ユキナはショックを受けていた。
もちろん本気だったわけではなかった。
けれどアツヤは自分に夢中だと思い込んでいた。
それがユキナに恋するトキメキを抱かせていた。
女には思い当たりがある。
カガリという歳が24になる女子社員だ。
ユキナもよく話をする明るい健康的な後輩だ。
可愛らしい顔をして、少しぽっちゃりとはしているが胸は人目を引くほど大きい。
あのカガリにも手をつけていたんだ、、、
ユキナだけだ、、、お前は最高のオンナだと言いながら、、、
アツヤはわたしを都合の良い性欲処理の道具としてしか見ていなかった。
男への想いが一気に冷え切っていく。
元々愛情の欠片も感じていなかったはずなのに、、、
後悔だけが胸に渦巻いていた。
わたしはどうなるの?
そんなこと分かりきっている。
最後の最後まで、わたしはウソを突き通した。
夫と娘を失うことが怖くて、、、
それなのにふてぶてしいくらいに去勢をはって、、、
もう二人は許してくれないだろう、、、
こんな事になるのなら、初めから全てを認めて赦しを乞えば良かった、、、
後悔が押し寄せる。
周りの会話が入ってこない。
アキコの自分に対する罵りの言葉すら、、、
ただ俯いたまま時間が過ぎていく。
話が一段落して、また後日ということになったらしい。
夫婦は二人席を立った。
アツヤと視線が合うことも無い。
もう見たくも無かった。
玄関まで送る夫の後ろを黙ってついて行く。
つづく
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