萌は瞳を閉じ、両手を組み合わせて胸の上に置いていた。なにかに祈りを捧げるかのように。
俺の指には薄い布越しに、萌の秘部が少し熱を帯びているのが感じられた。ぴたりと閉じられた両腿の間に手を差し入れると、力を緩めて俺の手が動きやすいように調整してくれた。昔から勘のよい女だった。押し付けた指が当たる部分を上下させると「うっ」と小さな声を上げたが、そのまま愛撫の快感に身をゆだねた。快楽の声が漏れるのを恥じたのか、自分の人差し指の背を唇に当てて、顔を横に倒した。
しばらくに秘唇への刺激を、強く弱くでストロークを繰り返した。
数分後、俺は萌の股間から手を引き、顎に手を当てこちらを向かせると、ひとつ口づけをした。これは萌とのセックスで、以前の決めごとのようなもので、愛撫にせよ体位にせよ、次の行為に移る際のサインだった。一瞬身構えるように、身体が硬直したがすぐに弛緩した。それは次へ行為への期待の現れだったのだろう。
それまではベッドの萌に対し、俺は横向きに床へひざまずいての行為だったが、ベッドの上に移動し、投げ出された萌の片方の脚をやや開き気味に移動させ、その間に立膝で割り込んだ。若干まくれ上がったスカートの中には、薄ピンクのショーツが光沢を放ってのぞいていた。
ニットのスカートを両手で腰の位置までたくし上げると、ショーツからへそに向けて妊娠線がうっすらと刻まれていた。そのままショーツの尻の部分に差し込むと、萌は俺の作業がしやすいように、尻を浮かせ気味に軽く持ち上げた。徐々に下げられていくショーツ、あらわになっていく下半身、陰毛は昔と違ってきれいに整えられていた。夫との性生活のためのものなのか、若干の嫉妬の思いが胸をよぎったが、それは仕方のない事だと得心して行為を続行させた。ショーツを両足首まで下げ、一気に取り去った。ちらりと萌の股間に目をやると、陰毛の中に秘唇があらわになって俺を恥ずかしげに誘っていた。
萌の両膝をすくうように両手で抱え、中心部に向かい顔を寄せていった。
「課長、だめ、汚れているから・・」
次の行為を予測したのだろう、両手で陰部を覆い隠した。
「大丈夫だよ、萌のだったら何にも嫌じゃない、俺のものだった萌を確かめさせてくれ」
そう言って萌の両手を外した。萌も簡単に中心部をさらし、両手で顔を覆い隠した。
唇を寄せると若干女のにおいがしたが、決して不快なものではなく、むしろ淫靡な雰囲気を掻き立てる。少しアルコールの匂いがするのは、この情事をあらかじめ覚悟して、この家に来訪前に濡れティッシュで陰部を綺麗にしてきたからかもしれない。昔からセックス前に風呂、シャワーを使えない時、そうしていた萌の習慣だった。
舌先を、濡れて俺を迎え入れる準備の整った秘唇の中に差し入れる。俺の鼻先が、昔より若干大きくなった、それでも人より一回り小ぶりなクリトリスに当たる。
「グッ」
顔を覆った両手での下からくぐもった声が漏れ、腰がビックっと小さく跳ねる。感応の仕方も昔と全く変わらない昔のままの萌だ。俺は以前のように愛撫をし、行為に移っていけばいい。キスで合図をしながら。
俺の唇は秘唇からクリトリスへ移り、十分に濡れそぼった蜜壺に、人差し指を差し入れた。手のひらを上向きにして指先を蜜壺の中の、クリトリスの裏側に擦りつける。
「ひっぃぃぃ――」
Gスポットを責められた萌の唇から、か細い悲鳴が上がる。濡れそぼった秘唇からあふれ出した愛液が俺の手を濡らす。昔同様十分に感じ取っている。昔のセックスを思い出すことができた事に安堵を覚え、さらにクリトリスを吸い上げ、蜜壺の中を人差し指がかき回す。
「だめっ、だめっ、きつすぎる、これだめっ、本当にダメ――」
身体がビックンビクンと跳ね、執拗な愛撫から逃れようと下半身が左右に揺れ、両腿をきつく閉じ合わせて、俺の手をはじき出そうと身をよじる。それでも追及を緩めない俺の手をきつく掴んで、そして萌は達した。
「いくー、いっちゃうー、だめだめだめーもぅーだめーーー」
つま先立ちにのけぞって、あらん限りの声で叫んだ。蜜壺に差し入れた俺の人差し指がギュウと締め付けられた。昔と変わらない膣の締め付けの力だ。
家を新築の際、ハードロック好きの息子のたっての願いで、この部屋だけは防音壁が設えてある。かなりの音でも外に漏れることない部屋の造りだが、さすがに萌の叫び声は例外的に外に漏れ出たのでは、と少し心配になるほどの激しいものだった。
このまま次の行為に移行するのは、無理そうなくらい大きな息でワンピースの胸が上下している。疲れた訳でもない俺も、萌の隣に寄り添って横になり天井を見上げた。ペニスは年甲斐もなくみっちりと勃起し下腹を盛り上げている。こんなに大きく屹立したのは何年ぶりだろう。別れた女房とは10年以上も没交渉だったし、飲み屋で知り合った年増のセックスフレンドとのセックスや、金銭だけの割り切った関係の女たちとは、これほどまでにいきり立つことはない。
俺は引き続きこれから起きる行為を想定し、高まりをそっと片手で撫で上げた。
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