俺は何も言えず、ただ前を見て運転した。
頷く事さえしないまま、汗だけをダラダラと垂らしていた。
家に着いて車を停め、エンジンを切る頃には2人は無言だった。
抱き寄せたいと思いながらエレベーターに乗り、廊下を歩いて玄関のドアの中に入ったが、「ごめんなさい、疲れてるの」の一言で玉砕してしまった。
シャワーを浴びて寝室に入ると、部屋着に着替えた妻は もう寝てしまっていた。
拒絶を形にしたように丸まった妻の寝姿を見て、俺はそのまま静かに布団を被る。
背を向けて眠る妻に背を向け、寝れるはずのない体で布団を被った。
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