家は全ての灯りが消されていた。
もう先にカイトは休んでいるのだろうか?
リリナは寝室に向かった。
「ごめんね、カイト、、、遅くなって、、、」
声をかけながらドアを開ける。
しかし、そこにも夫は居なかった。
家中を見て回ったが人の気配はまるで無い。
どこかへ出かけているのかしら?
そのとき、リビングのテーブルの上に大きな茶封筒が置かれているのが目に入ってきた。
封筒の中には手紙と書類、、、それとDVDが入っていた。
厭な予感がした。
震える手で手紙を開く。
もう一緒に生活したくない。
家を出る。
離婚する。
そう書かれていた。
離婚、、、
目の前が真っ暗になった。
いきなり、、、どうして?
書類には報告書と記載されてあった。
慌てて目を通す。
そこには二人の男との密会が写真を添えて、事細かに書かれていた。
夫に全部知られていた。
それなのにわたしは夫を放って、今日も二人の男との浮気を楽しんできた。
その場にヘナヘナと座り込んでしまう。
もうお終いかも知れない、、、
それ以外何も考えることが出来ない。
虚ろな目でノロノロとDVDをセットして内容を確かめる。
「あの人じゃ、もうダメなの、、、ユウトくんのデカいチ○ポじゃないと、もうイケないの、、、」
「そうよ、わたしはユウトくんのもの、、、」
「赤ちゃんできてもいいから、、、中でイッて!」
「これからはナマでして、、、あの人とはしないから、、、もうユウトとしかシタくないのぉ!」
画面の中で淫乱なオンナが叫んでいた。
浮気に狂った自分がはっきりと映し出されれていた。
「わたし、、、あのとき、ユウトくんに告白されたとき、、、カイトと別れればよかった、、、そうすればユウトとずっと一緒にいられたのに、、、ユウトが好き、、、もう離れたくない、、、」
セックスの余韻に浸りながら、甘えるように告げる自分。
こんなこと、、、絶対に口にしては、、いや、考えるだけでも許されないことだった。
わたしはなんてことを、、、
これを全てカイトに知られてしまっている。
躰が震え出す。
夫を全てを失う恐怖が一気に押し寄せてくる。
ついさっきまで、都合の良いことばかりを考え、浮かれまくっていた自分の愚かさに、今更ながらに嫌悪感を覚える。
平気で不倫を続けていた自分を夫はどういう気持ちで見ていたのだろう?
吐き気がして、頭が痛くなる。
とにかく夫に謝らなくては、、、
何とか夫に会って、何とか言い訳をして、、、
そうだ、レイプされたと言えばいい、、、
無理やり関係を続けさせられたと言えばいい、、、
あの言葉も無理に全部言わされたことにすれば、、、
そして土下座して、涙を流して、本当に愛しているのはアナタだけとすがりつけば、、、
優しいカイトは許してくれるかも知れない、、、
だって、わたし達には子供の頃から積み重ねてきた歴史がある。
きっとカイトは分かってくれる。
いざとなれば、不倫で更にいやらしさを増したこのカラダでカイトに迫り、なし崩しにセ
ックスに持ち込んでしまうことが出来れば、なんとかなる。
カイトを絶対に失いたいない。
どんなことをしても元に戻して見せる。
男たちとはいったん手をきる。
ほとぼりが冷めたときに、今度はもっと用心深く関係を復活させればいい、、、
なあに、、、あの男たちに固執しなくてもいいのだ、、、
アプリだってある。
わたし位のイイ女になれば、いくらでも男なんて選びたい放題だ。
不安に慄きながらも、何の根拠も無い自信で気持ちを持ち直す。
しかし、いくら連絡してもカイトのスマホへは繋がらなかった。
つづく
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