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人妻熟女 官能小説

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8
投稿者:ケン
アパートの台所の灯りが見えた。
灯りの点いてる家に帰って来るのは いつ以来だろうか?

一応 チャイムを鳴らしてから鍵を開けた。

『おかえり、ケンちゃん』
「ただいま」
これも 随分と久しぶりの やり取りだった。

『ゴメン、先に お風呂済ませちゃった。洗濯機も貸してもらってる、着替え取りにかえるのも面倒いし。ゴメンね』
すでに部屋着に着替えていた、が、やっぱりメイクは まだ落としていない。そんな宮本さんが そう言いながらスリッパを出してくれた。

「ありがとう」
「洗剤とかは?、買ってきたの?」

『まさかぁ、貸してもらった、柔軟剤も、言ったでしょ?ケンちゃんの匂い嫌いじゃないもの』
『物干しも借りて良い?』

「良いけど…」
「バスタオルや何かで隠してね、《おかず》にしちゃうから俺」

『もお、出た出た』
『何か考えて干すわ見えない様に…』
『部屋の(物干し竿)借りて良いんでしょ?』

「どうぞ」

『ゴメンね、そんな訳で ご飯まだなの、先にお風呂入ってきて』

俺は促されるまま 風呂に向かった。
風呂を済ませて出てくると、換気扇の下で宮本さんがタバコを吸っていた。

『ステーキ用のお肉買ってきたんだけどさ、冷蔵庫にステーキソースがあったから…』
『ケンちゃん、焼いてくれる?。加減は任せるから、ね?。フライパン 重そうだし、ゴメンね』

「良いよ…」
「でも、俺も吸ってからで良い?、タバコ」

『うん』
『それとね、さすがに赤まむしは…、ゴメンね。でもレジの前にユンケルがあったからユンケルにして冷してある、1番高いヤツ、良かった?それでも』

「ん?、どうだろ?試した事ないし」
「有るんかな、即効性」

『そんなに効くの? 赤まむしって』

「赤まむしだって飲んだ事ないよ」
「昔 言ってなかった?研ナオコが《赤まむしィィ、生卵ォォ》って、だから効くんかなぁ?って」

『言ってた言ってた!』
『でもケンちゃん、もう そんななの?、そういうのに頼らないと…』

「そんな事もないけど…」

『じゃぁ何ぁに?、私じゃダメって事なのかしら?』

「とんでもない!」
「魅力的なお尻ですよ」
「でも自信がないからさ 満足して貰える程の…、だから ちょっと まむし様に おちから添え頂こうかな?って」

『????、訳分かんない、ンもぉお』

「じゃ そう言う事で 焼こうか?、お肉」

『何が そう言う事よ、はぐらかされてない?私』
『もお、良いから焼いて!』

2人で食べはじめるとすぐに 宮本さんのスマホが鳴った。
「佐山さん?」

『…良いの、ほっとけば』
鳴りやむのを待ってマナーにした様だった。
が、間をおかずにブルブルし始めた。

「…出たら?」

『…ゴメンね』

『何でしょう?』
「何でしょうって、心配だから来てみたら車ないからさ」
スピーカーから佐山さんの声が聞こえてきた。

『そりゃそうよ、居ないもの そこには!』
「そりゃそうよ、って、夕べも無かったじゃん車」
『あらッ、夕べも お越し頂いたのに お電話下さったのは今日なんですか?、お忙しいんですのね?随分と』
「何なんだ?その話し方、普通に話せない?」
『あら、いたって普通ですけど ワタクシ』
「だから やめろって そんな話し方、で?、何処に居るんだよ」
『何処だって 良ぅございません?』
「だから、普通に話せって!、まさか板橋ん所じゃねぇだろうな?」
『あら ご名答、今 お風呂ですの彼、なので出てきたら切りますね』

まかさ正直に答えるとは…。
俺は心臓が止まるかと思った。

「ご名答って お前、よりによって板橋ん所って!、何処だよ?行くから今から」
『あのね!、今更 アンタに お前呼ばわりされたくないわよ!。来たければ来れば?、まだGPS切ってないから検索したら?』
「ああ!、ちよっと待ってろ!」
『どぅお?わかった?』
「出てこねぇよ、切ってねぇか?GPS、なぁ?」
『あんた ホントに お馬鹿なのね、繋げてる訳ないでしょGPSなんて今更、総務にでも教えて貰えば?板橋さんの住所、大好きな部長にも課長にでも頼みこんでさ』
「帰っちゃったよ2人とも、明日んなっちゃうじゃねぇかよ!」
『あら、明日じゃ証拠が掴めなくて残念ね?、証拠が無いんじゃ何も言えないんでしたよね?、あんた そう言ったよね?違う?』
「それと これとは違うよ!」
『何も違わないわよ!』
『だいたい何よ!《俺の事だけ見てくれ、俺の事だけ考えててくれ》とか言っときながら あんたが見てたのは上司の顔色だけでしょ?、私の事なんて ちっとも見てやしない!、ただ ヤりたい時に ヤれれば それで良いだけ!違う?』
「・・・・・」
『だいたいね、どの面さげて板橋さんのトコなんて行けんのよ!、馬ッ鹿じゃないの?、娘のトコよ』
『2人で暮らしはじめたばっかりで まだ荷ほどきも終わってない所に泊めて貰ってるのよ、あんたに分かる?、私がどんな気持ちで そんな2人の所に泊めて貰ってるか?、分かんの?』
「…だから 俺んトコにってさぁ」
『何言ってんのよ今更』
『良かったわね?結婚する前で、慰謝料 2人に払わないで済んで、私も良かったわ 結婚する前に気が付けて』
「慰謝料2人って…、何だよそれ」
『ンとに頭の悪い人ね、請求できるの!桁は違うかも知んないけど 婚約破棄でも 慰謝料は!、そんなの要らないから関わらないでって言ってんの!、そんな事も分かんないの??』
「俺は破棄なんてしてねぇよ、だから今だって こうして…」
『何ヵ月経ってると思ってんの?最初に相談してから今まで、あんた 何かしてくれた?。破綻させたのは あんたなのよ!、まだ分かんないの?』
『塚本くんの事だって あんたがヤキ入れたんだって?、しらばっくれたよね?あんた、何なのホントに!』
『2度と掛けてこないで!』
『会社でも話しかけないで、そんな事したら あんたを訴えるわよ ストーカーで、いいわね!!』
〔ぶちッ〕と音が聞こえそうな勢いで 宮本さんが電話を切った。

『……ゴメンね…』
『こんな話し聞かせちゃってゴメンね、ケンちゃん』

「そんな…」
「俺は良いけど いいの?あそこまで言っちゃって」
「勢いとか 気の迷い とかじゃ済まなくない?」

『いいの』
『いつだったか 話したじゃない?《何でこの人と付き合ってんだろ?》って思う時が有るって、ホントに そう思った事が何度か有るのね』
『で、ケンちゃん 教えてくれた事 有ったでしょ?《・・・メスはオスを匂いで選ぶ》って、でね、ゆうべさ ベッド借してもらったじゃない?、すごく安心出来たの…、ウチで寝てるより ずっと良く眠れたの』
『でもね、…いいの』
『ケンちゃんに ふられても』
『色んな片思いが有るんでしょ?』
『私が勝手に思ってるぶんには 良いんだよね?』
『・・・・・』
『ゴメンね、しんみり しちゃったね?、食べよ、言いたい事 全部吐き出したらお腹すいちゃった』
『チンする?、冷めちゃったね?』

「…そうだね、お願い」

温めなおしたから と言うより、頭の中を色んなモノがグルグルと回り、味も分からないまま、ビールで無理矢理 流しこんだ。

『私 洗っとくね、お化粧も落とさないと…、なので先に寝てて下さい』

「なら、俺が洗うよ」
「その間に お化粧 落とせば?」

『だ・か・ら!、それだと見られちゃうでしょ?スッピン』


「はいはい」
「歯 磨いて 寝ます」

こたつに潜り、電気を消した部屋の天井を見上げて 先刻のやり取りを思い出していた。
見上げては 思い出し。
目を瞑っては宮本さんの気配を感じ。
そして また 見上げて。

扉の隙間から こぼれていた灯りが消え、寝室のドアが開いた。

『ゴメンね ケンちゃん』
『ケンちゃんに聞かせる話しじゃないよね?、ごめんなさい』 
扉ごしに宮本さんが話しはじめた。

「ん?、良いよ、そんな事気にしないで」

『ありがと』 
『おやすみ』

「あのさ、土曜日 何か予定ある?」

『土曜日?、有ったんだけどね…』
『無くなったね、さっきの電話で…』
『でも 何で?』

「ん?、ソファー探しに行こうかと思ってさ」
「俺、膝が悪いからさ 床に座って靴下はくの キツイ時が有んだよ」

『今までは?、どうしてたの?』

「今まで?、ベッドに座って履いてたよ」

『ベッドって?、そっかぁ、私が占領しちゃってるからかぁ』
『ホント ゴメンねケンちゃん、早いとこ戻るから 家に、ゴメンね』
『そしたら余計な出費しなくて済むでしょ?』
『ゴメン、今週だけ、日曜日には戻るから、ごめんなさい お願い』

「そのベッドも布団も 気に入ったんなら 宮本さんにあげるから良いんだけどさ、何だっけ?ソファーベッドって言うの? そんなの探してみっかなぁ?ってさ」

『ケンちゃん?』
『そんな事言って良いの?、分かって言ってる?、自分が何言ってるか』

「分かってますよ」

『本気にするよ』
『社交辞令とか通用しないよ私』

「いいよ、通用しなくても」
「余計な出費で言えばさ、2軒分の家賃も光熱費も余計な出費じねぇのかなぁ?ってさ 思う訳よ」

「本気で言ってんの?」

「国会議員じゃないんだから 取り消して訂正いたします とか言わないから俺」
「もう少し広いトコ?、2LDK位が良くかなぁ?とか 思ったりしてさ」
「だからさ、とりあえず日曜日まで とか 期限決める事もないんじゃないの?」
「そしたら気付くかもしんないよ、俺の匂いがどうとか言ってくれたけど それも《勘違い》だったって事も有るかもよ?」

『・・・・・』

「少し 格好つけて良いかなぁ?」

『…良いよ』

「心の隙間ってさ 肌を重ねたぐらいじゃ そうそう埋まらないんだよ」
「仮に 埋まったとしてもさ 傷痕は残るし 触れば痛いしさ」
「その傷痕をさ 治してあげられる程の器量なんて無いけどさ 俺」
「治してあげらんなくても せめて かばってあげる位なら出来っかなぁ、って思ったりしてる訳ですよ これでも。……なんてな!」
「どぅお?、格好いい?少しは」

『…ケンちゃん?』

「ん?、滑っちゃった?」

『そのソファー、私が選んでも良いの?』

「良いよ」

『・・・ありがとね、ケンちゃん』

「寝ますかぁ」
「明日も仕事だし」

『だね』
『おやすみ』

※元投稿はこちら >>
23/04/14 01:29 (31gf7uZs)
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