翌日、娘と一緒に何もなかったかのように二人は楽しんだ。
娘はタカヤと詩織に交互にまとわりつくようにして、はしゃぎまわった。
詩織はこの最後になるかも知れない幸せなひと時を、かみしめるようにして味わった。
涙をこらえ、笑顔を見せて、ひとつひとつを記憶する。
初めて夫に抱かれ処女を捧げたとき、わたしは死ぬまで夫以外の男にカラダをゆるすことは絶対にないと心に誓った。
それなのに、、、
夫だけでは無い、、、わたしは自分自身も裏切ったんだ、、、
こんなに幸せだったのに、、、
わたしがバカなことをしなければ、、、この幸せが一生続いたのに、、、
もう二度とこんな日はやってこない、、、
あっという間に時間は過ぎ、夕食を外では済ませて帰宅した。
一息ついたあと、タカヤが娘にたずねた。
「シズカ、、、パパとママ、、、どちらかいなくなったら、、、どうする?」
キョトンとしていた娘の表情が、いきなりくしゃくしゃに歪んだ。
それを見るだけで胸が張り裂けるぐらい辛い。
「イヤだ!三人がいい、、、パパとママと、、、二人ともいないと、イヤだ!」
シズカの可愛い瞳から涙がボロボロとこぼれ落ちる。
シズカは大きな声で泣き始めた。
さっきまで、はしゃいでいた娘、、、
シズカなりに何かを感じ取っていたのかも知
れない。
詩織も泣きながらシズカを抱きしめていた。
「ごめんなさい、、、シズカ、本当にごめんなさい、、、」
そう呟きながら抱きしめ続けていた。
やっと娘を寝かしつけた詩織が戻ってきた。
そしてタカヤの前に跪いた。
「ごめんなさい、、、わたしは最低な事をしていました、、、妻として、母親として失格です、、、」
詩織はもう泣いていなかった。
決意を秘めた瞳でタカヤを見つめていた。
「気付くのが遅すぎたけど、、、アナタとシズカを失ったら、、、わたし、、生きてはいけません、、、全部悪いわたしがこんなことを言う権利が無いことは分かっています、、、、せめて、、、シズカが、もう少しだけでも、、大きくなるまで、そばにいさせて下さい、、、二度と過ちは犯しません、、、」
「もう、、、元には、戻れ無いぞ、、、」
「分かってます、、、何でもします、、、わたし、、汚れてしまっているから、、、愛して欲しいなんて言いません、、、わたしが尽くしたいんです、、、」
「分かった、、、」
「えっ?」
本当に、、、
受け入れられるはずが無いと思っていた。
つづく
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