時刻は午前12時近くになっていた。
激しいセックスに疲れ果てた僕達だったが、なぜか眠りたいとは思わなかった。
悦子さんも元気を取り戻して、部屋中をウロウロしながら、笑顔で僕に話し掛けたりもしている。
満足をしたセックスが出来た時って、案外こんなものなのだろうか。
そんな彼女に、「ビール、飲んでもいいよ?」と言ってみました。
「どうしようー?…。」と言った彼女でしたが、「なら、1本だけ…。」と冷蔵庫で冷やした缶ビールを取り出します。
ビールを片手にベッドに戻った彼女に、「乾杯するー?」と聞いてみました。
「なんにー?なんに乾杯するのー?」と聞かれ、返事を用意してなかった僕は少し困ります。
しかし、何とか考え、「僕が悦子と結婚すると決めたことにで、どおー?」と言ってみました。
「あなた、最近、ちょこちょこと「結婚」なんて言葉使ってないー?少し気にはなってたけど…。」
「悪いー?」
「悪いって、そんなの無理でしょー。あなたのお母さんと対して違わない年よ、私…。」
「そだねぇー。」
「いい機会だから、はっきり言っておくけど、私と結婚なんて無理よー?結婚はもっといい人と、若い人としなさいよー?」
「わかった…。」
「私なんか、絶対、無理だから…。」
「わかった…。」
「うん。これだけは分かって欲しいの…。」
「わかった…。」
「本当に分かってるんでしょうねぇー?わかった、わかったって…?」
「わかった…。」
「どうしたのー?さっきから…?」
「わかった…。僕からはもう言わない…。だから、頑張って、悦子さんの口から言わせるわ。「結婚して。」って。」
アルコールには強い彼女。いくら飲んでも、ほとんど顔に出ることはない。
なので、350mlの缶ビール程度で顔を赤くすることはない。
しかし、今宵の彼女の顔は真っ赤に染まってしまっていた。
酔いが回ったのか、それとも…。
午前1時。そろそろ、眠りにつこうと考える僕と彼女。
しかし、こんな時間にも関わらず、ホテルのエレベーターは動き始め、ある女性がこの部屋へと向かっていた。
廊下をヒタヒタと歩き、確実にこの部屋を目指している。一体、誰なのだろうか…?
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