店は、全てがあの日と同じだった。
ファミリーレストランを連想させる形の建物。
全面に広がるガラス窓だっただろう全てが、女性の裸体のポスターや けばけばしいペイントに塗りつぶされているのに、店内は異様なほど明るかった。
店に入ってすぐは雑誌の棚がある。
その次には漫画が並べられた棚があり、そのままDVD、ローション、性具と続いていく。
山崎に求められた服は店の奥、『コスプレ』とでかでかと書かれたパネルの向こうに並んでいた。
あの日に与えられたような、卑猥で邪悪な道具達と向かい合っている。
その奥にはもちろん、あの日の更衣室があった。
客は、私の他にはいなかった。
ほんの少しだけ安心し、私は『コスプレ』の看板を越えた。
服を選ばないと・・・
どんな服があるだろう・・・
どんな服が望まれているのか・・・
私にそれが選べるだろうか・・・
そんな事を考えていた。
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