その日、タカヤは一人酒を飲み深夜に帰宅した。
珍しく酔って帰ったタカヤを詩織は優しく迎え、甲斐甲斐しく世話を焼いた。
「ごめんなさい、午前中、電話をくれたのに、、、さっきまで気付かなかったの、、、何の用事だったの?」
苦しい言い訳だな、、、
酔ってはいるが、さめた視線で妻を見詰める。
俺は詩織の隠された裏の顔を知ってしまった。
「出かけていたのか?」
「ううん、、、あっ、、、少しだけ、、、」
歯切れが悪い。
探りながら答えを選んでいるようだ。
「誰かと逢っていたのか?」
「えっ?」
妻の表情に動揺が走るのをタカヤは見逃さなかった。
「男と逢っていたのか?」
「何言ってるの?ママ友だよ、、、」
「そうか、、、俺、今日、忘れ物を取りに帰ってきたんだ、、、」
「えっ、、、本当、、に?」
「ああ、、、そのとき、、、ベッドの上にこんなモノがあった、、、」
タカヤはスマホでそのとき撮った写真を見せた。
もちろん箱の中に入っていたモノを、、、
うっかりしまい忘れたモノだった。
帰って来て、慌ててしまい込んだ。
「ああ、、、そんな、、、」
詩織はまっ青になっていた。
「こんなモノ、、、お前が買ったのか?」
「違います、、、友だちに、、、ママ友に無理やり渡されて、、、捨てようと思っていたの、、、」
「じゃあ一度も使っていないんだな?」
「使ってなんか、、いません、、、そんなモノ、、、本当です、、、」
「、、、DVD、、、見たよ、、、」
「ええっ、、、」
詩織は今度は激しく動揺した。
「バイブ、、、使っていたよな、、、男と二人で、、、それに、一人で使っているところを男に見せて、、、お前、、、イッてたよな、、、」
「ごめんなさい、、、本当にごめんなさい、、、」
「セックスしてたよな、、、ナマでして、、中に出されてた、、、」
詩織は必死にしがみついてきた。
「大丈夫なの、、、ちゃんと大丈夫な日に、、、わたし、どうかしてた、、、ごめんなさい、、、気の迷いだったの、お願い、許して、、、」
「お前、、、赤ちゃん、欲しがってたよな、、、」
「違う、、、わたしが欲しいのはタカヤの子供だけ、、、それは絶対に本当よ、、、わたし、間違いを犯したけど、愛しているのはタカヤだけ、、信じて、お願い、、、」
必死で訴えてくる。
日頃の落ち着きた雰囲気はまるで影を潜め、別人のようだった。
つづく
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