翌日の日曜日。
朝、目が覚めると、父が疲れた表情でソファに座っていた。
母は寝室で休んでいるようだ。
父はわざわざ朝食にフレンチトーストを作ってくれた。
余り普段から口数の多い方ではないが、家ではいつも優しく、惜しみなく家族に愛情を注いでくれる父がコユキは大好きだった。
母だって、いつもそんな父に甘えていた。
人に羨ましがられるぐらい仲の良い家族だったのに、、、
それなのに母はわたし達を裏切っていた。
二人で朝食を取りながら、母さんがあれからずっと泣いていたと聞かされた。
そしてまだ話合いを続けるつもりだと告げられた。
昨夜の事を含めて、詳しくは後日必ず話をするということでコユキは了承した。
そして友人と逢うと告げ、家を出た。
母と顔を合わせたくなくて、、、
帰りは遅くなると言うと黙ってお小遣いをくれた。
ただ家を出るとき、コユキのことを愛しているからな、いろいろ迷惑をかけてすまないと、気をつけるんだぞと言われた。
涙がこぼれそうになった。
キレイで優しくて、いつも穏やかな表情でわたしの話を聞いてくれた母が大好きだった。
それなのに、、、いや、だからこそ母を絶対に許せない。
無性に彼に逢いたくなって連絡をした。
コユキには恋人がいる。
三ヶ月前から交際を始めた。
彼氏は背も高く、同学年だが学校一のイケメンと言われている。
成績もスポーツもトップクラスで、学校内では女子に断トツの人気を誇る少年だ。
そんなクラスメイトの西野マナブに告白されてコユキは受け入れた。
初めてできた彼氏と、それが人に羨ましがられるほどの相手だということで、コユキは有頂天になっていた。
すぐにファーストキスを経験し、その一ヶ月後にはバージンを捧げていた。
彼氏も初体験で二人は互いに夢中になった。
初めのうちは痛いだけだったのに、次第に気持ちが良くなっていった。
体型にも変化が見られバストはCからEへとアップした。
友人たちからも、大人っぽくなった、より美人になったと褒められ、幸せな気分に浸っていた。
わたしも母さんみたいに美人で胸の大きなスタイルの良い女性になれるんだと得意になっていた。
それなのに、近頃、恋人のマナブに様子のおかしなものを感じていた。
理由をつけられては、逢う機会が減ってきている。
そして一年歳上の吉沢サキという女子生徒と一緒にいる姿を目にするようになった。
楽しげに二人きりで話をしては、やたらにボディタッチを繰り返すのを目にして、嫉妬で胸が苦しくなった。
サキはほっそりとしたスタイルの良いキレイな女性だが、大人びたメイクをして、仕草もひどく色っぽい。
自分よりもずっと男慣れした雰囲気がある。
それにコユキはまだセックスでイッタことがなかった。
それがコユキには引け目に感じられて、経験が豊富そうなサキと親しげにするマナブとのあいだにギクシャクしたものを感じるようになっていた。
それでも、家族のなかでゴタゴタしている今だからこそ、マナブに逢いたい、、、一緒にいて欲しい、、、
そんな気持ちで連絡を取った、、、
けれど返事はつれないものだった。
用事があるから逢えない、、、
すぐに出かけるから話も出来なかった、、、
きっとサキと逢うんだ、、、
そして、、、
やりきれない気持ちでショッピングモールのゲームコーナーで一人佇んでいると二人組の高校生らしい男たちに声をかけられた。
見るからにたちの悪そうなチャラい二人組。
相手にしなかったのにしつこかった。
もういい加減にして下さいと言うと、腕を掴まれ、いいからプリクラでも撮ろうぜとボックスに連れ込まれそうになった。
やめて下さいと声をあげると、いきなり金髪のやけに背の高い男が割って入ってくれた。
つづく
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