「大きくなったわね、裕樹くん・・・今年から中学生だったっけ?」
「・・・うん」
俺は、恥ずかしくて俯いていた。
ダメだとわかっていても、どうしてもチラチラと見てしまう。
切れ上がったスリットから、大きく組んだ足の付け根まで見えている。
おそらく・・・いや、絶対にわざと、彩は俺の視線に気づいている。
気づいていて、組んだ足を俺に向けている。
「真奈美は?」
「仕事・・・たぶん、夕方まで帰ってこないと思う」
「じゃ、1人でお留守番してたんだ、偉いわね」
彩はクスッと笑った。
その笑みの理由は分からなかった。
それが 新しいオモチャを見つけた悦びだと、オモチャで遊べる時間がたっぷりあることを喜んだのだとも、俺に気づけるはずがなかった。
俺はただ、ゆっくりと組み替えられていく足を見ていた。
キラキラと光る赤い布が見えた・・・
それだけで全身が熱くなった。
俺は喉を鳴らしてツバを飲み込む。
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