真っ暗な室内で私を上から押さえつけるような重み。
『まさか・・・三木部長が』ほんの1秒くらいの間・・・私の上の重みが軽くなっていく。
「ごめんごめん」と三木部長の声が聞こえ室内が明るくなった。
「このコードに躓いて・・・ごめんね」と謝り続ける。
私はホッと胸を撫で下ろし、ソファーから立ち上がると「いえ、部長大丈夫ですか?」と声を掛けた。
「いや~ホント申し訳ない」と頭を下げる部長。
ドキドキと鼓動が早まるのを抑えながら笑顔で「私は大丈夫ですよ」と言い微笑む。
研修会でも貰った書類やデスクに置かれている伝言メモに目を通す。
三木部長は特にやる事も無く私が終わるのを待っているような感じで、ただスマートフォンを操作していた。
「すみません、終わりました」私は三木部長に声を掛ける。
「よし、帰ろうかっ・・・それにしてもさっきは申し訳ない事をしたね」「身体なんとも無い?重かったでしょ・・・」と言葉を続けた。
私は「いえ、身体どこも何にもなってないんで気にしないでください」「それより部長は大丈夫ですか?」
三木部長は「クッションが良かったから大丈夫だよ・・・はははッ」と笑って見せた。
「あ~~ひどい~~」私は笑って答えると暗闇で身体を密着させても何もしてこなかった三木部長に一層の信頼感を寄せていった。いつしかドキドキとしていた鼓動は元に戻り、心地よい三木部長との会話を数分楽しみ私は帰宅した。
翌日、出社するといつもと変わらず業務を片付ける。
ただ・・・なんとなく三木部長が気になりチラチラ見てしまう。
三木部長はそんな私の視線を受け流すかのように、部下にテキパキと指示を出している。
三木部長が私に「これを頼む」と言ってメモを渡した。
メモには『第2会議室に』と書かれている。
私はドキドキしながら第2会議室へと向かう。
第2会議室は会社の四階にあり、普段は誰も来ない場所にある。
よく解雇を宣告されるのに使われる場所だった・・・『まさか・・・私・・・クビになっちゃうの?』『昨日、食事断ったから・・・それとも何かミスした・・・』そんな事を考え第2会議室の扉を開けた。
三木部長は既に着いており、私の方に背を向けて窓の外を見ている。
こちらを振り返ると深刻そうな表情で「座って」と告げた。
『あ~クビだ・・・』この流れ・・・間違いない。
そう思って俯き加減になった私に「昨日はゴメンネ・・・もう一度謝っておきたくて」と明るい声で三木部長が私に話しかけた。
「えっ・・・」という言葉と同時に何故か私の頬を涙が伝う。
極度の不安が安心に変わり、とっさに出た涙だった。
私の涙を見て慌てた三木部長が私の側にきて「ごめん・・・泣かなくても・・・そんなに昨日の事・・・」と言う。
「違うんです・・・そうじゃなくて・・・」それ以上言葉にならなかった。
気付くと三木部長は私が座っている横で膝をついて私の方を見ている。
私の頬に手を触れる三木部長、指で私の頬を伝う涙を拭うと私を抱き寄せた。
「えっ・・・」今度は驚きの言葉だった。
ただ、大人の男性の良い匂いと不思議な心地良さにイヤという感覚はなく私は逃げもせず抱きしめられたままだ。
三木部長の顔が近づいてくるのが解る・・・それでも逃げようとしない私。
いつしか軽く唇を重ねる・・・それは次第に情熱的なキスに変わり。
私の心は蕩け始めていた。
唇を吸われ・・・舌が入り・・・静まり返った第2会議室にクチャクチュと舌を絡め合う音が響いた。
真っ暗な室内で私の上で重みを加えていた物がモゾモゾと動いた。
私はまさか三木部長が・・・と思いながらも怖くて金縛りにあったように動けないでいた。
「ごめんごめん・・・」と三木部長の声が聞こえると私の上の重みが無くなり室内の電気が点けられた。
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