6時半
山崎の車が停まったのは、私が住んでいるマンションの前だった。
まさか・・・と思った。
どうして?・・・そう思いながら山崎を見た。
心は後悔にまみれていた。
やりすぎた・・・欲望に負け、あんな男の脅迫に屈した・・・
間違ってしまった・・・喜んでもらえると勘違いした・・・
そう思っていると、涙が溢れてきた。
「・・・旦那に宣言してないからな」
長い沈黙の後、山崎が口を開いた。
少し気まずそうな声だったが、それに気づく余裕などあるはずがなく泣き続けた。
「・・・お前は、このまま俺の家に連れて帰る・・・火曜の朝まで帰すつもりはない・・・」
声は耳に届いているが、内容を理解する余裕は無かった。
気まずそうな声が続く。
「だから・・・
だから、その・・・あれだ、あれ・・・
明日も明後日も、お前は家に帰さない・・・わかるか?・・・
お前はその・・・俺の家で月曜日を迎えろ・・・」
私は悦びに震えながら山崎を見た。
山崎は、その巨体に似合わない仕草で、恥ずかしそうに視線を逸らす。
「まぁ、飯くらいは作ってやれ・・・で、そのまま家を出てこい・・・」
そんな言葉に見送られ、私はマンションのエレベーターに乗った。
※元投稿はこちら >>