしようとしていた。
「あの、、ちょっと待って下さい、、、」
思わず呼び止める。
「ダイキ先輩ですよ、、ね、、、」
「へっ、、、なんで知ってるの?」
振り向いた男が驚きの表情を浮かべていた。
やっぱり、そうだった、、、確か二年歳上の先輩だ。
この春、中学を卒業した、、、
180をかるくこえる長身でバスケ部のエースだった。
すごく整った顔立ちをしていて、、、でも無口で、ぶっきらぼうで、その上気難しいというウワサだった。
なにか怖そうと言われていて、わたしもそう感じていた。
しかし一部の女子生徒と女の先生の間ではメチャ人気があった。
髪が金髪になっていたせいで、すぐには気付くことが出来なかった。
「それは、、、」
「まあ、どうせ悪いウワサでだろう?でもナルミが俺のこと知っててくれたなんて、、、光栄だな、、、」
照れた顔が意外にもカワイイ、、、
「どうして、、、わたしの名前、、、」
「あっ、、、たまたまだよ、、、ちょっと覚えていただけだ、、うん、、、」
慌ててシドロもどろに取り繕うとするダイキになぜか安心感を覚えてしまう。
「先輩、、、わたし、家にいたくないんです、、、その、、、良かったら、、、少しだけでもいいんです、、、一緒にいてくれませんか?」
「俺なんかと一緒にいない方がいいと思うぞ、、、」
「そんなこと無いです、、、それに一人でいたら、、、さっきみたいに、、、ダメですか?」
自分でも少し大胆だと思う、、、
でも今は先輩のことをもっと知りたい、、、
「そうか、、、そういう事なら、、、要するにボディガードみたいなもんだな?」
やったね、、、心が弾む、、、
「そう、です、、、お願い出来ますか?」
「それなら、まかせろ、、、」
意外も人懐っこい笑顔だった。
溜まりに溜まっていた嫌な気分がほぐれていく気がした。
二人はモールを歩いた。
本屋にも行ったし、互いの服のショップを一緒に見て回った。
意外にもいろいろと趣味が重なることに驚いていた。
そして何よりも、ずっと優しい視線で見つめてくれるダイキに戸惑いを感じていた。
先輩って、こんな人だったんだ、、、
取っ付きづらいけど、温かい、、、
イヤらしい目つきでわたしを見たりしない、、、
話したことも無かったのに、温かく包んでくれる、、、そんな気がした、、、
こんなに楽しく過ごしたのはいつ以来だろう?
まるでデートしているみたい、、、
最近のマナブとのデートといったら、、、
すぐにシタがる、、、
しかも部屋に入ったら、ムードもそっち抜けで、キスをして、胸を触られて、、、すぐに入れたがる。
そして、自分だけ気持ち良くなって、おしまい、、、
わたしがイケないのはそれも原因だと密かに思っている。
先輩だったら、、、そんなことは絶対に無い、、、わたしのこと考えて、、、イッパイ気持ち良くしてくれる、、、
想像して顔が真っ赤になる。
わたし、、、何を考えてるの?
わたしはただの後輩、、、
きっと彼女だっている、、、
こんなに素敵なんだから、、、
少し、、、寂しい、、、
「どうした?」
心配そうに先輩が聞いてくる。
最近のマナブはこんな心配などしてくれない、、、
「なんでもない、、、お腹空いちゃった、、、」
慌てて誤魔化す。
「そういえばそうだな、、、何か食べようか?」
「うん、、、」
思わず腕を組みたくなるがガマンする。
きっとダメだと言われちゃう、、、
彼女がいるからなんて、絶対に聞きたくない、、、
わたしのことをもっと知って欲しい、、、
女として意識して欲しい、、、
そして先輩のこと、、、たくさん知りたい、、、
つづく
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