どれくらい歩いただろう、、、
気付いたときには見知らぬ公園のベンチに腰を下ろしていた。
シュウジには恋人がいた。
わたしにウソをついていた。
シュウジにとって、わたしはいったい何だったのだろう?
都合のいいセフレ?
そういえば、逢う度にセックスしていた。
逢えば必ずシテいた。
他にしていたことといえば、セックスの合間にじゃれつきながら、愛してるとか好きだとか囁き合っていただけだった。
そしてまたすぐにセックスを繰り返していた。
二人でデートらしいことをしたことも無い。
あの娘とはしていたんだろうな、、、
わたしとは違って、買い物をしたり、食事をしたり、デートを楽しんでから、恋人同士のセックスを楽しんでいたんだろうな、、、
勉強で忙しいと言っておいて、、、
本当はあの娘がいたから、、、
逢えば時間を惜しんで何度も求められるのが、愛情の証だと思っていた。
わたしはシュウジのただのセックスの道具だったんだろうか?
いいや、違う、、、
そんなの惨め過ぎる、、、
あんなに激しく求められ続けたのだ、、、
シュウジだって、、、わたしを愛してくれているはずだ、、、
しかし、いくら考えてみても答えはでない。
それに自分が間違いを犯していることは分かっている。
このまま事を大きくしてしまえば、大変なことになってしまう。
これを機会に自分を見つめ直して、ほとぼりを冷ましてからシュウジとの関係を再開させればいい、、、
下手をすると全てを失ってしまう、、、
いつの間にか時間も過ぎ、詩織はスーパーで買い物をして家へと向かった。
今日はタカヤとシズカのためにごちそうを作ろう、、、
二人の歓ぶ顔を見ればきっと気も晴れる、、、
家の前でいきなりコンビニの店長と出くわした。
家の中から出て来たように見えた。
どういうこと、、、
店長は詩織を見て慌てた様子だった。
そして挨拶を交わすと、いつもは真面目な店長とは思え無い不躾な視線で、詩織のカラダを舐め回すように見つめてきた。
いやらしい目つきで詩織の胸を凝視していた。
いったい何なの?
「なんなんですか?」
思わず両腕で胸を覆い隠しながら、問い質してしまう。
「詳しくはご主人に聞いて下さい、、、しかし、奥さんがまさかねえ、、、」
店長は今度は詩織のお尻に目をやって、ニヤニヤしながら行ってしまった。
なんか気味が悪い、、、どういうつもり?
それにタカヤが家にいるの?
会社じゃないの?
慌てて家に入る。
タカヤはリビングにいた。
「どうしたの?なにかあったの?」
タカヤは何も答えてくれない。
イヤな予感が走る。
「今日、、、仕事じゃ、、、なかったの?」
タカヤは重い口を開いた。
「ああ、仕事だったけど、、、コンビニの店長さ
んから重要な話があると連絡が入って、早引きした、、、」
「話、、、重要な話って、、、」
聞くのが怖い、、、
心臓が破裂しそうだ、、、
「お前の、、、恋人の彼女が、、、コンビニに怒鳴り込んできたんだって、、、」
「恋人って、、、何のこと、、、」
「とぼけなくてもいい、、、彼女が客の前で、、、この店は大学生に手を出す淫乱人妻を雇っているのかって騒いだらしい、、、」
「そ、そんな、、、」
「デカイ胸をこれ見よがしに見せつけて、欲求不満を満たして欲しいって迫られたと、、、彼が言っているそうだ、、、」
「そんなのウソだよ、絶対に、、、」
「お客さんも巻き込んで、大騒ぎになったそうだ、、、店長がそのあと、、、何とか収めたと言ってたけど、、、」
「タカヤ、、、違うよ、、、相談とかに乗ってただけ、、、誤解だよ、、、ヘンな関係になんか、なって無いからね、、、」
虚ろな目をしたタカヤがテーブルの上に瓶を置いた。
経口の避妊薬だった、、、
シュウジを直に受け入れるために入手したもの、、、
家に置いておくわけにはいかず、コンビニのロッカーに隠していたもの、、、
どうして、、、これが?
ああ、、、もう、、、お終いだ、、、
つづく
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