池内邸新築工事の打合せは2週間に一度、定期的に行われていました。
ただ、僕は他の工事を持っていたため、その全てに出席とは行きません。
悦子さんにお任せをして、「後でその内容を教えてもらう。」、そんなこともあったのです。
なぜか、水道屋のじいさんは毎回必ず出席をしていたようですが…。
そんな頃、「お気に入りみたいよー?」と悦子さんが言ってきます。
「なにが?」と聞くと、「あの娘、後藤さんはー?後藤さんはー?って、あなたのこと、必ず聞いてくるわ。」と聞かされます。
「面倒だから、出来たらなんとか出席してくれない?他のお仕事、忙しいのも分かるんだけど…。」とお願いまでされるのです。
工事の規模が違い過ぎるので、彼女もその辺は気を使ってくれていました。
ただ、今回の工事が初監督となる悦子さん。僕に無理を言ってでも、順調に進めたいところはあるのです。
ある日の夕方、仕事帰りに池内邸の工事現場を訪れます。ちょこちょこ見に来ていないと、進み具合が分からないですので。
中で確認をしていると、外に車のエンジン音を感じました。「近所の方?」とあまり気にもしませんでしたが…。
「後藤さーん、いらっしゃってるーー?」と外から声を掛けてくる女性。悦子さんでした…。
「なんですー?」と言って、慌てて外へと出ます。ここは工事現場、ヘルメットも被らずに入られると危ないですので。
「はいー!」と言って飛び出すと、「やっぱりー、こんな時間に見に来てくれてるんですかー?」と聞かれます。
「打合せとかに顔を出せずにすいませんねぇー?」と言うと、「他のお仕事、忙しいんでしょー?」と納得はしてくれているみたい。
ただ、「やっぱり、後藤さん居ないとつまらないし、私も会いたいです。」と言われ、少しドキッっとさせられます。
その後、その辺に置いてある工事用の木材に並んで座って話しをするのですが、いよいよ彼女がその本性を見せ始めるのです。
最初は他愛もない話でした。しかし、日が完全に沈み、互いの顔もよく見えなくなると、彼女は徐々に変わり始めます。
「この前の打合せでも、あのおじさん、私の胸の辺り、ずっと見てましたよ?フフフ…。」
「私の両親も、旦那も、あなたに会いたいって言ってました…。みんな、あなたに興味があるみたいよー?」
「ほんとに会いたいです…。無理を言ってるのは分かってるんですけど、出来るなら後藤さんに会いたいです…。」
続けられる、彼女の罠。そんなことを聞かされ、それを本気にしてしていくバカな僕。
そして最後には、「お話をする時、私の目…、無理して見なくてもいいですから…。私が見てますから…。」と言われました。
ほんとに美人で、可愛い女性でした。3才も年上なのに、僕よりも幼く感じました。
射し込み始めた月明かりは、そんな彼女が持つ大きな乳房だけを照らしています。
思わず目を向けた僕に、「見てもいいよ…。後藤さんなら…、この胸、見られても恥ずかしくないですから、私…。」と言うのです。
別れ際、二人の間でLINEの交換が行われました。
「ありがとう!いつでも、LINEしてもいい?」と聞かれ、「いいですよ。」と答えます。
「じゃあ、またです!おやすみなさい。」と去っていった彼女。正直、彼女に良い印象しかありません。
気持ち良くさせられた僕は車に乗り、エンジンを掛けます。
そんな時、スマホのLINEが何かを受信しました。開いてみると怜菜さんからで、こんなことが書かれてありました。
「大橋さんから、あなたを奪ってもいい…?あなたを好きになってもいい…?」、心を撃ち抜かれたかも知れません。
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