入浴の時間も終わり、浴室内でバスタオルを使って身体を拭く2人。
彼女の身体が気になって見てしまう僕とは違い、僕を見る悦子さんの視線が下がることはありませんでした。。
扉が開きと、「下着、取ろうか?」と言ってくれる彼女。「悦子さんは?」と聞くと、少し困ったような顔を見せました。
僕と違って、替えの下着は持っておらず、今日1日履いてしまっていた下着しか彼女にはありません。
考えて、仕方なくそれを手に取ろうとした彼女を僕は止めました。
「着るもの無いなら、僕も履くのをやめますから。このまま、一緒に出ましょう。」と言ってあげました。
2人は下着は履かず、ローブだけを身にまとって、ベッドへと向かいます。
先に布団に入ったのは彼女の方。僕も遅れて、彼女の待つベッドへと入っていきます。
並んで座った僕達は、ほんの少しの時間、何でもない会話をしていました。
そんな彼女が、「私がいつから、あなたに気があったのか知ってる?」と聞いて来ました。
てっきり、初めて口づけをしたあの日だと思っていました。しかし、違ったようです。
「違うのー!?いつー?」と聞くと、こんな返事が返って来ました。
それは、ホテルの工事が始まる前日。最後の打合せがあった日です。
その中で、オーナーからのある質問に、建築知識のあまりない彼女は一瞬困ったそうです。
それを助けたのは、工務店の社長さんではなく、どうも僕だったらしい。
そして、最後にはそれを笑いに変えて、彼女のミス(?)をまるで無かったかのようにしたそうです。覚えてもいませんが。
その時の彼女の印象は、「この子、すごっ!なんなの、この子?」だったと言います。
そしてその夜、彼女は僕が現れるのを、誰もいない真っ暗な駐車場で待っていました。
「よく分からないけど、あの子のこと、もう少しだけ知りたい。」、そう思ったそうです。
ホテルの中では自分をからかい、笑わせてくれる彼。
何にも出来ない見習い、それでいて「真面目」の印象が強い自分を、こんな風に扱ってくれる人はいませんでした。
「あのエアコン、ガタが来てたけど、本当はもう少し使えたのよ?」、そう聞かされた時にはビックリしました。
そして、お礼である昼食を僕が断った時、彼女は本当に落ち込んだそうです。
「嫌われた。」「もう仲良く、優しくしてもらえない。」と…。
「で、いつからー?」と聞くと、「ずっと好きだったかも…。」と、なんか曖昧な返事で締め括られました。
そんな彼女の肩に手を回し、ゆっくりと引き寄せます。一度、口づけを交わすと、「そろそろ、呼んでみる?」と言ってみました。
彼女は、「私、ソウヤさんって言ってるよー。」とあの甘えた声で言って来ます。
仕方がないので、「僕、悦子、悦子って、もう何回も呼んだよ?」とからかってやりました。
すると、「ならぁー…、ソウヤ!!」と約束通りに大きな声で僕の名前を呼んでくれたのでした。
唇を重ねながら、ベッドへと深く沈んでいく僕と彼女。2人の長い夜は、まだ始まったばかりです。
※元投稿はこちら >>