午後は、俺の寝床の下の物置の片づけ。
今は誰もしてないのに、仕事道具が散乱している。 誰かが、使っているのか。
そんな事を、考えていたら、奥が入って来た。
「五郎蔵 大変だよ 女中共が 喧嘩して
るんだよ 助けておくれよ」
俺は母屋の勝手口に行くと、女中たちのこわだかい声が聞こえてくる。
お島一人と若い女中二人の、口喧嘩。
俺は「まあまあ」となかに入り「何が有ったのか わからねえが お島さん 若い二人の不作法 許してくれ」とお島の
手をギュッと握る。
「五郎蔵さんが そういうのなら」
「わかりました」と。
「お前たち二人も お島さんの言う事は
この家のご主人様が 言っていること
に違いないんだから。 わかったな」
と言い、この場を収めた。
お島はまだ俺の手を握っている。
「五郎蔵 ありがとよ」と奥。
「何時まで 手を握ってんだい お島」
と奥の声に、お島は急いで手を離した。
夕の膳をお島が運んできた。
「昼間は ありがと あたしのかたを
もってくれて」と。
膳には、酒と一品が増えていた。
お島は俺に寄り添い「今晩 来るからね」と言い残して、出て行った。
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