⑫…
結婚25年目になる2人が初めての夫婦喧嘩をしているのだ…
商店街から家に帰るまでの間…お互いの文句を言い…家に着いてからも治まる様子が全然ないのである…
健子「信じられない…こっちは…洋輔の為に必死なんだよね…あなたが…仕事に集中できるようにって考えてあげてもいるのに…さっきから文句ばっかり…」
洋一郎「洋輔の為とか言って…他所のお父さんに…ちやほやされて喜んでるんだろう…久志君のお父さんなんて下心が見え見えだし…お前…あんな太った冴えないおじさんが好みなの…」
健子「しつこい…何度も言ってるでしょ…そんなんじゃないし…久志君のお父さんは…洋輔の事も気にしてくれてる優しい人よ…悪く言うのやめなよ」
2人は睨み合いながら…同じような内容の話を繰り返す…そのうちに…
洋一郎「ここに居ても苛つくし…ちょっと外に出てくる…」
そう言って家を出ていく洋一郎を健子は無視していたが、複雑な表情を浮かべていた…
洋一郎にとって自分は…良き妻なはず…なぜ…こんなに苛つかせられなければ…勿論…洋一郎のことを愛してる気持ちは少しも変わらないのに…
怒りと哀しみが混在して…考え込む健子であった。
そんな健子に…学校から帰ってきた息子の洋輔が追い打ちをかける…
洋輔「お母さん!先生と揉めたんでしょ!先生に聞いたよ!理由は知らないけど…なんか僕に対して先生が余所余所しくなって…教えてくれなくなったらどうするんだよ!」
そう言う息子に…健子は…思わず怒ってしまったのだ…
健子「うるさいわね!こっちだって色々とあるんだから…そんなに言われたって!皆…勝手なことばかり!!あっ…ごめんね洋輔…」
母が自分に対して…そんな態度をとるのは…初めてかもしれない…洋輔は驚き…唇を震わせた。
洋輔「…とりあえず…明日…放課後にお母さんと僕と先生の3人で話をしようってさ…先生がお母さんに言えって…来れるでしょ?」
……
………
翌日の朝…
夫婦の寝室で目覚める健子…もう1つのベッドに洋一郎の姿はなく…その場所を見つめて溜め息をつきながら思う…
健子「はぁ~…(昨日…久しぶりにそこで愛し合ったのに…なんでこんな風に…私が悪いわけじゃないよね)」
リビングには、洋一郎がソファで寝ていた形跡があり、帰ってきていた事がわかり安心はしたが…
健子「…(あいつ…いつもより早く会社に行ったんだ…私とは顔も合わせたくないのね…そっちがその気なら…絶対に私から謝らないんだから…)」
今まで何の問題もなかった夫婦の仲が…どんどん拗れていく…
息子を学校に送り出して、健子も病院に出勤する…いつも通りの光景だったが…軽自動車を運転する健子の様子は、いつものような明るさと愛嬌のある笑顔が消え失せていた。
沈んだ気持ちのまま職場に着き…仕事が始まる…そんな健子の様子を同僚の若い女性が心配して声をかける…
沙織「健子さん…なんか…いつもと違って暗いから…不気味なんですけど…どうしたんです?」
健子「あぁ…ごめん…ちょっとね…それより不気味って失礼じゃない?私だって落ち込む時があるわよ…ウフフッ」
少しだけ…いつもの調子に戻った健子だったが…急に事務服のタイトスカートのお尻を撫でてくる…手の感触が…
健子「ぎゃあ…なに?…哲ちゃん…じゃなかった…先生!!もぉセクハラやめて!本当に訴えますよ…」
哲ちゃん…健子にそう呼ばれた男性は…病院の医師であり…洋一郎や健子と同級生で幼なじみの哲治であった…
身長が低く痩せこけた身体に…すっかり薄くなった頭…眼鏡に出っ歯という容姿で…45歳になるのだが未だ独身なのだ…
哲治「健ちゃん…元気なさそうだったから…つい…洋一郎と喧嘩したんでしょ?」
健子「つい…じゃないですからね…それに…なんで知ってるんですか?あっ…もしかして…昨日の夜…あいつと居たの?」
哲治「う~ん…もう1回…お尻触らせてくれたら教えても……痛い…痛いって…健ちゃん…わかった…教えるからやめて…」
健子は…哲治の腕をつねりながら睨み…早く教えるように脅迫する…
哲治「俺がよく飲みに行く店…知ってるでしょ…女の子がいっぱいの…昨日の夜…そこに洋一郎が1人できてさ…珍しくあいつ…随分と羽目を外してたよぉ~…クフフッ」
健子の顔が曇っていくのを確認する哲治…
哲治「……(やっと俺に隙をみせやがって…ざまぁみろ洋一郎…俺の健ちゃんをお前が…それにしても…相変わらず健ちゃんのお尻の感触…最高だな…ハァ…ハァ…健ちゃんの肛門を触診させてくれないかな…俺…肛門外科じゃないけどね…クフフッ)」
熊野…久雄…彼等と同じように…哲治もまた…健子に対しての性的な欲求を持った男だったのだ…
※元投稿はこちら >>