「でも、、、それは違ってたんです、、、父は、、、死ぬ間際になって、、、母さんに逢いたいって、、、自分が間違えていたって、、、母さんを愛しすぎていたから、どうしても許せなかった、、、父さんは小さい人間だったと、自分を責めてた、、、死ぬ前に母に謝りたいって、、、そして、意識が無くなって、、、」
婦人はボロボロと涙を流していた。
シズカも泣いてしまっていた。
「すいません、、、こんな話をして、、、」
「いいの、、、話を聞かせてくれて、ありがとう、、、」
「どうしたの?ママもおばあちゃんも、、、泣いてるの?」
心配そうにルイがシズカにすり寄ってくる。
「ううん、、、ママのお父さんとお母さんの話をしていただけ、、、大丈夫だよ、、、」
「ふーん、、、おばあちゃん、、、ルイのおじいちゃん、、、この前、天国に行ったんだよ、、、早く帰って来ないかな?」
「ルイちゃんはおじいちゃんが好き?」
「大好きだよ、、、すごく優しいし、、、わたしのこと、おばあちゃんにそっくりですごく可愛いって言ってくれるんだよ、、、」
「ううっ、、、」
再び婦人はハンカチで目を覆った。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「うん、、、大丈夫、、、おじいちゃん、きっとルイちゃんにイッパイ、オミアゲを持って帰ってくるよ、、、」
「うん、、、ねえ、ママ、、、わたし、トイレに行きたいよ、、、」
「ルイちゃん、、、おばあちゃんと行こうか?」
「うん、いいよ、、、おばあちゃんと行く、、、」
「ルイちゃんはお利口さんだね、、、ちょっとだけ待っててね、、、ごめんね、、、」
「うん、、、」
ルイは嬉しそうに微笑んでいた。
「シズカさん、、、その、、、良かったら、タイシちゃんのこと、抱っこしてもいいかしら?少しだけでいいの、、、」
「もちろんです、、、抱いてあげて下さい、、、」
婦人は大切そうにタイシを抱きかかえた。
「なんて可愛いのかしら、、,本当にあの人にそっくり、、、元気に育ってね、、、あの人みたいに大きくなるんだよ、、、」
頬を何度も擦り寄せると、名残を惜しむようにシズカにタイシを返した。
「シズカさん、、、ありがとう、、、」
婦人はそう言うとルイと手をつなぎ、トイレに向かっていった。
あの人とそっくりって、、、
それにわたしの名前、、、教えてないはずだ、、、
どうして?まさか、、、
「お母さん、、、なの?」
思わず声をかけていた。
女性の体がピクリと揺れた。
しかし振り返ること無く、トイレに向かって行った。
つづく
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