真理子先生に面と向かって年齢を聞いた生徒は、いませんでした。
懇親会に出た親たちが聞いてきた内容を集めると、真理子さんは結婚していて、子供はなく、年齢は30才なるかならないか、ということでした。
15才だった僕は当時、30才は「おばさん」だと思っていたので、なんで真理子先生はあんなにきれいで若いんだろうと、不思議に思ったものです。
時代もそうだし、やはり子供だったんですね。
今振り返ると、30前後なら若くてセクシーだったのも当然です。
さて、放課後の保健室で身長測定の棒に縛りつけられ、先生の手でペニスをしごかれて射精した翌日の朝、僕は先生の顔を見るのが恥ずかしくてドギマギしていたのですが、真理子先生はいつものように堂々とした歩調で壇に上がり、クラスを見わたした時に僕の顔に一瞬目を止めて、唇の両端を少し上げてかすかに微笑んだぐらいでした。
その次の週のこと。
現代国語がその日最後の授業だった時、黒板に書かれた内容をせっせとノートに書いていると、真理子先生が僕の横で立ち止まって身をかがめ、「漢字、違ってるわね」と言うと、僕のシャーペンを取って、ノートに小さく書きました。
HR後一人で保健室へ
↑ 消してね
僕は、心臓がドクンと音を立てるのを感じました。
先生は、保健室の先生が退勤する時間も、鍵の保管場所も、全て心得ているようでした。
僕は逆らうことができず、いえ、先生の望む事をして欲しくて、主人の後をついてまわる子犬のように、真理子先生の言うがままに行動しました。
あの日と同じ、閉められた保健室のカーテン。
遠くからかすかに聞こえる、野球部やサッカー部が練習する声。
再び棒に縛りつけられた僕。
透明な液があふれてぬるぬるになった、僕のペニスと、その皮をむいて愛おしそうにさする、真理子先生の指先。
こんなにぬれて、どうしたの。
ほら、こんなにおおきくなってる、おちんちん。
耳元でゆっくりささやく、先生の低くてやわらかな、甘い声。
おちんちん。
固くなってるわ。
いやらしい子。
精子を全部出さないと、勉強できないもんね。
部屋の中に響く、自分の荒い息づかい。
次第に動きが速くなる、真理子先生のほっそりとした指先。
はぁ、はぁ、――あ、――ああっ、
僕の体が硬くなると、真理子先生、パッと手を放します。
出そうだったの?
はぁ、はぁ、――は、はい――
先生の指先が再び僕のぬるぬるしたペニスの幹に添えられ、根元に向かって、やさしく、何度も、さすり続けます。
――あ、――あぁ、――はぁ、――はぁ、
また、射精しそうなの?
――は、はい、――あ、ダメ、で、出ちゃう――
再び、指先が陰茎から離れました。
また出そうになると、今度は根元をギュッと握り締められ、意地悪な瞳で僕の汗ばんだ顔を覗き込み、真理子さんはうっすらと笑みを浮かべて言いました。
イキたい? 射精したいの?
――したい、です――
ちゃんと言わなきゃダメよ。
――射精、したいです。
ダメよ、きちんとお願いしなくちゃ。
――い、イカせてください、――射精させてください――!
結局、その日は2回射精させられ、保健室の床には、ぽたぽたと大量の精液が落ちていました。
真理子先生が男子生徒と保健室に入って行ったという話しも、男子生徒に性的なイタズラをしているという噂も、聞いたことがありません。
そもそも、なぜ僕だったのでしょう。
童貞をオモチャにするハンターの眼には、小柄でおとなしく童顔な少年が、一番美味しそうに見えたのでしょうか。
それから更に10日ほどたったころ、日曜日の午後に商店街の書店から出てきた僕の目の前に、真理子先生が立っていました。
「あら、山岡君、こんにちわ。」
「――あ、こんにちわ。」
ドキッとしました。
いつも地味なグレーのジャケットと白いブラウス、そしてグレーのロングスカートを履いた姿しか見たことが無かったのですが、その時先生は、ノースリーブで白いミニのワンピースを着ていました。
股下10センチもないので、白くて美しい太ももが露わになっていて、引き締まった腰から思いのほか大きなお尻へと続くラインは女神のようで、ニットの生地がぴったりフィットした胸のあたりは、大きくふくらみ、少し垂れた重そうな乳房が左右を向いて、先生が動くたびにぷるるんと小刻みに揺れていました。
それまで写真でしか見たことがない、妖艶な女体の生々しい色香を目の当たりにして、僕の顔は多分、真っ赤になっていたことでしょう。
「本屋さんに来てたのね。エッチな本、見つかった?」
「――いえ、あの――」
僕は授業で知ったある小説を探しに行ってたのですが、実はその本を探し回った時、お店に官能小説やエロ漫画、成人雑誌などが豊富に置いてあることを知り、ドキドキしながら、表紙をチラチラと盗み見していたのです。
もちろん手に取ってみる勇気も、買う小遣いもありませんでした。
照れてうつ向いている僕を見て、真理子先生が言いました。
「うち、近いのよ。冷たいものでも、飲みに来る?」
僕はもうとっくに、真理子先生の前では、ヘビに睨まれたカエルと同じでした。
逆らうことなど、どうしてできたでしょう。
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