真由美が解放されたのは月曜の朝だった。
濃密で淫猥な3泊4日とゆう長い時間の後、ぽっかりと大きな穴が空いたような気分で歩いていく。
通勤する人達に逆行して歩き、人の溢れた向かいのホームをぼんやりと眺めて電車を待ち、ガラガラな電車に揺られて住宅街に向かった。
真由美は自宅であるマンションを目指していた。
けれど、それは帰りたいと思っていたからではない。
行くあてがなく、無意識に漠然と歩いているとそうなっただけだ。
普通の女は違うのだろうなと、真由美はぼんやりと考えていた。
『旦那』『家』『家族』
普通の女はこれらの暖かいはずの単語を思った時、こんなにも冷めた気持ちになったりはしないのだろう。
いや、私か・・・私が違ってしまったのか・・・
私が変わってしまったのか・・・
そう思うと自嘲の笑みが顔に浮かんだ。
自分で自分を軽蔑し、嘲り笑ってやりたくなった。
そんな気分でマンションを見上げ、見慣れたはずの我が家に違和感を感じながら、やはりそうなのだと確信する。
エレベーターに乗り玄関の鍵を開け、中に入っても同じだった。
私は変わった・・・変わり果てた・・・
戻れるなどとは微塵も思わなかった。
戻りたいと望む気持ちも湧かなかった。
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