詩織はコンビニのパートを始めた。
仕事はすぐに覚え、店長は真面目で優しく、他のパート仲間もいい人ばかりの職場で、ほどなく馴染むことが出来た。
仕事は楽しかったが、詩織の美貌と際だったスタイルの良さに、男性客から声をかけられるのには閉口した。
一人で品出しをしていると、いやらしい視線でカラダを眺めてきて、中には平気でナンパしてくる男もいる。
対抗策に結婚指輪をしていたが、それでもお構いなしに誘ってくる輩は多い。
詩織は過去の過ちの反省から、ことごとくその手の誘いは、にべも無くはねつけていた。
そんな生真面目な態度が、仕事仲間からも信頼を得ることが出来て、仕事は何の問題もなく順調にこなせるようになっていった。
ただタカヤとは、その後の進展はまるで無い状況に陥っていた。
二日連続で営みをもてたときは、これでいい方向に向かう期待を抱いたが、それ以来、タカヤはまたピタリと詩織を抱こうとしなくなってしまった。
それどころか詩織のことを避けるような気配すら感じてしまう。
自分はもう未練など全く無いということを訴えるつもりで、コウタとのセックスをあからさまに口にしたのがマズかったのかも知れない、、、
タカヤは誤解して受け取ったのかも、、、
今更ながらに後悔の念で胸が苦しくなる、、、
そして、あれからひと月がたつが、近頃、タカヤの帰りが遅くなる日が、目立って多くなった気がする。
仕事の関係だとは思っているが、どうしても
女の存在を疑ってしまう。
仮にそうだとしても、自分にそれを咎める権利など有るはずも無いのに、、、
ことがことだけに、他の誰にも相談出来無い、、、
ただあの人ひとりを除いては、、、
しかし、その人はタカヤの相手である可能性もある、、、
不安に押し潰されそうになった詩織は、藁にも縋る気持ちで、その相手であるユキエに連絡をとった。
つづく
※元投稿はこちら >>