突然インターフォンが鳴ったのは水曜日の午後だった。
家事を終え安心しきっていた私は、少し慌てて玄関に向かう。
訪ねて来たのはこのマンションの管理人だった。
私はこの管理人が苦手だ。
歳は50歳くらいだろうか。
いやらしい雰囲気を醸し出している。
背は高くないが、太っていて威圧感がある。
脂ぎったハゲ頭を撫でながら、大きな鼻と唇の醜い顔でニヤニヤと笑いながら見つめられると身の毛がよだつ。
「ちょっとお時間、よろしいですか?」
私が何も言えないでいると、管理人は勝手に話しを進めていった。
何でも最近、このマンションのポストに「不適切なモノ」が投函される被害があるらしい。
そこで被害にあってないか、心当たりはないか聞いて回っているとの事だった。
こんな事が噂になったら部屋の借り手がいなくなってしまうかもしれないから困っているとの事だった。
「・・・コレなんですがね」
そう言って、管理人は5枚の紙を手渡してきた。
1枚目の紙には玄関先の床を掃除している女性が写っていた。
外壁の色やドアの形で、これがこのマンションの廊下だと分かる。
どの階に住んでいるかは分からないが、何度か見かけた事のある女性がホウキとチリトリを待ってしゃがんでいる。
明らかに盗撮だろうアングルで撮られた画像には、はっきりとスカートの奥が写っていた。
確かに、これは「不適切なモノ」だ。
盗撮の被害、それをランダムにポスティングする愉快犯。
こんなのが噂になればマンションの人気は下がるだろう。
もしも子供が見たら、と入居をやめる人が出てきてもおかしくない。
私はそう思いながら、目の前の管理人への不快感も忘れて2枚目を見た。
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